27話 期末テスト②
ガーゴイル、体長約三メートルを有する大型のモンスターで体は石で出来ており、獣のような顔に翼、鋭い爪が特徴的なモンスターだ。体が石で出来ているため近接系の攻撃は通りが悪く、ガーゴイルを怯ませることも難しい。したがって、ガーゴイルを攻略するには魔法使いの存在が必要不可欠だ。幸い俺たちのパーティは魔法使いが二人いて、俺も魔法を使えるため攻撃面は問題なさそうだ。でも、防御面が心配だ。春奈の銀翼の天使で多少は守れるだろうが、全員を守るのは厳しい。どうしようかと考えているとガーゴイルと目が合った。
「みんな距離を取れ!」
俺は咄嗟にみんなに呼びかけた。その瞬間ガーゴイルが襲ってきた。俺たちは間一髪で躱した。すぐ反撃しないとガーゴイルのペースに持っていかれると感じた俺は黎杖で爆発魔法を撃った。ガーゴイルの胸目掛け、かなりのマナを込め、撃ったためそれなりのダメージになったと思ったが、爆発させる場所が悪く、爆発の衝撃できちんと当たっていなかった。ガーゴイルは俺を標的にして、翼で舞い上がり空から急襲してきた。俺は逃げるのが遅れたが、春奈の銀翼の天使のおかげでガーゴイルの攻撃は俺まで届かなかった。ガーゴイルが攻撃を外した隙に剛田が二本の斧で翼を攻撃した。宮村と西田も魔法でもう片方の翼に攻撃した。宮村は翼に土を固めた物で物理的に攻撃し、西田は爆発魔法で攻撃していた。ガーゴイルは一度引き態勢を立て直した。
「グオオオ!」
ガーゴイルが咆哮をすると勢いよく走ってきた。さっきの攻撃で飛べなくなったのだろうかと思っていると、ガーゴイルの足元が爆発した。選抜戦で俺に怪我を負わせた設置型の爆発魔法だ。ガーゴイルの左足にヒビが入るほどの威力だった。俺たちは今だと左足に攻撃をしようとしたが、ガーゴイルはそれを拒むように翼で守りを固めた。だが、俺たちにはチャンスだった。両翼に攻撃を浴びせ続け、ガーゴイルの翼にヒビが入った。ガーゴイルは翼を守るように自分の背に収めた。俺たちはもう少しだったのにと悔しがった。
「グオオオ!」
ガーゴイルが再び咆哮をした。俺たちは身構えた。でも、結果は想像していたものではなかった。なんと、ガーゴイルの右翼が崩れ落ちていたのだ。俺たちが不思議に思っていると春奈がしてやったりという顔をしていた。ガーゴイルの落ちた右翼には銀の羽が刺さっていた。春奈がしてくれたのだと理解した。そこから勢いに乗れると勘違いした俺たちはガーゴイルに猛攻を仕掛けた。爆発魔法や土魔法で砂埃が立ち、ガーゴイルがよく見えないでいた。俺たちはいつガーゴイルが攻撃をしてきても対応できるように構えていた。その時、砂埃の中から手のひらサイズの石が飛んできた。
「うわぁぁぁ!」
「きゃぁぁぁ!
俺たちは姿勢を低くして何とか石を避けた。少しすると石が飛んでこなくなった。俺たちは未だ姿勢を低くしていると砂埃が消えガーゴイルの姿が見えた。ガーゴイルは俺たちの猛攻を崩れ落ちた右翼で防いでおり、その猛攻で出た石の破片をこちらに投げていたのだ。自分たちの攻撃がモンスターに利用されるとは思っておらず攻めあぐねているとガーゴイルが再び石を投げてきた。俺は水魔法を火の壁のように出現させた。水で勢いが殺された石は水の中で止まった。
「今のうちに攻撃して」
俺がそう言うとみんな攻撃を始めた。剛田はガーゴイルに駆け寄り西田の爆発魔法で傷ついた左足を攻撃し、春奈は空中からガーゴイルの顔面に向かって攻撃し、西田と宮村は俺の後ろからガーゴイルの胸目掛けて攻撃した。俺たちの攻撃は着実にガーゴイルにダメージを与えており全身ヒビだらけだった。俺は次のチャンスにガーゴイルを木っ端微塵にするために準備を始めた。
「宮村、さっき俺がやってたみたいに水の壁を作って石を防いでくれ! 西田は剛田をサポート! 春奈は剛田たちと一緒にガーゴイルの注意を引いてくれ!」
俺の言葉に各自すぐさま行動に移した。俺は今自分が集められるだけのマナを集めガーゴイルが木っ端微塵になるぐらいの爆発魔法をイメージした。
「「「今だ!」」」
春奈たちの声に俺は笑みを浮かべガーゴイルに爆発魔法を撃った。あまりの爆風に自然と防御態勢を取るほどだった。その結果俺たちはガーゴイルを討伐することに成功した。
「よっしゃあああ!」
俺は心の底から喜んだ。実戦場で見ていた他の生徒は俺たちに賞賛の言葉を送ってくれた。俺たちは先生たちにも褒められた。そんなに大きな怪我もないし一人一人がきちんと役割をこなし連携が取れていたと鷲田先生が言ってくれた。俺たちはその言葉が一番嬉しかった。一応怪我をしてるかも知れないからと治癒魔法をしてもらい実戦場に戻った。次はユースさんたちだ。ユースさんは特に緊張している様子もなく準備運動をしていた。すると、実戦場が少し振動しているのが分かった。ドシンドシンと振動しており何だと思っていると、その振動はドンドン近づいてきていた。その振動の正体はユースさんたちが戦うゴーレムだった。ゴーレムはガーゴイルと同様足で出来ているが、性質は全く違う。ガーゴイルが攻撃特化だとすればゴーレムは防御特化だ。それに、大きさも違う。ゴーレムは約五メートルほどあり、形状は人型。特に目立った武器は無いが、その重みこそが最大の攻撃方法であることは明らかだ。
「私の援護を!」
ユースさんが飛び出した。体に雷を纏い、鎧のようにしているその姿はキラキラと光っており神々しかった。ユースさんが攻撃をしてもゴーレムにはあまり効いているようには見えなかった。やっぱり石で出来ているから近接攻撃が効きづらいのだろう。ユースさんの仲間は魔法使いと近接職が半々で分が悪いように思えた。ゴーレムは魔法の攻撃に反応して防御態勢を取った。魔法使いが悪戦苦闘していると、近接職が近づいて攻撃し始めた。一人がゴーレムの足に剣を突き立てるとその突き立てた所が腐食し始めた。石をも腐食させるアイテムの力に感心しているとゴーレムが右手で足元にいる近接職二人に攻撃をしようとした。二人は避けられないと察し防御態勢を取った。でも、ユースさんは違った。ユースさんは近接職二人を守れるように少し離れてアイテムを使っていた。だから、ゴーレムの右手を受け止めることが出来たのだ。
「逃げて!」
ユースさんが二人に指示を出すと、二人は早急にその場を離れた。ユースさんはアイテムの力をゴーレムの右手に流した。すると、ゴーレムの右手は雷の威力で崩壊した。ユースさんのアイテム、雷王の剣は英雄級で超アタッカー向けだから出来る芸当だ。でも、ユースさんはゴーレムの右手を受け止めた衝撃で少ししんどそうにしていた。それを把握した四人はユースさんの体力を回復させる立ち回りに変えた。
魔法使いが絶えず攻撃しゴーレムに防御態勢を取らせ、近接職二人はゴーレムの攻撃が当たらないところでアイテムを使っていた。もう一人の近接職のアイテムは槍で空中を自由自在に動かしていた。ゴーレムはその槍にも気を配らなければならないためしばらく時間を稼ぐことに成功した。そのためユースさんの体力はすぐに回復した。どうやってゴーレムを倒すんだろうと思っているとユースさんが槍の人に指示を出した。何の指示を出したのかまでは聞こえなかったが、その指示はすぐに理解できた。
ユースさんは槍のアイテムの上に乗ったのだ。あまりにも奇抜な発想に俺たちは驚きを隠せなかった。でも、体長五メートルもあるゴーレムに有効打を与えるのはこれしかないと思ったのだろう。ユースさんがゴーレムの顔の目の前に来ると、ユースさんは槍から降りてゴーレムの眼前まで迫った。その時、空の色が真っ黒になり雷を落とすのだと理解した。その刹那、ゴーレムに雷が落ちた。雷の威力に耐えられるわけもなくゴーレムは崩れ去った。俺たちはあまりのアイテムの強さに歓声を上げた。ユースさんは俺に向かってクシャッと笑って見せた。どうだ見たかと言わんばかりの笑顔に俺は自然と笑みが溢れた。
「お疲れ」
「本当疲れた……」
ユースさんは相当疲れており椅子の上に寝転がった。
「終わったら起こして」
「はいはい」
俺と春奈、ユースさんはこれで期末テストは終わりだが、勝と透はまだだ。ユースさんは疲れて寝てしまうようだが、俺と春奈は勝と透の勇姿を見るために応援した。そこから選抜戦トップ10以外の人たちのテストが始まった。玄人級のアイテムを持っているなら一人で倒せると言われている災害級のオークを五人一組で討伐するテストだった。みんな何の苦戦もせず逆に味気がないようだった。最初に天災級の戦いを見た後なので仕方ないと思ったが、先生たちの狙い通りなのではないかと感じた。ガーゴイルやゴーレムに比べればオークなんてと感じるだろうから、変に緊張せずに自分本来の実力を発揮出来るためだ。これにて期末テストは終わり後日テストの点数が返ってくることになった。俺は父さんと母さんにテストが難しかったことを話すことにした。なって言ったってガーゴイルと戦い完勝したのだから自慢してもいいだろうと思ったからだ。
夏休み編かなーって思ってます
ゆっくりお待ちください




