83話 決着
デュラハンと戦い始めてしばらく経った。デュラハンの剣捌きは見事なもので少しでも油断すれば一撃もらいかねないほどだった。だが、このギリギリの状況が最も成長できるはずだと自分に言い聞かせ、アークシィリュームの強度を強めたりせずその状況で成長することを重視した。ユースたちは俺がヤバい状況にならない限り手出しできないぐらい俺とデュラハンの打ち合いは壮絶なものだった。俺とデュラハンが打ち合いを始めて十分だろうか二十分だろうか過ぎた時好機が訪れた。何と今まで互角に打ち合いを続けてきたのにデュラハンが剣を落としたのだ。このチャンスを逃すまいと猛攻を仕掛けようとしたその時デュラハンの左手が腰の後ろにあることに気がついた。それに気がついた俺は豪嶽砕で攻撃するのではなく魔法で攻撃をした。
「読まれていたか」
デュラハンは両手で魔法を防いだ。その左手には短刀が握られておりあのまま豪嶽砕で攻撃していたらと考えると恐ろしかった。するとデュラハンが言った。
「ならば、ここからは正々堂々決闘で勝敗を決めようじゃないか。互いに邪魔一切なく剣の実力のみで」
「俺のメリットは?」
「そうだな。我のこの冥霊剣をやろう。貴様には我の全てを受け継がせたいと思ったのだ。もうここで攻略者を待つのも飽きた。我の使命を貴様の剣で終わらせてくれ」
「分かった。お前の剣貰い受ける」
そこから俺たちは熾烈な打ち合いを始めた。さっきまでもかなりハイレベルな打ち合いだったが、今はリミッターが外れたかのように明らかに自分の力以上の打ち合いが出来た。そこから俺たちは一進一退の攻防を繰り返した。いつになったら終わりが来るのか分からないほどの熾烈な打ち合いは乱入者によって中断された。なんと、俺たちが戦っていた空間の奥からガシャンガシャンと複数の甲冑を着用しているような足音が聞こえてきた。俺とデュラハンは鍔迫り合いをしている最中だったため互いに見合わせた。と言ってもデュラハンなため目が合っているわけではなく少し違和感があった。それでも何となく見合わせ足音の聞こえる奥を見た。すると、そこには十数名は甲冑を着込んだ人がいた。デュラハンの甲冑と似ていたが、兜の形状や甲冑全体の色の違いなど些細な違いがあった。
「どうする?」
「一時休戦としよう」
俺がデュラハンに問うとデュラハンは休戦を申し出た。
「そうだな。コイツら片付けてから再開するか。ユースコイツらの情報は?」
「名前はエクエス。中世ヨーロッパ人の真似事をしてるモンスターだよ。普通に一体一体強いから気をつけてね」
「ってお前らも一緒戦えよ!」
「「「あっ……」」」
みんな俺とデュラハンが決闘をしていたから今もその雰囲気のままだったからてっきり俺とデュラハンだけで倒すと思ったのだろう。さすがの俺たちでもそれはキツいためみんなに手伝ってもらった。
「一人二体倒せばいいな。デュラハンここで負けんじゃねぇぞ」
「戯言を。貴様こそ負けるでないぞ」
エクエスと戦い始めると、エクエスは仲間と固まり陣形を組んだ。スパルタのファランクスのように互いを守り合うような陣形に近接ではダメだと思った時、デュラハンが冥霊剣を地面に突き立てた。
「貴様にこの剣の力を見せてやろう。リズレクション・モルトワーロ」
デュラハンがそう言うと地面から半透明な人やモンスター、様々な動物が現れた。デュラハンの馬と同じ感じだったためこれも魂なのだろうと思った。
「我が軍勢よ、目の前の騎士を打ち倒せ」
デュラハンの軍勢はエクエスに向かって攻撃をし始めた。人とモンスター、動物の三種族が共闘している場面を見るのは初めてで、魔法が飛び交ったりモンスターがエクエスに突撃したりと圧巻の光景だった。総数はおおよそ百を超えており人間モンスター動物の順で多かった。エクエスの陣形は数の暴力で次第に崩れていきバラバラになった。これなら各個撃破出来ると俺たちはデュラハンの軍勢と一緒にエクエスを攻撃した。エクエスたちは多勢に無勢で抵抗虚しく全滅した。
「これで邪魔者はいなくなった。再開しようか」
「その前にあの力の説明をしてくれ。俺も使うことになるからな」
「良い心意気だ教えてやろう。あれはこの剣で殺したものたちの魂を己が軍勢として一時的に従える力だ。貴様なら我が軍勢よりも強大な軍勢を築けるだろう」
デュラハンの剣の力は想像通りだったが、想像通りなだけにかなり強い力だと再認識した。この剣を使えると考えただけで気分が高揚してきた。魂を軍勢として従えさせるのは少し気が引けるが、強大な力をデメリットなしで使えるのはさすがに強すぎると感じた。その時、もしかしたらデメリットがあるのではと思い聞いた。
「デメリットは無いのか?」
「自分で殺したものを自分のものにするだけだ。デメリットなんてあるわけないだろう」
「それもそうか。これで心置き無くお前をやれる」
「こちらとしてもこれで心置き無く逝ける」
俺たちは互いに構え打ち合いを再開した。デュラハンは今までの戦いで少し疲れたのか動きが少し鈍くなっていた。俺も少しは疲れていたが、自分に鞭打ってデュラハンに猛攻を仕掛けた。デュラハンは次第に俺の猛攻を防げなくなりダメージを負い始めた。俺は猛攻を仕掛けていたが、一瞬の隙を作ることにした。そのパターンを繰り返すことでデュラハンは確実にその隙を突いてくるだろうと考えたのだ。予想通りデュラハンは俺が作った隙に反撃してこようとした。俺はデュラハンの反撃にカウンターを合わせた。デュラハンの鎧を斬り裂き致命傷を与えた。デュラハンはその場に倒れた。
「ようやく逝けるのだな……最後に貴様の名を教えてくれ」
「小出健斗」
「健斗か……貴様に我が剣を授ける。その剣で我にトドメを刺せ。さすれば、死して尚貴様と共に戦えるであろう?」
「そこまで言うのならお前の力利用させてもらうぞ」
「あぁ構わん。さ、やれ」
デュラハンは冥霊剣を差し出し言った。俺は剣を受け取りデュラハンの胸に突き刺した。デュラハンは一言も発さず安らかに逝った。デュラハンの愛馬も消えた。天国で仲良く過ごしてくれと本心から思った。
「おめでとう。お疲れさま」
そう言うユースは何とも言えない表情をしていた。俺も冥霊剣をゲットした嬉しさとデュラハンが死んでしまった喪失感のようなものを感じ何とも言えない感情を抱えていた。でも、俺がこんな感じではデュラハンもがっかりしてしまうと考え気持ちを切り替え明るく振る舞った。
「ほら、みんな俺デュラハンに勝ったんだからもっと褒めてよ」
俺がそう言うとみんなそうだなと精一杯褒めてくれた。俺は気分が良くなり自己肯定感も満たされた。そこから俺たちはこれからどうするかと話し合い一度休憩施設に戻ることにした。その前に俺はアイテムを整理した。冥霊剣を左腰に刺し豪嶽砕は右腰に氷刃剣は背中に携えることにした。
休憩施設に戻ると攻略授業の七日の内五日と十時間が過ぎていた。俺たちはそんなに時間が経っていたのかと疑問に思うほどだった。俺たちはそんなに経っていたのかと再三疑った。でも、先生たちに逆に帰って来なさ過ぎて心配されていたと言われ納得するしかなかった。
次回もお楽しみに




