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アルカディアリベル  作者: 描空


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60話 独自魔法

 水戸さんに俺なら独自魔法を作れるんじゃないかと言われたのがどうも俺の知的探究心を掻き立てたようで、水戸さんに言われたその日から気がついたら独自魔法についてネットや動画サイトで調べていた。学校でも昼休みや部活帰りの帰路で調べており勝たちには最近スマホ見てる事が多くなったと指摘された。俺は誰かといる時はなるべくスマホを見ないようにしていたにもかかわらず、特に意識せずにいると独自魔法について調べてしまっていた。それなのにもかかわらず独自魔法について詳しい事はほとんど見つからなかった。見たかったものと言えば独自魔法の簡単な説明だけだ。その簡単な説明も本当に簡単で、独自魔法とは既存の魔法を自己流に改変したものまたは、完全オリジナルの魔法のことを指す、ぐらいだった。調べても出て来ないんだったら知ってる人に聞くしかない。そう思い、まずは水戸さんに聞きに行くことにした。


「おや、今回は早かったね」


「この前水戸さんが言ってた独自魔法って言葉がどうしても気になって」


 俺は早速本題について話した。すると、水戸さんは何だか嬉しそうな表情になり言った。


「小出くんならそうなると思ったよ」


 水戸さんの発言と顔から予想通りって感じだった。つまり、水戸さんは初めから俺が独自魔法に興味を持つことを予測して言っていたのだ。それなら前の時に教えてくれてもいいんじゃないかと思ったが、それだと俺の自主性を無くしてしまうと考えたのではないかと結論づけた。


「独自魔法ってなんでこんなに情報が少ないんですか?」


 俺の問いかけに水戸さんが答えた。


「簡単だよ。自分が発明した魔法なんだから他人に知られたくないし模倣されたくないからだよ」


 言われてみれば確かにそうだ。言ってしまえば特許や著作権と同じだ。自分の物を他人に勝手にパクられたくないからそういうものがあるが、魔法にはそのようなものはなく勝手にパクられたところで分からない。だから、誰も独自魔法を公開しないのだ。考えれば分かりそうなのになんで分からなかったのかと自分はバカだなと思った。すると、水戸さんが俺の顔を覗き込み言った。


「独自魔法作ってみる?」


「やってみます」


 自分に落胆したままではダメだと気持ちを切り替えて行動に移した。と言っても何からやればいいのかも分からないし、独自魔法の基本すら知らない俺は水戸さんに助けを求めた。


「えっとーどうやれば……」


「あはは! 何も分からない状態から出来ないよねごめんね。まず、独自魔法はどんな魔法を作り出したいかイメージして後はマナをそのイメージ通りにするの。私が今まで見てきた攻略者の中にはマナを鞭みたいにして攻撃にも移動にも使ってる人もいたからなんでもは出来ないけどある程度は自由に出来るから何でもやってみて」


「はい」


 ここは俺の想像力の見せどころだとだと思ったが、そんなにすぐにいいアイデアが思いつくわけもなくしばらく考えることにした。攻撃系は普通の魔法で事足りてるから便利系の魔法がいい。それで尚且つサポート魔法とは被らないとなるとほとんど既存の魔法で埋まってしまう。それならさっきの水戸さんの話に出てきた攻略者のように全く異なるベクトルで考えることにした。保護バリアと似た感じだが、光学迷彩のように自分たちを見えなくするように出来たらいいなと思った。目の前に光が反射、屈折しないという性質を持たせたマナの壁を作り出してみた。


「小出くん!? どこ!?」


「え!? 俺のこと見えないんですか?」


「え? どういうこと? 何が起こってるの?」


 俺は水戸さんを落ち着かせるためにそのマナの壁を消した。


「おぉ現れた! どういうことなの?」


「えっと、マナに光を反射、屈折しない性質を持たせただけです」


「……凄いね」


「ありがとうございます」


「凄いけど信用できる人以外には見せないようにね」


「はい」


 水戸さんの忠告を心に留めた。独自魔法なんて他人に見せてもほとんど損しかないのだから使う場面は慎重に選ばないとなと思った。


「今日はこれで終わりにする?」


「そうですね。今度はサポート魔法教わりに来ます」


「それじゃあね」


 水戸さんに別れを告げて今度はじいちゃんのところに行った。じいちゃんは寝ていて俺には気づいていなかった。ちょうど良いと独自魔法を目の前に出しじいちゃんに声をかけることにした。


「じいちゃん起きて」


「……ん、健ちゃんか」


 そう言ってじいちゃんが体を起こすと俺の姿が見えないことを不思議に思ったのか周りをキョロキョロし始めた。本当に見えていないのか確認するために再び声をかけた。


「じいちゃんってば」


「健ちゃんどこにおるんじゃ?」


「本当に見えてないの?」


「見えてない? どういうことじゃ」


 本当に見えないんだと分かったので独自魔法を消した。すると、突然目の前に現れた俺にビックリしたじいちゃんが言った。


「もしかして独自魔法か?」


「さすがじいちゃん。どう凄いでしょ」


「本当に凄いぞ! さすがじゃな。でも、どうやったんじゃ?」


 じいちゃんに褒められ嬉しくなり俺の独自魔法について説明した。


「保護バリアのプライシディウムに光を反射、屈折しない性質を持たせたんだ。俺のプライシディウムが透明だからこそ出来た魔法だよ」


「ほぉそういうことか。よく考えたのぉ。それで名前は?」


「名前? そんなのないけど」


「健ちゃんは我が子が産まれたのに名前をつけないのか? 独自魔法に名前をつけるのはそのぐらい当然じゃぞ」


 まさか独自魔法に名前をつけるのがそこまで当たり前のこととは知らず、どんな名前をつけるかなんて考えていなかった。俺が名前に悩んでいるとじいちゃんが言った。


「ヌラ・レフラリフレクティブなんてどうじゃ? 性質をそのまま名前にしたんじゃが」


「いいね。じいちゃんが名付け親なら誇らしいよ」


「嬉しいこと言ってくれるのぉ」


「そうだ。じいちゃんの独自魔法はどんなの? 見せて!」


「お願いされちゃ見せるしかないの」


 そう言うとじいちゃんは少し気合を入れて両手を空に向けた。何をするのかと近くで見ているとじいちゃんが言った。


「離れておくんじゃ。もしかしたら健ちゃんに被害が出るかも知れんからの」


 そう言われ俺はじいちゃんから距離を取りプライシディウムを自分の前に出して万全の対策をした。それを確認したじいちゃんは再び魔法に集中した。しばらくするとじいちゃんの上空に太陽と瓜二つの魔法が出現した。じいちゃんはその魔法をどうもせず普通に消した。あの規模の魔法を撃ったらどうなることか想像もしたくなかったので一安心だ。


「どれ凄いじゃろ」


「うん! 流石じいちゃんだね! ちなみに名前はなんて言うの?」


「シクットソルじゃ」


「俺も使ってみたい!」


「健ちゃんなら簡単に出来るじゃろうからヒントなしでやってみなさい。独自魔法の見識がもっと深まるじゃろうからな」


 じいちゃんにそう言われシクットソルを模倣するべく意識を集中させた。太陽みたいだったから火魔法を極限まで突き詰めたらああなるのだろう。マナを何度も何度も上乗せし火がドロドロの溶岩になるぐらいのイメージを持たせた。でも、これだけじゃ足りないと感じ太陽が燃え盛っているイメージも上乗せした。その結果じいちゃんのシクットソルをほぼほぼ完璧に模倣できた。じいちゃんがシクットソルを消したように俺も消した。俺のシクットソルも少なからず被害が出ると思ったからだ。俺がシクットソルを消すとじいちゃんが言った。


「ここまでくると笑えてくるの」


「てことは出来てた?」


「完璧にな」


「よっしゃ! これもじいちゃんが魔法を教えてくれたからだよ。ありがとう」


「儂は当然のことをしたまでじゃ」


 俺はじいちゃんに別れを告げ現実に戻った。独自魔法のモヤモヤも解決したし今日はぐっすり寝られるなと確信した。勝たちにも独自魔法教えてあげようかとも思ったが、さすがに言いふらすようなことはしない方がいいと思いやめておいた。

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