48話 休息②
休息一日目、俺が目を覚ますとユースさんは部屋にいなかった。自分の部屋で化粧でもしているのだと思い、俺も朝の身支度を済ませた。ユースさんの身支度がどのぐらい時間がかかるのか分からずどうしようかと思っているとユースさんに連絡先を登録されたのを思い出した。身支度がどのぐらいで終わるかのメールをすると後十分ぐらいと返ってきた。十分何をしていようかと思ったが、一日歩き回ることになるだろうからなるべく疲労を溜めないように何もしないでスマホを見て時間を潰した。十分経ちもうそろそろかと思っているとインターホンが鳴った。俺はちょうどだなと部屋を後にした。
そこにはいつもとは少し雰囲気の違うユースさんが立っていた。いつもはナチュラルメイクぐらいしかしていないのに、今日はかなり可愛らしいメイクだった。アイラインはいつもよりハッキリとしており、口紅は派手すぎないちょうど良い主張感の色で、元々美形なユースさんがさらに数段上の可愛らしさになっていた。服装もメイクと同様可愛い系でフリルがあしらわれたスカートで靴は歩きやすいようにウィメンズのサンダルだった。ユースさんの外見に見惚れているとユースさんが言った。
「どう?」
「ずっごく可愛い」
普通に本音で答えるとユースさんはニコッと笑い嬉しそうに言った。
「ありがとう」
そう言うとユースさんの笑顔は男なら誰しも一度は向けられたいほどの笑顔だった。まさかこんな可愛い人が日本トップレベルに強いなんてと思うと、天は二物を与えずという言葉は嘘だなと確信した。その時、金田先輩はどうするのだろうと思い聞こうと思ったが、さすがにこの雰囲気で聞くのは良くないなと思い口には出さなかった。
「行こ」
ユースさんに言われ俺は歩き始めた。俺たちは早速浅草寺に向かった。俺たちは朝ご飯を食べておらずお腹が空いているのだ。だから早く浅草寺で食べ歩きをしようということだ。ユースさんに導かれ浅草寺に着いた。東京駅の難解さには俺もユースさんも頭を悩ませた。少し苦労はしたが無事浅草寺に着いた。浅草寺名物の雷門を見てユースさんがテンション高めに言った。
「健斗、写真撮ろ!」
ユースさんはテンションが上がっており俺に自撮りをせがんできた。ユースさんがスマホを構えると俺はカメラ目線で笑みを浮かべた。ユースさんも笑みを浮かべ写真を撮った。写真を確認してみると満面の笑みの俺たちの後ろに雷門が写っており完璧だった。写真を撮り終えると雷門をくぐってみた。その大きさと迫力には目を引くものがあり感動した。そこからしばらく食べ歩きを楽しんだ。食べ歩きも楽しみ次は東京スカイツリーに行くことにした。でも、そんなに時間のことは気にせずゆっくりと向かった。東京の街並みを見るのも観光のうちということだ。というわけで一直線にスカイツリーを目指すのではなく行きたい方向に行き見たい場所を見ながら向かうことにした。そんな感じでふらふらしているととある神社に着いた。そこの名前は今戸神社と言い縁結びにご利益がある神社らしい。俺は何となくへーっと思っているとユースさんが御縁御守を購入していた。あまりにも早い判断に少し笑みが溢れた。
「これでよし」
ムフーと鼻息を立てて言うユースさんは小さい子どものようで見ていて微笑ましかった。ユースさんに御守を買うように勧められたが、俺はそういう性格ではないと断った。ユースさんは少し不服そうな顔をしていた。しばらく歩きスカイツリーまで着いた俺たちは早速展望回廊まで行った。スカイツリーからの眺めは圧倒的と言うか見る者全てを飲み込むみたいな感じがした。日中に見るのもいいが、夜に見るのもいいだろうなと思った。そんなことを思っているとお腹が空いてきたためそんなにガッツリは食べず、ある程度空腹を満たすぐらいの昼ご飯を食べることにした。スカイツリー内のレストランへ行きある程度の昼ご飯を食べた。とても美味しくすごく満足した。次はアメ横に向かうことにした。スカイツリーからアメ横までは普通に歩くため昼ご飯はある程度の量で良かったと思った。
アメ横に着くと人の多さと店舗の多さに驚いた。約四百店舗もある商店街は伊達じゃないなと思っていると、ユースさんはもう食べ歩きを始めていた。そんなにお腹空いていたのかなと思ったが、いい匂いが漂ってきてこれは我慢出来ないと俺も食べ歩きを始めた。道中様々なお店を見て面白い文言が書いてある洋服を買ったりして休息を十分に楽しんだ。休息一日目が終わりその日の夜今日の感想と明日の予定を話しながら眠りについた。
休息二日目、俺たちは朝早くから秋葉原に向かった。秋葉原は本当に色んなジャンルのお店があり見ているだけでも一日があっという間に過ぎそうなぐらいだ。俺たちはどんなお店があるのか調べたりせず、お店の中に入ってそこがどんなお店なのか初めて知るようにした。リサイクルショップなどにも入ったが、東京ということもあり品揃えが豊富で中にはアイテムを売っているお店もあった。でも、何十万という価格でさすがに見るだけにとどめた。しばらく秋葉原を歩き回り様々なお店を見たが、アニメキャラなどのガチャガチャや小さなぬいぐるみ程度しか買えなかった。フィギュアなども良かったのだが、さすがに荷物になるため買えなかった。それでも秋葉原は楽しくとても満足した。昼ご飯は有名な場所で食べ上野動物園に向かった。
上野動物園に入ると中には多種多様な動物たちがいた。レッサーパンダからサイなど普段テレビでしか見ることの出来ない動物だらけでテンションが上がった。ユースさんもとても楽しそうで何よりだ。ひとしきり上野動物園を楽しみお土産を見てみた。パンダのぬいぐるみなど動物園らしいお土産が沢山ありユースさんはどれを買おうか悩んでいた。
「何が欲しいの?」
俺がそう聞くとユースさんが答えた。
「欲しいのはいっぱいあるんだけど、ライオンの赤ちゃんとトラの赤ちゃんで悩んでるの」
そう言うユースさんの両手に握られているぬいぐるみはとても可愛らしく俺も欲しくなった。そこで一つ提案をした。
「俺がどっちか買うからユースさんはもう一方を買えば?」
「流石健斗! お言葉に甘えさせてもらうわ」
そう言うとユースさんは俺にライオンの赤ちゃんのぬいぐるみを渡してきた。俺たちはぬいぐるみを買い上野動物園を後にした。もう夕方となっておりホテルに戻ることにした。ホテルまで戻る道中、この二日間どうだったか話し尽くした。食べ歩きで美味しかった物は何かやスカイツリーからの眺めが凄かったなどの思い出を話しているとあっという間にホテルまで着いた。ホテルで晩ご飯を食べた。俺が部屋に戻ると当たり前のようにユースさんも部屋についてきた。ユースさんはまだ語り足りなかったようでしばらく話し続けた。俺はうんうんと話を聞き本当に楽しかったなと再認識した。ユースさんは寝る準備をするために一度部屋に戻った。俺もその間に寝る準備を済ませた。ユースさんが戻ってくると当たり前のようにベッドに潜り込んできた。するとユースさんが話し始めた。
「健斗はいつまで私のことさん付けで呼ぶの?」
言われてみれば俺はずっとユースさんと呼んできた。これだけの関係なのにさん付けはおかしいなと思った。でも、今から呼び捨てになるのも恥ずかしいなと思っているとユースさんが続けた。
「ねぇ、私のこと呼び捨てで呼んで」
「ユ、ユース……」
俺は目線を合わせないように言うとユースさんが言った。
「今からさん付け禁止ね」
そう言いユースは俺に抱きついて眠りについた。競技会から戻ってきたらさん付けじゃなくなってるってみんなにバレたら変な噂されそうで嫌だなと思ったが、ユースが自分で言ったことだから仕方ないと受け入れた。
ゆっくりお待ちください




