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アルカディアリベル  作者: 描空


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84話 完了

 俺がデュラハンを倒して休憩施設に戻ってきて久しぶりにベッドに寝転んだ。今までほとんど寝ずに攻略していたため、ベッドに寝転んだ瞬間に泥のように眠った。寝始めて五分以内に寝るのは気絶しているなどという話を聞いたことがあったが、そんなの比にならないぐらいの速さだった。これは紛うことなき気絶でありどれだけ極限状態で攻略していたか理解した。


 目を覚ますと日時は攻略授業六日目の午後だった。俺は寝過ぎたかと体を起こし勝と透を起こそうと思ったが、あれだけ頑張ったんだから寝かせてあげようと起こさないようにした。部屋から出ると先生たちがのんびりと椅子に座り雑談していた。


「状況はどうですか? って聞かなくても良さそうなのは明白ですけど」


 俺が先生たちに問うと塩田先生が答えた。


「攻略授業は今日で終わりだからな。ほんと、この前みたいにならなくて良かったよ。まぁ今日が最後の一日だから油断は出来ないけどな」


「それなら小出くんたちにみんなの補助をお願いしては?」


「確かにそれなら安心ですね」


「いや、俺たち——」


「いいじゃないやってあげましょ」


 なんか勝手に俺たちがみんなの補助をすることが決まりそうだったから反論しようと思ったのにユースが肯定してしまった。


「そうかやってくれるか。なら、頼んだぞ。とは言っても、まだモンスターと戦ってる生徒たちのサポートとかしてくれるだけでいいから。適当にダンジョンの中ふらふらして困ってそうな奴助けてくれたらいいから」


「まぁ、それなら」


「助かるわ。それじゃあ先生たちは奥の方にいる生徒たちにもうそろそろ帰ってくるように言って回るから、頼んだぞ」


 先生たちもやらなくちゃいけないことがあるから俺たちに頼むしかないんだなと思い渋々引き受けることにした。


「勝、透起きろー。もう今日で攻略授業終わるからダンジョン内に残ってるみんなのサポート行くぞー」


「んー……」

「ふぁー……」


 二人とも俺の呼びかけでようやく目を覚まし眠たそうに伸びをしていた。二人はまだ頭が働いていないようで少しの間ベッドでゴロゴロしていた。このままだと二度寝すると思った俺は二人を強制的に立たせた。二人は強制的に立たされたことによって少し目が冴えてきたのか俺の方を見つめた。


「なんだ?」


 勝はさっき俺が言った内容を覚えていないのか不思議そうな顔で見てきた。俺はもう一度二人にみんなの補助をすることを説明した。


「オッケー分かった。それよりお腹空いた」


「僕もお腹空いた」


 というわけで俺たちはご飯を食べることにした。ダンジョン内であっても休憩施設には生徒と先生たちはが食事をするための簡易的な食堂がある。そこでご飯を食べているとユースと春奈もやってきた。春奈は眠たそうに大きなあくびをしていた。みんなあれだけ頑張ったんだからもっと寝てたいよなと思ったが、引き受けてしまった以上蔑ろにするわけにもいかず少し申し訳ない気持ちになった。俺とユースだけでも問題はないだろうが、さすがに二人だと手の回らないところが多すぎるため勝たちにも手伝ってもらうしかないのだ。


「おはよう」


「おはよう」


 春奈と何気ない挨拶を交わしご飯を食べながら雑談していると尾形先生がやってきて言った。


「みんなごめんなさいね。疲れてるだろうに。先生たちもやることいっぱいでバタバタしてるから今日一日だけお願いね」


「分かりました」


 それだけ伝え終えると尾形先生は足早にどこかに行った。やることが多いから少しでも時間を無駄にしたくないのだろう。そんな状況なら俺たちもサボるわけにはいかず真面目に取り組むことにした。朝ご飯なのか昼なのか夜なのか分からないご飯を食べ終え全員で手分けして同級生たちの補助に向かった。休憩施設の近くで困っているような生徒はいないだろうから適当に風魔法で進みある程度の所から困っている人たちがいないか探し始めた。時々小道に入って迷子になっている生徒がいたから正しい道を教えたりした。モンスターと戦っている生徒たちがいてもすぐには助けず、なるべく自分たちだけで勝てるようになって欲しいため遠くから見守った。もちろんヤバそうになったら助けてあげていた。


 一通り休憩施設からある程度離れた場所にいる生徒たちはいなくなりもう少し奥まで行くことにした。ここまで来ると大体の人は自分のグループだけでどこまで出来るのか把握している生徒たちが多く補助を必要としていなかった。でも、俺を見かけるとアドバイスを求めてきたり改善点を教えてくれといった内容に変わっていた。特に忙しくもなく、助けを必要としている人がいないため求められれば真摯に対応していた。しばらくそんなことをしていると透とバッタリ会った。


「おう、そっちの道とこっちってここで合流してるんだな」


「そうみたいだね。もしかしたら他のみんなも合流してるかもね」


「そうだな。とりあえずこの道で困ってる人がいなくなったら休憩施設まで戻るか」


「そうしよ」


 透と合流した俺は雑談しながら困ってる人たちがいないかどうか確認して回った。ここまで奥に来るとちらほら迷子になってる生徒たちがいたので帰り道を教えてあげた。俺たちの所にはもう困っている生徒がいなくなり一旦施設に戻ることにした。施設に戻る頃にはかなりの生徒たちが帰ってきており、まだ帰ってきていない生徒は一割ほどだった。ユースたちももう戻ってきておりみんなもう攻略授業が終わる雰囲気だった。


 残っている生徒たちが戻ってくるまで俺たちは休憩施設で自由に時間を潰した。クラスのみんなと楽しく雑談したりゲームしたりのびのびと過ごしていた。ふと時間を確認するともう攻略授業の終わりの時間が間近まで迫っていた。今回は何事もなく終えられたと思っていると先生たちが最後に話をするからとみんなを集めた。いつも通り鷲田先生からの話が始まった。


「今回は大きな怪我も事件もなく攻略授業を終えることができました。みなさんにとってはあまり実感のないことかも知れませんが、無事にダンジョンを攻略出来帰って来られることはアイテムを得るよりも素晴らしいことです。この経験はみなさんに自信を与え将来攻略者となった時に必ず活きてきます。成功体験というものは人生においてとても重要です。その経験をみなさんにさせてあげられて本当に良かったと心から思います。これから先の人生まだまだ色んなイベントがありますが、今回の成功体験を基に少しでも自信を持ってもらえたらと思います。みなさん本当にお疲れ様でした。光正に帰りましょう」


 俺たちは光正に帰ってきた。久しぶりの校舎に見慣れた街並み鷲田先生が行っていた無事にダンジョン攻略を終え帰って来られることの素晴らしさを理解出来た。今までもダンジョン攻略をしてきたが、この感覚は言われないと気づけないほど些細なものだったが、確実に俺たちの心の拠り所になっているのに気がついた。安心出来るこの学校が街が自分の思っている以上に心の支えになっていたのだ。そして、それ以上に我が家が一番心休まる場所なのは間違いない。父さんと母さんがダンジョンから帰ってきた俺を労ってくれ、ご馳走を用意してくれていることに心からの感謝の言葉が漏れていた。父さんと母さんは嬉しそうにニコニコしていた。その笑顔を見るとこちらまで笑みが溢れた。本当にこの二人の子どもで良かったと心底思った。

次回もお楽しみに


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