86話 指導
勝と凍界無別のヤバさを知ってからしばらくが経った。俺はいつもと変わらない日常を送っておりベッドでゴロゴロしていると透が話しがあるとメールを送ってきた。俺はどうしたのかと返信すると今電話してもいいかと返ってきた。特に用事もないし夜もそこまで遅くないためいいぞと返した。すると、透から電話がかかってきた。
「どうしたんだ? 電話なんて珍しい」
「いやー実は健ちゃんに魔法を教えて欲しいんだけど、みんなの前だとずるいとか言われちゃいそうだなって思ったから」
「何だそんなことか。全然いいぞ。いつにする?」
「えーと、部活の休みっていつだっけ?」
「水曜と土日だけど、いつでも休めるし透の都合でいいけど」
「ちょっと待ってね予定確認する」
そこから少しの間透は予定確認のため黙った。俺はその間何をするでもなく手遊びをしていると透が予定を確認し終え話し始めた。
「お待たせ。今度の土日空いてるからそこでいい?」
「おう、いいぞ。それ以外に話しておくことあるか?」
「どこで魔法教えてくれるか決めないとじゃん。学校って使ってもいいのかな?」
「まぁいいんじゃないかな。事前に聞いておくか?」
「それじゃあ僕が聞いておくよ。もしダメだったら他の場所探すから健ちゃんはのんびりしといて」
「オッケーそれじゃあまた明日ー」
「また明日」
透のと電話が終わりベッドでゴロゴロしながら何の魔法教えようかなと考えているとじいちゃんの声が聞こえてきた。
(無難に爆発魔法でいいんじゃないかの)
「でも、それじゃあ味気なく無い?」
俺はなるべく小さな声で父さんと母さんには聞こえないようにした。
(そういう問題じゃないじゃろ。そもそも健ちゃんのお友達がどのぐらい魔法を使えるかにもよるところが大きい。健ちゃんほどならそこまで教えなくても勝手に成長するが、一から十まで教えなくちゃならない者もいる。じゃから教える魔法はきちんと選ばなくちゃならんのじゃ)
そういうものかと少し反省させられた。なら、透本人に聞くのが一番だとメールを送った。内容は何の魔法を教わりたいかだ。ストレートに聞くのが一番だと何となく思ったが、これが功を奏した。返ってきたメールには雷と爆発、サポート魔法も教わりたいと書いてあった。俺が悩む時間を省けた上、じいちゃんにどう教えればいいかも相談出来る。この好機を逃すまいとじいちゃんに聞いた。
「雷と爆発、サポート魔法だって。じいちゃんに教えてもらったように教えればいい?」
(それじゃあダメじゃ。健ちゃんのマナ感知は正直言って人智を超えてると言っても過言では無いぐらいじゃからあんな適当でも良かったんじゃ。そのお友達がどれぐらいか分からんが、健ちゃんが思ってる五倍は詳細に教えなくちゃならんと考えた方がいい。マナを集中させてからそのマナが分散しないように集中力を切らさないようにしながら雷の雄大さと迫力、そのエネルギーを頭の中で構築してそれをマナが分散しないうちにマナに付与する。それを具現化させるためにさらに集中力を切らさないように力を目一杯込めて撃つ。大袈裟かも知れんがこのぐらい具体的に言ってやった方がそのお友達のためじゃ)
「まぁ俺の友達そこまで魔法の扱い下手じゃないしアイテムもあるから結構いけると思うな」
(そうか。それなら健ちゃんが思うように教えてやるといい。言わなくても分かってると思うが、出来ないからと言って突き放したりせず懇切丁寧に教えるんじゃぞ。頼られ引き受けた以上責任持って相手にすること。いいな?)
「もちろん分かってるよ。俺はじいちゃんの弟子だからね」
(そうじゃな。そんなに心配せんでも大丈夫か)
「そうそう」
そんな話をした後少し雑談をした。ひとしきり話をして満足したじいちゃんはそれじゃあのと微笑んでいるような声色で話し終えた。また今度会いに行ってあげようと思った。武帝も水戸さんも最近会ってないからじいちゃんと同じタイミングで会いに行こうと決めた。
透と約束していた土曜日になった。学校はグラウンドなら自由に使っていいとのことだった。他の場所は職員室に鍵を取りに行かないといけないためグランドでやることにした。
「それじゃあ早速始めるぞ。まずは雷魔法からだ。頭の中で雷をイメージして、それをそっくりそのままマナに乗せて撃つんだ。少ないマナじゃ調整が難しいからいつも使ってるマナの倍以上は使ってやる方がいい。試しにやってみろ」
「分かった」
透は目を瞑り雷魔法を使うために集中した。俺は透の集中力が切れないように話しかけたりせずただじっと待った。しばらくすると透は蒼紋の杖を少し前に傾けた。撃つのだと理解した俺は少し離れた。少し離れると透は雷魔法を撃った。その威力はそこまで強大なものではなかったが、初めてにしては上出来だった。
「結構いいじゃん。後は慣れるだけだな。慣れるためにしばらく雷魔法使うか、もう爆発魔法教えるかどうする?」
「爆発魔法教えてもらおうかな」
「オッケー。て言っても爆発魔法も雷魔法と同じ何だけどな。でも、爆発のイメージとかマナに乗せるところは雷魔法より繊細な気がするから気をつけて」
透はさっきよりもゆっくり丁寧に集中して爆発魔法に取り掛かった。しばらくすると透の蒼紋の杖の先端からパチパチと木が燃えている時のような小さな破裂音がしてきた。
「それ杖燃えてないか?」
俺は心配になり聞いた。透は目を開けて杖を確認するとその破裂音はしなくなった。もしかしたら爆発魔法が杖から撃たれる途中で爆発していたのかも知れない。もしかしたら、透の蒼紋の杖と爆発魔法は相性が悪いのかなと思っていると透が言った。
「爆発魔法はやめといた方がいいかな?」
「そうかもな。それじゃあサポート魔法だな。俺が初めて覚えたのはアークシィリュームってサポート魔法で、全身にマナを循環させて身体能力を底上げするって魔法なんだ。だから、やることはずーっとマナを全身に循環させ続けることだから結構単純だぞ。でも、アークシィリュームを発動させながら攻撃したり魔法使ったりするのは難しいから今は出来なくても仕方ない。とりあえず全身にマナを循環させ続けることを意識して」
「分かった」
透はしばらくアークシィリュームを発動させるために眉間に皺を寄せながら頑張った。でも、途中で途切れたり全身にマナを行き渡らせることが出来ないのかため息をついた。
「アークシィリュームの感覚知りたいから一回使ってくれない?」
「分かった」
俺は透にアークシィリュームを発動させた。すると、透は目を見開いた。今の透には色んな感情が渦巻いているんだろうなとすぐに分かった。
「どうだ出来そうか?」
「正直言って無理かな……」
「まぁ向き不向きがあるから自分の得意な魔法を伸ばしたらいいんじゃないか?」
「そうだね。頑張ってみる。今日はありがとう」
俺たちは家に帰った。透に魔法を教えるなんてあまりやってこなかったから新鮮な体験だった。これからもみんなに頼られるような人材になろうと思った。
次回もお楽しみに




