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忘れられた記憶の断片から力を得れる俺は小出しで成り上がる  作者: 描空
学生編

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55話 モンスター討伐②

「次は十五組目の皆さんお願いします!」


 十五組目は美園(らん)率いる信神高校と桜花高校だ。桜花高校の三人は日の本にボコボコにやられていたが大丈夫だろうかと心配だったが、美園藍がいるから大丈夫だろうと思った。信神と桜花の六人が実戦場で準備を終えると、競技場の裏手からモンスターが現れた。そのモンスターは地獄にいるような鬼をそっくりそのまま体現しており少し好感すら持てた。俺がそんなことを思っているとユースが言った。


「ディアモリスじゃん。美園藍以外足手纏いにしかならないけど大丈夫かな……」


 俺はディアモリスというモンスターについて詳しくなくユースに聞いた。


「アイツそんなに強いの?」


「神災級に強いって言われてる破滅級のモンスターよ。外見の通り鬼の特性を持ってるんだけど、ディアモリスは戦闘センスがバケモノなの。右手に持ってる鬼の棍棒が見えるでしょ、あれどういう風に使うと思う?」


「普通に叩きつけたりするんじゃないの?」


「それだけなら楽なんだけどね。ディアモリスは時と場合に応じて棍棒の柄の頭に鎖を付けて広範囲を攻撃出来るようにしたり、口から火を吹いたりするの。それだけでも厄介なのにディアモリスが全速力で走ると時速百キロ以上って言われてて、瞬間的に移動する場合は音速を超えるって言われてるぐらいなの。だから、もしかしたら美園藍でも負けるかも」


 そんなに強いのかと心底驚いたが、美園藍は未来が見えるアイテムもあるし血怨刀傷(けつえんとうしょう)もあるから結構善戦できるだろう思った。それに、美園藍ほどの奴なら俺たちに明かしてないアイテムも持ってるだらうからいざとなれば使うだろうしそんなに心配せず見ることにした。


 美園藍は右手に血怨刀傷、左手に俺が弾き飛ばしどんな力か見れなかった刀を持ち初手から全力で行くようだった。美園藍は血怨刀傷に自分の血を吸わせ準備万端といった感じだった。左手のアイテムがどんなものなのか気になっているとディアモリスが美園藍の前まで歩き棍棒を取り出した。これは暗に美園藍と一対一の決闘をすると言っており、他の五人に手を出すなと睨みつけていた。五人はその迫力に怖気付き素直に従った。ディアモリスと美園藍が見合わせた刹那決闘が始まった。観客も一斉に声を上げ盛り上がった。美園藍はディアモリスと同等に戦っておりこのままなら体力切れで美園藍が負けると思った時、美園藍の左手の刀が眩く光った。ディアモリスがその光に目を押さえている隙に血怨刀傷で胸を突き刺した。だが、ディアモリスの肉体は強靭で心臓までは届かなかった。とは言えダメージは与えられた。このままならと思った刹那ディアモリスが叫んだ。


「グオ゛オ゛オ゛!」


 ディアモリスの体に血管が浮き出て明らかに怒っている、本気になったと分かった。そこからのディアモリスの猛攻は凄まじかった。美園藍は未来を見えるアイテムを持っているのに避けるだけで精一杯だった。何よりもエゲツないのが一メートルはあろう棍棒を美園藍が避けることしか出来ないほど早く振っていることだ。俺たちは人間とモンスターの差を理解させられた瞬間だった。美園藍は体力が無くなってきたのか次第に避けられなくなり攻撃を防ぐことが増えてきた。俺に何か出来ることはないかと思ったその時、アークシィリュームを使ってあげることにした。美園藍がやられるのはいいが、このままではディアモリスによって殺されると感じたのだ。離れた場所からアークシィリュームを使うのは初めてだったが、使った瞬間から美園藍の動きが良くなった。少し余裕すら生まれ俺のことを一瞬だけ見てきた。美園藍は俺がやってくれたと分かったのだろう。美園藍はアークシィリュームをフルに活かしディアモリスを身体能力で圧倒した。さっきまで自分が猛攻を仕掛ける側だったのに、一瞬にして反転したディアモリスは困惑し動きが固くなっていた。その隙を美園藍は見逃さずディアモリスに打ち勝った。


「ありがとう」


 美園藍が俺の目を見てそう言った。素直なところあるんだなと思った瞬間だった。


「美園藍選手、ディアモリスとの一騎打ちに勝利ー! 私たちに華々しい姿を見せてくれました! 我らが美園藍は世界最強だー!」


「「「うおおお! ! !」」」


 競技場は今まででいちばんの盛り上がりを見せた。美園藍は運営の人に治癒魔法を使ってもらい安静にしていた。モンスター討伐が終わり実況が明日のスケジュールを言った。


「翌日のスケジュールとしまして、各高校の点数と順位発表を行い表彰式をし、各部門で優秀だって生徒にアイテムを贈呈し閉会式を行います。追加の競技も考えておりましたが、各高校の素晴らしい活躍と選手の皆さんの体力を考慮して今年は追加の競技は行いません」


 実況の言葉を皮切りに観客席からよく頑張ったなどの労いの言葉が俺たちに投げかけられた。その言葉に俺たちは観客席に向かってありがとうや手を振って答えた。俺たちはホテルに戻り疲労を癒した。いつも通りマッサージチェアにお世話になっていると声をかけられた。


「小出くんちょっといいかな」


 その声は美園藍だった。無視するのはさすがに失礼だとマッサージチェアから立ち上がった。


「どうしたんですか?」


「小出くんだろディアモリスと戦ってる時にアークシィリュームでサポートしてくれたの」


「まぁそうです」


 俺は何か言われるのかと思っていると美園藍が優しい笑みで言った。


「ありがとう本当に助かったよ。小出くんからしたらただ普通に助けたつもりだったかも知れないけど、僕にとっては面子も助けてもらったことにもなったよ。君に勝ち抜きトーナメントでやられた時は世間の目が怖くてどうなることかと思ったけど、君のおかげで少しは怖くなくなったよ。君に下げられて上げられてってマッチポンプみたいだね」


「あははなんかすみません」


「いやいや良いんだよ。君には本当に助けられたから。もし良かったら何かお礼がしたいんだけど何か欲しい物はある? ハイブランドでもアイテムでもいいよ」


「マジですか?」


「うん」


 まさかの提案に興奮した。アイテムなんて滅多に入手出来ないためこのチャンスを逃すまいとアイテムを貰うことにした。


「ならアイテムでいいですか?」


「いいよ。競技会から貰えるアイテムで欲しいのがあればそれを僕が貰って君にあげるよ。だから、小出くんは別の欲しいアイテムを選びな」


「お言葉に甘えさせてもらいます」


「これは僕からの感謝の気持ちだから受け取ってくれて嬉しいよ。本当にありがとうね。それと、もし良かったら連絡先教えてくれない? 都合が合えば一緒にトレーニングとかしてみたいからさ」


「是非是非」


 美園藍の連絡先を貰い俺たちは別れた。本当に俺は運がいいなと思っていると美園藍からメールが届いた。これからよろしくねという内容のメールで、こちらこそお願いします藍先輩と返信を送った。後気になるのは明日貰えるアイテムがどれほどのものかだけなのでのんびり過ごすことにした。

ゆっくりお待ちください

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