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アルカディアリベル  作者: 描空


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77話 報酬と性能

 選抜戦二年の部が終わり三年の部が始まった。今年の三年は去年の三年ほど見応えがあるのかどうか見物することにした。


「始まりました三年の部! 二年の部に引き続き見応えのある対戦は出来るのでしょうか。三年生の意地の見せ所です!」


 実況の言葉を皮切りに三年の部最初の対戦が始まった。三年生とは言え俺たちとそう大差は無くこれといってど迫力な魔法や対戦はなかった。まだ最初の方だから本気じゃないからだろうと気長に待つことにした。部活の先輩たちの対戦もあったが、ただ実直に戦っているだけだったから面白みは無かった。そんな時勝が話しかけてきた。


「なぁ健斗、今年の三年あんまり見てて面白くないな」


「そうだな」


 まさか勝からそんな言葉が発せられるとは思っておらず驚いたが、逆に言えば普段そんなことを言わない勝もそう感じるほどだから相当だろう。


「暇だし遊ぼうぜ」


「いいぞ」


 勝に誘われ二人でスマホゲームをやることにした。最近流行りのゲームを一緒にやっていると春奈が話しかけてきた。


「ちょっと二人ともゲームなんていつでも出来るんだからちゃんと見てたら?」


「そうは言ってもつまんないし」


「そうそう途中はみんなそんなに本気でやらないだろうから最後だけ見ることにする」


「そう……」


 俺と勝がそう答えると春奈は何だか不服そうに返事をした。俺たちの態度にも少しは納得出来るところがあったのだろうそれ以上は言ってこなかった。俺たちがゲームで盛り上がっているとそれを見た透が言った。


「二人でゲームしてるのなら僕にも教えてよ!」


 そこから俺たちは三人でゲームをし続けた。しばらくやり続けたので一旦ゲームをやめて対戦を見てみたが、特段面白い対戦はやっておらず何だかなと思った。到底このまま暇な時間が続くだろうなと思ってスマホと睨めっこしていると、ユースが言った。


「ねぇねぇ、暇だし塩田先生に先にアイテム貰えないか聞きに行かない? もし貰えるんだったらグラウンドとかで試してみようよ」


 ユースの現状を変える提案に俺たち全員賛同した。ちゃんと見ておけと言っていた春奈も賛同していてやっぱりつまらなかったんじゃないかと思ったが言わないようにした。俺たちは塩田先生がどこにいるのか分からなかったのでとりあえず職員室に向かった。


「失礼します。塩田先生いますか?」


 そう聞くと職員室にいた尾形先生が俺たちに気づき言った。


「塩田先生なら実戦場にいるよ」


「ありがとうございます」


 俺たちは実戦場に戻った。俺たちが知らないだけで実戦場には先生たちがいる控室があるのだろうと思い実戦場を歩き回り探した。すると先生控室と書かれた札がある一室を発見したここにあったのかと俺たちは少し疲れてふーと息を吐いた。


「失礼します塩田先生いますか?」


「おうどうした?」


「選抜戦の報酬って先に貰えたりしないかなって思いまして」


「まぁ問題はないがどうしたんだ?」


「実は——」


 俺たちは三年生の対戦を見ているのが退屈で先にアイテムを貰いたい旨を伝えた。


「あはは! お前ら本当に目が肥えてるな。今の三年生も例年通りぐらいなんだぞ。ま、お前たちがいい意味で異端すぎるから仕方ないのかもな。それじゃあ職員室に鍵取りに行くから先に保管庫で待っててくれ」


 俺たちは塩田先生に言われた通りアイテム保管庫に向かう前に前田を呼びに行った。前田もアイテムを選べるのだから一緒に選ぼうということだ。アイテム保管庫には一年ぶりに来るためどんなアイテムがあったのか一切覚えておらず今年もじいちゃんたちの助言頼りになるかなと思っていると武帝の声が聞こえてきた。


(今回は自分の感覚だけで決めてみてもいいんじゃないか? 毎回俺様たちに頼ってばかりじゃ身に付かんぞ)


 それもそうだなと思い、塩田先生に言われたアイテムを選ぶ時は直感を信じるというのを確かめてみることにした。


「お待たせお待たせ」


 塩田先生が鍵を手にしてやってきた。そして、保管庫の鍵を開け去年と同じように言った。


「一位から順にアイテムを選ぶから順位順に並べ」


 塩田先生の指示通り俺、勝と並んだが、ユースと春奈はどう並べばとなっていた。塩田先生もどうしようかと悩んだが、公平性を保つためにじゃんけんにした。そして、ユースがじゃんけんで負け透と前ともじゃんけんをした。その結果俺、勝、春奈、前田、ユース、透という順番になった。透はじゃんけんで負けて悔しそうにしていた。塩田先生に促されアイテムを選びに保管庫の中に入るとこんな感じだったなと少し懐かしく思った。辺りを見回していると一点に目が止まった。それはブレスレットであり塩田先生に説明を求めた。


「先生これなんですか?」


「えーとな、孤高の先達者ってアイテムだ。それは結構特殊でなソロで活動する時にしか効果が出なくて、その効果っていうのも未だ分かってないのが多いんだ。人によっては道標をしてくれたとか挫けそうな時声が聞こえたとか本当にバラバラなんだ。でも一貫してるのが一人の時に助けてくれるって点だ。これから先ダンジョン攻略で一人になった時助けてくれるかも知れないけど、小出に必要か?」


「まぁまぁ何があるか分からないのがダンジョンですからこれ貰っておきます」


「分かった。相川いいぞ」


 俺が保管庫を後にすると同時に勝が中に入った。俺がブレスレットをして出てくるとみんなどんなアイテムなのか聞いてきた。俺はざっくりとみんなに説明をした。


「見た目も派手すぎずいい感じだし普段使い出来そうでいいね」


 孤高の先達者の見た目は模様が彫られた鉄のブレスレットで普段から付けていてもなんら違和感のない代物だ。もしかしたらどこかで迷子になった時にも助けてくれるかも知れないから普段使い出来る見た目なのは好印象だ。そんな話をしていると勝が戻ってきた。手には十五センチほどの杖が握られており説明を求めた。


「万能の賢杖(けんじょう)って言うらしくてマナ感知を伸ばしたり魔法の扱いが上手くなるってアイテムらしい」


 魔法が不得意な勝にはピッタリだ。そんなことを思ってると春奈が保管庫から出てきた。一見変わりないと思ったが、右手の人差し指にリングが嵌められていた。


「これはね万感リングって言って色んな感覚が鋭くなるんだって。調節可能で第六感の調節も出来るんだよ凄くない!?」


 第六感という見えない感覚にも作用出来るアイテムが弱いわけないと思った。さらに、犬並みの嗅覚になって人を探すことも出来るようになるのかなと思うと便利だなと思った。次は前田だ。前田の手には盾が握られていた。その盾は中盾で槍と相まって兵士みたいだなと思った。


「この盾は不動の盾だって。一度効果を発動するとその場からどんなことがあっても動かなくなるんだって」


 使う場面を選ばなくちゃいけないが、一瞬だけ発動させて相手の攻撃を止める目的で使うということも出来るから使い用だなと思った。ユースは手に大槌を持って出てきた。


「感雷の帯電槌だって。雷の電気とエネルギーを帯電出来る大槌で雷王の剣と相性バッチリ!」


 おそらく雷にしか反応しないタイプだと見たが、ユースの雷王の剣ならそのデメリットも関係ないだろうから選んだのだと思った。最後は透だ。透はネックレスを首にかけて出てきた。


「マナの熟練者ってアイテムで名前の通りマナ感知とマナの増幅を補助してくれるアイテムなんだ。これで健斗にも引け劣らない魔法使いになってみせるよ」


 新たなアイテムにみんないい表情をしていた。ここからみんながどんどん強くなってくれればと本心から思った。

次回もお楽しみに


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