75話 みんなの選抜戦
選抜戦二年の部二日目が始まった。そろそろ手応えのある対戦相手に当たるだろうと思い楽しみに待っていた。だが、二日目初戦もそこまで手応えのある相手ではなく少し残念に思っていたその時、クラスのみんなが俺が座っていた観客席の近くにやってきた。どうしたのかなと思っているとユースがみんなを呼んだようで座るように促した。どんな意図があっての行動なのか聞きたかったが、別にそこまで気にならなかったため聞かないでいた。すると、ユースが俺に耳打ちをするように言ってきた。
どうせまだまだ強い相手には当たらないだろうからみんなの対戦見て良かったところと悪かったところ教えてあげてくれない? もちろん私も教えてあげるけど人数多いから半分お願い出来ない?」
「別にいいよ。どうせ暇だったし」
「ありがとう」
ユースはみんなに俺も対戦を見てくれる事を伝えるとみんなからも感謝された。誰かの役に立つことは気持ちが良かった。このぐらいで役に立てるのならもっと色んな人の悩み相談でもしようかなと思った。だが、俺に相談してうまくいかない場合もあるだろうから無駄にリスクを追う必要はないと考え白紙にした。自分から頼みに来るぐらい困っている人になら持ち得る全てを使って助けてあげるぐらいでいいだろう。そんな事を思っているとクラスメイトの対戦が始まった事をユースから告げられ指摘出来るように対戦に集中した。
一人目は近接職で攻めっ気があり相手を終始圧倒しつつ勝利をおさめた。その生徒にユースが色々話をしていたので俺はその間にクラスメイトが対戦をしていないか見ておいた。すると、見覚えのある生徒が実戦場にいた。クラスメイトの一人だったのできちんと見ておいた。二人目は魔法使いで火魔法と水魔法で相手を近づけさせないようにしており判定勝ちをもぎ取った。その生徒が観客席まで戻ってくる間、クラスメイトが対戦していないかをユースが見ていた。
「小出くん、私の戦い方どうだった?」
さっき戦っていた魔法使いのクラスメイトが戻ってきたようだ。俺は思っていることを率直に伝えた。
「基本はしっかり出来てて良かった。欲を言うなら爆発魔法か雷魔法とかの一撃が大きい系の魔法が欲しいかな。でも、焦らずゆっくりやるようにね。そんなに結果を求めても自分が大変なだけだから」
「分かった。頑張ってみる」
そんな話をしていると一組の対戦が終わって次の対戦が始まった。クラスメイトではなかったのでのんびり見ることにした。そこからクラスメイトの対戦がしばらくなくぼーっとしていると隣に座っていた勝が対戦に向かった。ぼーっとしていたので時間感覚が曖昧になっており時計を見ると十分ほど経過していた。その間にクラスメイトの対戦がなくて良かったと安心した。ついでだし勝の対戦を見ていると、あっという間に相手との距離を詰めて腹に一撃で勝利した。俺やユースと一緒にいるだけあるなと思っていると勝が戻ってきた。何か言った方がいいかなと勝を一瞥したが、俺が見てくることを疑問に思っており別に何か求めていたわけではないと分かった。少しするとクラスメイトの対戦が始まった。今度はユースの番だからそんなに集中して見ていなかった。ユースがクラスメイトに色々教えていると春奈が立ち上がり言った。
「私の対戦見てて。何か足りないなってことがあったら教えて」
「ん、分かった」
少しすると春奈の対戦が始まった。春奈は銀翼で相手と距離を銀の羽で攻撃をした。だが、相手は魔法使いだったため銀の羽は火魔法で防がれてしまった。どうするのかと思っていると、春奈は相手との距離を測り振透剣箔に手を置いた。久しぶりに春奈の剣箔を使っている姿を見られると思っていると、相手は火魔法で自分の周りを守った。これだと剣箔を使えないと思い春奈がどんな一手を繰り出すのだろうかと見ていると、春奈は右手を相手に向けて水魔法を浴びせた。相手の火魔法は消えその隙に春奈は剣箔で相手を負かした。遠近共に対処法を用意出来てるし、魔法の実力も悪くはない。特に言うことはないかなと思ったが、何かは言わないとなと考えていると春奈が戻ってきた。
「どうだった?」
「特に言わなくちゃいけないことがないくらい。強いて言うなら飛んでる時に相手も飛べる系だったらって対策ぐらいかな。それ以外は言うことなし」
「分かったありがとう」
春奈はそれだけ聞くと席について対戦を見始めた。思ったよりあっさりしてるなと思ったが、クラスメイトが対戦をしていないか確認しないとと同じように対戦を見始めた。すると、ちょうどクラスメイトが戦い始めた。その人はメインは近接だが、時と場合に応じて魔法も使うタイプだった。近接では剣を使い相手との距離を保ちながら自分の得意を押し付けて、相手が離れれば魔法で追撃し相手はかなり面倒そうに相手していた。この人がもっと強くなった姿を見てみたいと心から思った。ユースと一緒に戦えるぐらいに強くなればもとも思ったが、さすがにそこまで求めるのは酷だと思った。無事クラスメイトは勝利をおさめた。席に戻ってくると俺にどうだったか聞いてきた。
「近接も中遠距離も対応出来てて良かった。もっと強くなればユースみたいになれるからこの調子で頑張るように。アドバイスはもっと魔法の威力が欲しいかな。牽制とか追撃ってことならあれで十分だけど、トドメまで求めるのならもっと威力が必要かなって。それ以外は完璧。自分に自信持って」
「あざす!」
それだけ言って席に戻った。本当にいつの間にこんなに強くなっていたんだろうと驚かされることばかりだ。互いにライバルとして意識してドンドン強くなってくれる環境ならみんな飛躍的に強くなるなと確信した。でも、今はクラスメイトとして仲良くして欲しいなと思った。先生たちも俺と同じような考えを持っているのではないかと考えた。高校生活ギクシャクして卒業なんて誰も望んでいないだろうからな。そんな事を思ってクラスみんなにアドバイスをしていると俺の対戦の番になった。みんなに教えたアドバイスを俺が体現してやろうと意気込んだ。相手は近接だったのでちょうど良かった。
対戦が始まると相手は威勢よく突っ込んできた。俺は氷刃剣で相手の攻撃全てを捌ききり少し距離をとった。そして、魔法で相手を牽制した。すると、相手は魔法使いは近接に弱いという定石通り近づいてきた。俺はさっきより魔法の威力を上げて撃った。相手は辛そうにしていたが、闘志は折れておらずまだ突っ込んできた。それならと相手の意表を突くことにした。相手が突っ込んで来るより先に俺が突っ込んだ。相手は突如として目の前に現れた俺に反応が遅れ俺の氷刃剣で凍らされた。鷲田先生が俺の判定勝ちを宣告すると同時に氷を溶かした。観客席からは賛辞が送られた。俺はクラスのみんなの手本になったかなと観客席に戻った。
次回もお楽しみに




