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忘れられた記憶の断片から力を得れる俺は小出しで成り上がる  作者: 描空
学生編

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25話 魔法の授業

 じいちゃんから黎杖(れいじょう)の説明と爆発魔法を教えてもらった数日後、いつも通り実戦系の授業があった。普段は塩田先生のアイテム、近接戦闘の方で授業を受けていたが、今日は尾形先生の魔法の授業を受けることにした。光正は普通科の高校とも同じ攻略校とも違いかなり自由に授業が受けられるようになっている。ただ、大抵の生徒はアイテムを一つしか持っていないから最初にゲットしたアイテムの授業を受けるのだ。俺は氷刃剣も黎杖もあるから選択できるのだ。春奈の銀翼の天使のような特殊系は持っていないから受けられないのだけが残念だ。


「透、今日は俺も一緒に魔法の授業受けるから」


「待ちくたびれたぞ。選抜戦で戦った時ぐらいしか魔法使ってなかったから魔法は後回しかと思ってたけど、そんな事ないんだな」


「そりゃそうだ。どっちも使えるから片方に偏らないようにしなくちゃいけないって思ってるからな。今日からしばらくは魔法だ。って事で勝はユースさんとやっててくれ」


「はいよ」


「ちょ、ちょっとそんな事聞いてないわよ! 相川くんなんてへっぽこだから肩慣らしにもならないのに!」


 ユースさんの無自覚失礼発言に俺たちはマジかと思っていることが顔に出てしまった。勝は明らかに不機嫌そうな顔をしていたが、指の関節をボキボキ鳴らしやってやろうじゃないかと意気込んでいた。


「ユースさんよ、俺はまだまだあんたの足元にも及ばない雑魚かも知んねぇ。だがな、いつかあんたと肩を並べるぐらい強くなってやるから心して待ってな」


 勝の言葉にユースさんは嬉しそうに笑い言った。


「男に二言はないわよね?」


「もちろんだ」


「高みで待ってるわ。何なら私が育ててあげても良くってよ」


「弟子が師匠を超えてやるよ」


 そう言うと二人は思いっきり戦い始めた。塩田先生が驚いていたが、止めることはせず真剣な眼差しで見守っていた。俺と透も二人のやる気に感化され一緒に魔法を撃ちたくてたまらなくなった。俺たちは顔を見合わせ空に魔法を撃った。地面に撃つとグラウンドがダメになってしまうので先生たちの迷惑になると考えたのだ。俺たちが魔法を撃っていると尾形先生が俺たちを集めた。


「今日はみなさんの魔法がどのレベルにいるのか見て、一人一人に合った方法を教えたいと思います。出席番号順でやりますので呼ばれるまでは各々周りの人に迷惑にならないように自主練習していてください」


 俺たちは普通にやっても面白みに欠けると考え、二人一緒に魔法を撃ってみることにした。俺が空中に火の玉を出現させ透がその火の玉に水魔法をぶつけた。すると、水蒸気爆発が起こった。それほど大きい爆発ではなかったが、俺たちは興奮して他にも何か出来ないか探した。火魔法に風魔法を合わせたり水と風、爆発と風などを試していると俺の名前が呼ばれた。


「はい。小出くんは何の魔法が使えますか?」


「火、水、風、爆発魔法です」


「多いですね。その中で扱いづらさを感じる魔法はありませんか?」


「無いですね」


「それじゃあその魔法一通り使ってみてください」


「はい」


 俺は火魔法から爆発魔法まで使った。尾形先生は何かメモを取っていた。俺が魔法を使い終えると尾形先生が言った。


「どの魔法も滞りなく使えててバッチリです。特に私から教えなくてはいけないことは無いので、逆に何か質問はありますか?」


 じいちゃんにサポート系の魔法を教えてもらう約束をしているが、尾形先生はサポートも使えると聞いていたので、じいちゃんの負担を少しでも減らせるようにと聞くことにした。


「サポート系の魔法ってどんな感じなんですか?」


「サポート系の魔法の使い方ですか?」


「そうです」


「サポート系の魔法は二通りあって、一つは自分に、もう一つは誰かにです。自分に使うのはまだ簡単ですが、誰かに使うのはかなり難しいので、自分に使う方法を教えます。サポート系の基本的なものはアークシィリュームと言います。自分の身体能力を高める魔法でマナを全身に駆け巡らせることで身体の動きをサポートしてくれる役割を果たします。誰かに使う際はこれを相手の体にもやることになりますのでとても難易度が高いというわけです。他に聞きたいことはありますか?」


「大丈夫です。ありがとうございました」


 思い立ったが吉日ということで早速アークシィリュームを試してみることにした。今までマナを手にしか集めてこなかったため最初は全身に駆け巡らせることに苦労したが、どんどんやっていくうちにマナを全身に行き渡らせることに成功した。この状態で魔法を使うと全身に行き渡らせたマナが一点に集まりそうだと思い普通に体を動かしてみることにした。すると、いつもより体が疲れづらく、スピードとパワー共に上昇しているように感じた。身体能力が高められているのが手に取るように分かった。俺は楽しくなり校庭を何周も走り回った。普段ならバテているであろう距離を走っても息が上がる程度で済みアークシィリュームの凄さを体感した。俺が満足して走り終えると勝とユースさんが話しかけてきた。


「急にどうしたんだ?」

「何であんなに走ってたの?」


 二人とも不思議そうな顔をしていたのでアークシィリュームというサポート系の魔法を使っていたのだと説明した。すると、二人は目を見開いて自分にも教えてくれと言ってきた。俺は尾形先生の言葉をそのまま伝えた。二人は頑張っていたが、眉間に皺を寄せるだけで成功はしなかった。


「ダメだー」


「何で健斗はそんなにすぐ出来るの?」


「生まれつきとしか言いようがない」


 俺の悪気のない言葉に二人は悔しそうにした。その時尾形先生に呼ばれ二人の元を離れた。


「個別での指導が終わったので最後は実戦を想定した魔法を使ってみましょう。先生が水魔法を襲ってくるモンスターに見立てますのでそれを各々得意な魔法で破壊してください。最悪の場合杖で破壊することも良しとしますが、杖が破損しても学校ではどうしようも出来ませんので魔法で破壊するように」


 再び出席番号順で行われた。最初の人たちは少し手間取っていたが、何とか魔法で先生の水魔法を破壊できた。他の人たちも苦戦はしたが破壊することに成功した。いよいよ俺の番になった。先生が水魔法を出現させ始まる合図を出した。すると、尾形先生はさっきまでとは全然違うスピードで水魔法を動かした。さっきまでは直線的に動いて魔法が来そうなタイミングで避けるだけだったのに、今は不規則に動いてこっちに来たと思ったら引いたりしてまともに狙いをつけられない。そこで俺は水魔法の動きを止めるために風魔法で突風を起こした。水魔法はその突風に対抗することなく舞い上がり、そのタイミングで爆発魔法を使い水魔法を破壊した。俺は先生に文句を言いたかったが、実戦で文句を言うことなんてできないため甘んじて受け入れた。透の番になった。透の時も水魔法が少し不規則に動かしており実力に応じて変えているようだった。透は何とか地面から木を棘のような形状で出現させ水魔法を破壊した。最終的に全員水魔法を破壊し今日の授業は終わった。


 部活でアークシィリュームを使いながらメニューをこなしていると金田先輩に見抜かれ使わないように注意されてしまった。確かに普段から使っていたらいざ使えなくなった時危機的な状況に陥り足元を掬われるかも知れないが、普段から使うことで身体能力向上に役だったりするかも知れないから用法要領を守らなくてはいけないなと感じた。

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