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忘れられた記憶の断片から力を得れる俺は小出しで成り上がる  作者: 描空
学生編

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44話 競技会②

 いよいよ明日から競技会本番が始まる。ホテルで布団にくるまっていたが、緊張と楽しみで一向に寝付けないでいた。シロを抱きしめに行ったら眠くなるかななどと思っていた時、部屋のインターホンが鳴った。俺は誰だろうと思ったがとりあえず開けてみた。そこにはパジャマ姿のユースさんがいた。


「どうしたの?」


 夜遅い時間に訪ねてくるなんてと思い聞いてみると、予想外な答えが返ってきた。


「あ、あのね私何かに抱きついてないと眠れなくて……布団を丸めて抱きしめてみたんだけどダメで……」


 そう言われても俺は抱き枕なんて持って来てないし、さすがにユースさんに抱きつかれては俺の方が眠れない。そんなことを考えているとユースさんが言った。


「健斗を抱きしめて寝ちゃダメ?」


 ユースさんは上目遣いで言ってきた。さすがにこのお願いを断れるほど俺の精神は強くなく受け入れてしまった。ベッドの上で俺は仰向きになり抱き枕に徹した。ユースさんが眠ったらイスに座って寝ようと考えていた。そんな時ユースさんが言った。


「抱きしめ返してみてくれない? その方が寝られそう」


 そんなことしたら俺が寝られなくなるよと言いたかったが、それでは俺もユースさんも寝られないためユースさんの提案を受け入れた。抱きしめてみて分かる柔らかさと体温。さらに、いい匂いまでする。俺の全身がユースさんの成分で侵されそうになっているとユースさんが呟いた。


「ありがとう。おやすみ」


 ユースさんの声は蕩けているような感じだった。落ち着いているからか眠たいからかは分からないがユースさんがこのまま眠ってくれたら俺も少し離れて寝られると思っていたのに、ユースさんは俺をガッチリと抱きしめ離してくれなかった。俺はもういいやと何も考えないように全身の力を抜き脱力した。


 目を開けると朝になっていた。ユースさんは俺の隣で眠っておりスマホで時間を確認した。午前六時。競技が始まるで時間はある。二度寝しても良かったが、さすがに変な時間まで寝てしまってはいけないので起きておくことにした。スマホを弄りながら隣を見ると、ユースさんが幸せそうな顔で眠り続けていた。いつになったら起きるんだろうなと思いながら寝顔を見ていると、ユースさんの目が開き目が合った。


「お、おはよう」


「おはよ。私の寝顔変だった?」


「いや幸せそうに寝てたからつい見てたんだ」


「まぁ私って美人だからね。見惚れるのも仕方ないわ」


 さっきまでは少し恥ずかしい思いをしていたのに今ではこの少し憎たらしい少女にデコピンでもしてやりたい思いになった。だが、この思いをグッと堪え平然を装った。


「まだ競技まで時間あるけどどうする?」


「ならこのまま健斗を独り占めするわ」


 俺の頭の中は疑問符でいっぱいだった。なぜユースさんが俺のことを独り占めするのか、なぜ目を細めニヤけながら言うのか、分からないことだらけだった。すると、ユースさんは俺の頭の中が疑問符でいっぱいなのを察したのか言った。


「冗談よ。そんなに本気にしないで。競技までゆっくりしておきましょ」


 笑いながら言うユースさんに俺の頭の中の疑問符はようやく解放された。朝食の時間になるまでベッドでゴロゴロしたりスマホゲームをやったりして時間を潰し、ホテルの朝食を食べ、少し体を動かし競技に向かった。ユースさんのおかげで緊張は全然しておらず、逆にコンディションは最高だった。競技会が行われる会場は国立攻略者競技場という名前で競技会の他にも様々なスポーツなどにも使われていそうな場所だった。競技場の控室に行くと、ユースさんと金田先輩に豪嶽砕(ごうがくさい)について聞かれた。父さんに貰ったアイテムだと適当に答えその場をやり過ごした。二人は俺のアイテムより今は競技会だと気持ちを切り替えた。会場アナウンスの声がかすかに聞こえてきていよいよ競技会が始まるのだと心拍数が上がった。


「いよいよね」


 ユースさんはとても嬉しそうな楽しそうな表情をしており、その表情に勇気を貰えた。自分を奮い立たせ競技会をやり遂げることを念頭においた。


「お三方開会式が始まります」


 運営の方が俺たちを呼びに来てくれた。俺たちは運営の方に従い開会式に参加した。競技場にはとてつもない人数が押し寄せており観客席は満席だった。一万人は超えているであろう観客数に競技会の人気を思い知らされた。俺たちが競技会中央に歩いて行くと観客の歓声が最高潮に達し、割れんばかりの歓声に目を見開いた。オリンピックと同等かそれ以上の熱気に俺たちにかかる期待と将来性が手に取るように理解できた。


「只今より第七十二回全国高校選抜競技会を挙行致します」


 会場の盛り上がりとは反対に開会式は厳粛に行われた。競技の準備があるからと俺たちは出場者は一度控室に戻るよう言われた。控室で一種目目のモンスター討伐のためのウォーミングアップを行っていると、運営の人が俺たちを呼びに来た。案外早くもう少しウォーミングアップしていたいなと思ったが、そんな時間はなく競技に向かった。


「第一種目は各高校の実力が現れるモンスター討伐となります。モンスターの等級は天災級以上と少し物足りないように感じるかも知れませんが、みなさんここが競技会ということをお忘れなく。今回、競技会に出場している生徒の実力に応じてモンスターの数が増え、制限時間が短くなる仕組みとなっております。得点はモンスターの討伐数と残り時間から算出されます。五大校同士のモンスター数はさほど変わらないのですが、その他の高校は多少モンスターの数が違います。ですが、その分五大校は制限時間が短くその他の高校は制限時間が短くなっており、五大校以外の生徒たちにも優勝の可能性が十分にある配分となっています。それでは準備が出来たようですので始めていきましょう!」


 俺たちは各エリアに分かれた場所に案内された。この中でモンスターを倒すのだと理解した。各エリアは全面ガラス張りとなっており、モンスターが通ってくるであろう通路が設けられていた。そして、俺たちがいる各エリア全てを囲むように保護バリアが張られており観客に被害は出ないようになっていた。なるべくここで点数を稼ぎたいと思ったが、ここではそこまで点数の差は出ないだろうからなるべく相手に情報を与えないために最小限の力でやることにした。


 そんなことを考えていると、目の前からモンストル・マービスという大きく異形な鳥のモンスターが現れた。鋭利なクチバシで空から攻撃してくるタイプのモンスターで、等級は天災級だ。でも、この限られた空間で鳥タイプのモンスターが出てくるとは思っていなかった。案の定自由に飛び回ることは出来ず普通に倒せた。そこから何体かマービスが現れたが、難なく倒した。次は単眼のサイクロプスが二体現れた。その雰囲気は連鎖のダンジョンのミノタウロス兄弟のような感じで少し身構えたが、ユースさんと金田先輩は躊躇することなく斬り掛かった。サイクロプスは思っていたよりも弱く普通に二人に倒された。そんな勢いでモンスターを倒し続けた俺たちは制限時間の半分を残して倒し終えてしまった。他校の情報収集でもしようと周りを見てみたが、どの高校もそこまでアイテムの力を使っておらず魔法や剣のみで倒していた。


「第一種目モンスター討伐終了です! 出場者の皆さんは次の勝ち抜きトーナメントの準備をしてください」


 しばらく周りを見ていると実況が一種目目の終了を告げた。俺たちは控室に戻りトーナメントの準備を始めた。と言っても、アイテムの調子を確認したりウォーミングアップをしたりするだけだ。それよりもう昼が近くお腹が空いてきた。そんなことを考えているとアナウンスが入った。


「只今より昼休憩と致します。二種目目の勝ち抜きトーナメントは十三時から始まります。それまでごゆるりとお過ごしください」


 俺たちは昼ごはんを食べるためにホテルに戻った。ホテルの昼ご飯は栄養バランスが完璧でエネルギーも確保できるメニューだった。満足のいく昼ご飯にやる気と活力がみなぎってきた。このまま勝ち抜きトーナメント優勝してやるぞと意気込んだ。

ゆっくりお待ちください

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