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忘れられた記憶の断片から力を得れる俺は小出しで成り上がる  作者: 描空
学生編

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45話 勝ち抜きトーナメント①

 昼ご飯を食べ十三時前に控室に戻るとすぐに運営の人がやって来た。


「トーナメント表確認しておいてくださいね」


 それだけ言うとすぐに出て行った。俺たち出場者に報告する係の人なのだろうが、そんなに急ぐ必要はないように思えた。トーナメント表なんて普通の人であれば確認するし、確認しなかったことで有利不利が起こることなんてないだろうからだ。トーナメント表には高校の名前がズラーっと書かれており最初はチーム戦からやるようだった。今日はもう午後ということもあり個人戦だと人数が多く今日中に終わらないからチーム戦が先なのだろう。その時ふと思った。個人戦なら味方と対戦することになるのではないかと。気になり金田先輩に聞いてみた。


「金田先輩、勝ち抜きトーナメントの個人戦って同じ高校の味方が対戦相手になっても戦うんですか?」


「そうだぞ。でも、大抵の場合どちらかが棄権するからなるべく当たらないようにはしてるけど、毎年どこかは当たるから仕方ないんだと思うよ」


 そんな話をしていると運営の人がやって来て競技場に移動するように言われた。俺たちは指示に従い競技場に向かった。他校の生徒も控室から出て来ており、全校が他校の実力、アイテムの力を把握出来るようにしていた。五大校以外の生徒が少しでも勝てる可能性を上げるためにもこうなっているのだろう。だが、同時に五大校の生徒の勝利も上げているためいいのか悪いのかは分からない。そんなことを考えていると実況が喋り始めた。


「十三時となりました。それでは只今から勝ち抜きトーナメントチーム戦を始めたいと思います! 今年のトーナメントは至ってシンプル。制限時間はなしで相手にギブアップさせるか負かすかのみの分かりやすいルールとなっております。昨年は制限時間を設けて行ったのですが、不評でしたので撤廃致しました。得点の算出基準は、チーム全体で連携が取れているかや対戦相手への対処方法など多面的な視点から算出します。制限時間はないとは言いましたが、さすがに遅すぎる場合は減点対象となりますのでご注意してください。第一試合は南郷高校と谷峨(やが)高校となります!」


 実況の声の後に俺たち出場者が待機している場所から六人が立ち上がり用意されている実戦場に向かって行った。この六人がどんなアイテム、魔法を使うのかきちんと見ておかないとと集中した。レフェリーの人を真ん中に両サイドに三人づつ立ち準備出来たようだ。レフェリーの人が周りにいる運営と意思疎通をして試合を始めた。最初は両者様子見をしており攻めなかったが、南郷の一番背の大きい男子生徒が背中に背負っている鬼の棍棒のようなアイテムを手に取り勇猛果敢に攻めにいった。谷峨の三人は攻撃を避けカウンターをしようとした。だが、南郷の生徒も黙ってみておらずカウンターをしようとした生徒に対して魔法を撃った。火魔法による攻撃で谷峨は少し引き気味になった。屈強な前衛に時と場合に適した魔法使い。これだけでも厄介だと思っていると、南郷のもう一人がどこにいるのか見えなかった。谷峨の三人もそれに気づいたが、一歩遅かった。谷峨の魔法使いの一人が首元に短剣を突きつけられていた。


「ギブアップ」


 谷峨の魔法使いがギブアップを宣言し、南郷が人数有利を得た。そこから谷峨が破れるのは早かった。屈強な前衛と魔法使いに神出鬼没のアサシンのような一人が加わり谷峨はあっという間に追い詰められギブアップを宣言した。待機場所で見ていた俺たちはアサシンのような一人のアイテムがどんな能力なのか考察することしか頭になかった。全員黙って眉間に皺を寄せていると次の組が呼ばれた。


「まさかの奇襲に対処出来ず谷峨高校敗退です。第二試合は白陵高校と張田高校となります!」


 白陵高校は前衛二人に後衛一人のスタンダードなパーティだが、張田高校は全員が前衛の超交戦的なパーティだった。試合が始まると白陵の後衛が弓を張田の三人に向かって撃った。張田の三人は持ち前の身体能力を活かし綺麗に避け接近戦をやろうとしたが、白陵の前衛の一人がバットを振りかぶった。そんな大ぶりな攻撃避けられると思っていた刹那、バットを振り抜くととてつもない突風が吹き荒れ張田の三人は飛ばされないように必死だった。その突風はしばらく吹き続け、張田の三人が身動き出来ないところを後衛の弓使いが矢を射り勝利を掴んだ。


「白陵の作戦勝ちといった感じでしたね。続きまして第三試合は五大校の一角である信神高校と相園高校となります!」


 信神高校は光正と同じく五大攻略校の一角で実力もかなりのものだ。信神の三人が実戦場に上がると観客席から黄色い声援が送られてきた。鳴り止まないと思うほど長い時間声援は続いた。信神のエースと思しき生徒はイケメンで体格もスラっとしておりそこまで強そうな印象は受けなかった。だが、人は見た目で判断してはいけないということをすぐに思い知らされた。試合が始まったと同時に信神のエースが刀を握ったと思ったら、刀から雷魔法を撃ち相園の三人を一撃で倒した。まさか刀を握ったのに魔法がくるとは思っていなかった俺は心底驚いた。相園の三人もこんなやられ方納得いかないだろうが、これが実力差というものだと思った。信神が勝利すると黄色い声援がさらに増え信神の人気がどれほどのものなのか理解させられた。


「信神高校エースの美園(らん)選手、見事な雷魔法でしたね。第四試合は日の本高校と桜花高校の五大攻略校同士の試合となります!」


 ここで五大校同士の試合が見られるなんてと観客席はかなりの盛り上がりを見せた。やはり五大校の人気はかなりのものなのだと再認識した。試合が始まり日の本の前衛が背中に担いでいた特大剣を取り出し実戦場に突き立てた。何をするのかと思っていると、桜花の魔法使いがそれを阻止するように爆発魔法を撃った。だが、その前衛は特大剣で爆発魔法を防ぎ切り再び実戦場に突き立てた。すると、特大剣より前の地面が激しく揺れ始めた。局所的な地震のように揺れ桜花の三人は立てないでいると、日の本の前衛が再び特大剣を突き立てると地震の揺れが大きくなり桜花の三人はなんとか逃れようとしていたが、揺れでまともに動けないでいた。だが、桜花もそこでやられるほど柔ではなかった。前衛の一人が残りの二人を揺れの範囲外にまで投げ飛ばし日の本の前衛に攻撃をさせたのだ。日の本の前衛はさすがに守りに意識を集中させ揺れが止まった。桜花の三人が前衛の一人に集中砲火をしていると、日の本の残す二人が桜花の三人の背後から魔法を浴びせた。桜花の三人はモロにくらい戦闘不能になった。と誰もが思ったが、桜花の男子生徒が立ち上がり根性を見せた。だが、虫の息の一人が三人に勝てるはずもなく桜花は敗北した。


「前衛に気を取られた桜花が初戦敗退となりました。第五試合は再び五大校同士となります。光正高校と明皇高校だー!」


 ついに俺たちの番が来た。俺たちが実戦場に立つと観客はかなり盛り上がった。光正も五大校なんだと改めて実感した。金田先輩とユースさんが前衛で俺が後衛という陣形を取り試合が始まった。金田先輩が爆斬刀・真を抜きユースさんも雷王の剣を抜いた。俺は黎杖(れいじょう)を構え相手の出方を見た。明皇の構成は前衛一人の後衛二人で俺たちとは真逆だった。構成を確認した金田先輩が俺に合図を出した。俺は爆発魔法を撃ち相手の視界を妨害した。その瞬間金田先輩とユースさんが攻撃した。俺も氷刃剣を抜き前衛に加わった。明皇の魔法使いが火魔法で防御しており攻めれていない状況だったので、俺は氷刃剣を下から上に振り抜き地面を凍らせた。


「何これ氷!?」


 明皇の生徒が困惑しているのを確認した俺は水魔法で火魔法を消し、氷刃剣の氷で動けなくなっているところを倒し勝利した。なるべく情報は与えずに勝利でき心の中でガッツポーズをした。観客席も俺たちに声援を送ってくれた。五大校の初戦は俺たちで終わったので後は強敵となりそうな生徒がいないか見るだけとなった。信神と当たるのは四回戦目になるだろうからそれまでになるべく情報を集めようとした。それに、勝ち抜きトーナメントは個人戦もあるのだから情報はあって損はないという考えの元、全員のアイテム、魔法を把握する勢いで試合を見た。そんな考えで試合を見ているとあっという間に一回戦が終わり、二回戦が始まった。南郷と白陵の試合は南郷のアサシンが白陵の突風で活躍出来ず白陵の勝利となった。


「次の試合は信神高校と日の本高校となります!」


 信神の情報はほとんど把握出来ていないため今のうちにもっと情報をと思っていた。信神と日の本の試合が始まると、日の本はお得意の局所的な地震を発生させた。だが、信神はさも何もないかのように平然としており日の本は冷や汗をかいていた。信神のエース美園藍が歩いてくると日の本の前衛はさらに揺れを強くし後衛も魔法をこれでもかと撃ったが、美園藍は刀で魔法を斬り笑みを浮かべていた。


「来るな! その笑顔で俺たちに近づくな!」


 日の本の前衛は何をしても動じない美園藍に恐怖し腰が引けていた。だが、美園藍は歩みを止めず日の本の三人の目の前まで笑顔で歩いた。最後に日の本の前衛が一矢報いろうと特大剣を振り上げ美園藍の頭目掛けて振り下ろしたが、美園藍は平然と片腕で特大剣を受け止め力の差を見せつけた。


「ギブアップ……」


 日の本は力の差に絶望しギブアップを選んだ。美園藍のその様子はとても人間とは言い難く悪魔と言われた方がしっくりくる。なぜ彼が人気なのか不思議で仕方がなかった。俺たちの試合が始まったが、美園藍の様子が頭にこびりつきどんな試合だったか全然思い出せなかった。二回戦の間、他校の情報収集をしようとしたが、美園藍のことが頭から離れず全く情報収集出来なかった。二回戦が終わると小休憩が挟まった。俺たちは控室に戻った。控室でゆっくりしているとじいちゃんの声が聞こえてきた。


(あの美園藍とか言う奴気をつけたほうがよさそうじゃぞ)


 その後すぐに武帝の声も聞こえてきた。


(アイツは全身アイテムだらけだ。人間と戦ってるとは思うな。モンスターを相手にしてると思ってかかれ)


 二人の声に俺は気を引き締め四回戦目に当たるのを覚悟した。すると、金田先輩とユースさんは微かな俺の変化に気がつきどうしたのかと寄り添ってくれた。俺は何もないと言ったが、二人は不審な目で見てきたので美園藍のことが気になっていることを話した。すると、金田先輩が美園藍について話してくれた。


「アイツはなぁ異常と言ってもいいぐらい強いな。バケモンだ。多分十個はアイテム持っててエゲツない強さしてるんだ。正直言ってモンスターよりモンスターだよ」


 そう言う金田先輩の顔は真剣そのものでじいちゃんと武帝が言っていたことは間違いではないんだと驚いた。そんな話をしていると小休憩が終わり競技場に戻った。

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