37話 古代魔法
シロに魔法を教えてもらった翌日、もっとこの魔法について知りたいと思い、忘れられた記憶の断片を持ちレディトスと唱え、じいちゃんの所に向かった。
「アペルタ」
中に入ると、じいちゃんがランニングをしていた。体が鈍ったり衰えたりしないためにやっているのだろう。邪魔するのもよくないなと思い気づくまで待ってみることにした。少しすると、じいちゃんがランニングを終え俺と目があった。
「け、健ちゃん!? い、いつの間に来ておったんじゃ?」
「さっきだよ。じいちゃんの邪魔しちゃ悪いかなって思ったから声かけなかっただけだよ」
「そ、そうか。いやー驚いた。儂が何かしている時に来たことなかったから油断しておったわ」
「確かにじいちゃんが何かしてる時に来るのは初めてだね。それで聞きたいことがあって来たんだけどいい?」
「もちろんじゃ」
そんな雑談をしてから、シロに教えてもらった魔法について聞くことにした。
「昔の魔法なんだけど、真っ白だったり青白い雷魔法とか青白い火魔法なんだけど知ってる?」
「知ってるも何も儂らの時代はそれが主流じゃぞ。じゃから儂はサポート系のアークシィリュームが苦手なんじゃ。他の魔法は大して変わらんからいけるんじゃけどな。どうしてもサポート系は変わり過ぎていまいちなんじゃ」
「そうなんだ。ていうかなんで最初から教えてくれなかったの?」
「そりゃ現代の子に昔の事教えてもいい印象持たれないじゃろ?」
「確かに」
じいちゃんの判断は正しいと思ってしまった。でも、時と場合によるというのはこの事だ。俺は昔の魔法なんていうロマンの塊の話聞きたくないわけがない。俺は話を戻して昔の魔法の話を聞いた。
「でも、俺は昔の魔法の話聞きたいから話して」
「分かった。儂らの時代の人たちが使ってた魔法はしばらく前までは古代魔法って言って研究されてた魔法じゃったんじゃが、現代の魔法と比較してマナ効率が悪いわ出現するまで時間がかかるわで研究すらされなくなって忘れられたんじゃ。歴史はこんなもんかの。それじゃあ次は古代魔法の説明じゃな。
古代魔法は必要なマナが現代の魔法に比べてとてつもなく多い。それに、魔法を出現させるまでの時間もかかる。だが、その分威力は一級品じゃ。とは言え、昔の戦場で魔法使いは真っ先に狙われる存在だったからそんなに活躍できなかったんじゃ。じゃから現代の魔法に軍配が上がって忘れられたんじゃ。ちなみに、古代魔法の豆知識を教えておくと、一度集中させたマナに再び集中させたマナを上乗せすると、指数関数的に増えるからそれを活用するのが良いぞ」
「そうなんだ。ちなみに、黎杖でやってみたらどうなると思う?」
俺は思っていることを聞いてみた。すると、じいちゃんはうーんと答えるべきか否かを考えていた。少し考え答えが出たようだ。
「儂も気になってある程度ならやったことはある。その時は火魔法じゃったんじゃがな、あまりにも大きく小さめの山に匹敵するぐらいの大きさのが出現したんじゃ。健ちゃんならマナ感知でどのぐらいの大きさになるか分かると思うが、指数関数的に増えるから感覚が狂うと思う。ここで試すのはいいが、外ではやめておくように」
「はーい」
じいちゃんの言葉を裏返してみればここではやっていいということなので、黎杖は使わずやってみることにした。右手に一旦マナを集めて、それと同じ量のマナを上乗せしてもう一回マナを上乗せしてみた。これでどのぐらいの大きさになるのか確認するために火魔法を出現させた。今回は現代の魔法と同じ普通の火だが、大きさは桁違いで太陽と錯覚するぐらいの大きさだった。さすがにこんな大きな火魔法が必要な場面くることなんてないため、大きさじゃなくて火力に寄せることにした。一度火魔法を消し火力に寄せてみた。マナを上乗せして上乗せして、大きくならないようにマナを凝縮させて火力にリソースを割くイメージでやってみた。すると、今までの青白い火ではなく、紺色というか濃い青色になった。夕方の日が落ちた後の空の色と言えば分かりやすいだろう。俺がその火魔法を出現させるとじいちゃんが言った。
「流石健ちゃんじゃな。それはカエルレノフラムという儂らの時代では火魔法の最高到達点と言われた火魔法じゃ。普通の人じゃと習得するのに十年から数十年かかるって言われておるんじゃぞ。マナ感知の才があればこんなにも簡単じゃとは知らなかったのぉ」
じいちゃんに褒められ自然と笑みが浮かんできた。そこから俺は調子に乗り水、雷、風、爆発魔法を古代魔法の要領で試してみることにした。水魔法は、今まで見たことない質量の水が出現し俺とじいちゃんはその水に流されてしまった。
「コラ! 少しは加減せんか!」
「ごめんなさい」
じいちゃんに怒られてしまったが、魔法を使う手は止めなかった。雷魔法は、手から雷を出現させるのではなく、自然現象の落雷を再現してみた。目の前に雷が落ちる経験は初めてだったので、音と衝撃に飛び上がるほど驚いた。
「少しは加減せい!」
再びじいちゃんに怒られたが、それでも加減することなく魔法を出現させる場所を遠くしたりと工夫して自分たちに影響が出ないようにした。風魔法は、台風の時のとてつもないスピードの風をイメージして右手から噴出させてみた。すると、あまりの風速に俺の体が耐えられず飛び上がってしまった。
「うわーーー!」
俺は飛び上がるなんて思っておらず驚いていると、じいちゃんが言った。
「左手からも風を出して安定させるようにするんじゃ!」
じいちゃんの指示に従い左手からも風を出して安定させることに成功した。そこから徐々に風を弱めて地面に着地した。すると、じいちゃんは俺の前に立ちデコピンをした。
「痛っ!」
「加減せいと言うておるじゃろ。なんでこんな無茶なことするんじゃ?」
「外で使う時のためだよ。今のうちに古代魔法に慣れておいて外で使う時にちゃんと制御できるようにしておかなくちゃでしょ」
「そうじゃがもっと少ないマナでやってもいいじゃろ」
「そうだけど、どれぐらい凄いのか気になるじゃん」
「その気持ちは分かるが、怪我したらどうするんじゃ」
「大丈夫。爆発魔法はちゃんと加減するから」
そう言い爆発魔法に取り掛かった。今回はマナを上乗せするのでなく、一度にマナを凝縮させて使ってみた。かなり遠くで爆発させたが、爆風がこちらにまで届き、爆発の様子は特撮映画の爆発シーンのようだった。これで上乗せしていないのだから上乗せして指数関数的に増えさせたらどうなるんだろうと思った。だが、さすがにそんなことして怪我をしないと言い切れないため使わないようにした。
「これ加減したのか?」
じいちゃんは鳩が豆鉄砲を食ったような顔で聞いて来た。俺は素直に頷くとじいちゃんはなんとも言えない表情で言った。
「儂なんてあっという間に超えてしまったの……」
その声色は寂しいような悔しいような思いが込められているように感じた。
「なんかごめん……」
俺は申し訳なくなりじいちゃんに謝った。すると、じいちゃんは俺の頭を撫でながら言った。
「いいんじゃ。健ちゃんが成長してくれるのが一番じゃからな。それに、弟子の成長を妬む師匠なんておらんじゃろ?」
そう言うじいちゃんの顔はさっきまでとは打って変わって、誇らしそうにしていた。そんなじいちゃんのいい顔に俺は笑顔で頷いた。すると、じいちゃんが杖を取り出して言った。
「勝負しようか。久しぶりにじいちゃんも疼いてきたわ」
「負けないよ」
俺とじいちゃんは思いっきり古代魔法を使いあった。火魔法の大きささ比べをしたり、水魔法で水を押し付けあったり怪我はしないような勝負をした。俺とじいちゃんはどの勝負も互角でとても楽しい勝負だった。
「楽しかったの!」
「うん!」
俺とじいちゃんは笑顔でそう語り合い勝負を終えた。一休みしている時、じいちゃんに古代魔法にもサポート系の魔法があるのではないかと思い聞いた。
「ねぇじいちゃん。古代魔法にもサポート系の魔法ってあるの?」
「もちろんあるぞ。じゃが、今の健斗には教えん。もっと体が成長してから教えてやる」
「それじゃあ楽しみにしてるね。バイバイ」
「またの」
じいちゃんに別れを告げ現実に戻った。明日は何をしようかと思いながら眠りについた。
ゆっくりお待ちください




