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忘れられた記憶の断片から力を得れる俺は小出しで成り上がる  作者: 描空
学生編

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23話 報酬

 選抜戦が終わりいつもの日常が戻ってきた。最初のうちは選抜戦が終わってしまい寂しい気持ちがあったが、こういう機会はたまにあるのがいいのだと自分に言い聞かせた。いつも通り授業を受け昼休みとなった。俺たちが食堂で昼ご飯を食べに行こうとすると校内放送がされた。


「えー、今年度の光正選抜戦で各学年トップ10入りした生徒はアイテム保管庫に集まるように」


 鷲田先生の呼び出しに俺と春奈は保管庫に向かった。そこにはもうユースさんもいた。


「遅いよ」


「ごめんごめん」


 ユースさんは早くアイテムを選びたいのかウズウズしていた。選抜戦は一位から順にアイテムを選ぶから俺に早く選んで欲しいのだろう。


「よし揃ったな。それじゃあ一位から入って来い」


 俺と二年の先輩そして、金田先輩と保管庫に入った。


「一位おめでとう」


「ありがとうございます」


 金田先輩は優しく話しかけグータッチをしてくれた。部活の先輩後輩だからこれほど優しくしてくれるのはあるだろうが、金田先輩は強さも優しさも兼ね備えた完璧な三年生だと感じた。女子から人気もあるだろうなと思っていると鷲田先生が歩みを止めた。


「周りを見てみろ。ここには俺たち教員でさえいつ入手したか分からないぐらい古いアイテムがゴロゴロある。一応アイテムの詳細が書かれた書類は残ってはいるが、探すのに時間がかかるだろう。だから、なるべく分かりやすい剣とか杖とかにした方が早く自分の物にできる。リング系もあるにはあるが今この場でパッと説明はできない。自分の直感に従って選ぶように」


 俺たちは自分に良さそうなアイテムを探した。色々手に取ってみたり詳しくみてみたりしたが、あまりこれだと思うようなアイテムは出てこなかった。ふとその時鷲田先生の奥にもアイテムがあるのが見えた。俺はそこにあるアイテムも貰っていいのか聞くことにした。


「先生の奥にあるアイテムも貰っていいんですか?」


「あー……やめておいた方がいいとだけ言っておく」


 何だか含みのある言い方に疑問に思ったが、金田先輩が肩をちょんちょんと叩き教えてくれた。


「あの奥にあるのは言わば曰く付きって感じなんだ。使用者の体力を削るやつだったり、マナを莫大に消費するとかだから、一度貰っても別のアイテムに交換っていうのが多々あるんだよ。できることならやめときな」


 そういう背景があったのかと納得したが、裏を返せばその分莫大なリターンがあるのではないかと思った。ゲームとかでもデメリット付きの物には必ずそれ相応のメリットがある。ない物も存在しているが、大抵はメリットも存在している。試しに見るだけ見たいなと思い鷲田先生に言った。


「見るだけ見てもいいですか?」


「後悔することになるぞ」


 鷲田先生は渋々それらのアイテムを見せてくれた。一見すると普通の剣や槍、杖、リングなどが置いてあった。一体どんなデメリットがあるんだろうなと思っていると鷲田先生が言った。


「小出残るはお前だけだ早く選べ」


「は、はい」


 俺は手早くアイテムを見た。その時、じいちゃんの声が聞こえてきた。


(そこの左奥にある杖がいいと思うぞ)


 俺は急なじいちゃんの声に驚いたが、じいちゃんの助言だと思いその杖にすることにした。杖は手前に剣や槍で隠されるようにして置かれていた。何とか杖を持ち出し鷲田先生に見せると鷲田先生はあまり良い反応は示さなかった。俺は思わず言葉が漏れた。


「これってそんなにヤバいんですか?」


「そんなことは無いんだがな、その杖が原因で悲惨な事件が起こってしまったんだ。その事を思い出しただけだ。でも、お前ほど優秀な生徒ならきっと大丈夫だ。信じてるぞ」


「は、はい……」


 俺は何とも言えない返事をした。じいちゃんの助言を基に選んだ杖は透の杖と同じようにかなり大きく重量があるタイプの杖だった。じいちゃんから貰った杖は小さく持ち運びが楽だったが、これは大変そうだと思って保管庫から出るとユースさんが待ってましたと言わんばかりに保管庫に入った。そんなに急がなくてもいいだろうと思っていると春奈が話しかけてきた。


「随分と大きな杖だね。透のよりも大きいんじゃない?」


「そうだな。前まで使ってた杖と比べ物にならないぐらい重いよ」


「そりゃそうだよ。でも、なんかこっちの杖は一撃ドーンみたいな感じがする。モンスター相手にはもってこいって感じだね」


「そうだといいな」


 そんな会話をしているとユースさんが保管庫から出てきた。ユースさんは俺が前まで使っていた杖とほぼ同じサイズ感の杖を手にしていた。


「これで健斗を超えてみせるわ!」


 そう自信満々に言うユースさんが少し面白く俺と春奈は微笑んだ。


「な、何笑ってるのよ!」


「だって、なんか子どもみたいでかわいいから」


「そうそう。新しいおもちゃ貰った子どもみたいだなって」


 俺と春奈がそう言うとユースさんは顔を真っ赤にして言った。


「ええいうるさい! とにかく、私は健斗を超えてみせるんだからすぐに追いつかれないように精一杯努力しなさいよ!」


「楽しみにしてるよ」


「その態度ムカつくわね。今から訓練しに行くわよ!」


 俺の言葉にユースさんは早速行動に移した。ユースさんに腕を掴まれて引っ張られていると春奈が手を振っていた。愉快な笑みを浮かべていた春奈も保管庫に入った。春奈はどんなアイテムを手にするのかなと思っていると実戦時についた。もうついたのかと思い早速戦闘体制を取った。でも、俺たちは実戦場の観客席にいた。俺は訓練するんじゃないかと思っていると、ユースさんはどこから出してきたのか分からないお弁当袋を取り出した。


「これ作ってきたから食べて……」


 そう言うとユースさんは顔を背けておりどんな表情をしているのか分からなかったが、耳が赤いことから照れているのだけは分かった。


「ありがたくいただくよ」


 お弁当を手に取り蓋を開けると、そこには可愛らしいクマのキャラ弁があった。俺はキャラ弁を作ってもらったのが初めてで思っている事が口から漏れた。


「え、可愛い! これ作るの大変だったでしょ? ありがとう! いただきます」


 俺はお弁当を食べると味付けの仕方のちょうど良さにがっついた。夢中でお弁当を食べ終え隣を見るとユースさんがとても幸せそうに笑った。


「美味しかった?」


「う、うん……美味しかった。ありがとう」


 ユースさんの屈託のない笑みに少し照れてしまった。すると、ユースさんが腰を上げた。


「さ、訓練するわよ。腹が減ったら戦はできぬって言うでしょ? もう出来るわよね?」


「愛情たっぷりキャラ弁でお腹も心も充足感でいっぱいだよ。昼休みいっぱい付き合ってやるからかかって来い!」


「そ、そんな調子に乗って痛い目見るわよ!」


 ユースさんは少し顔が赤くなっていた。でも、訓練が始まるといつもの真剣な表情に戻り何とか戦いの中で魔法を使おうと苦戦していた。俺も初めて使う大きな杖だから上手くいかず、ぐだぐだな訓練となった。


「「あはは!」」


 俺とユースさんはあまりにもぐだぐだで笑いが込み上げてきた。さすがにこんな状態で訓練をしても意味がないと訓練の手法を変えた。俺がユースさんに魔法の使い方を教え、ユースさんが大きな得物の扱い方を教えてくれた。互いに何とか扱えるようにはなったが、実戦投入するのはまだまだ先だと二人で笑い合った。そんな事をしていると昼休みも終わり俺たちは教室に戻り授業を受けた。


 放課後になり部活に行こうと勝と歩いていると後ろにユースさんがピッタリついて来ていることに気がついた。話を聞くと同じ部活に入りたいらしく塩田先生に入部届を貰ってくるように言った。部活の場所は訓練場ということ伝え俺たちは先に向かった。


 いつも通りのメニューをこなし休憩しているとユースさんが訓練場にやってきた。先輩たちはまさかユースさんが来るとはと心底驚いていた。でも、金田先輩はいつも通りだった。ユースさんにどんなメニューをやっているのか説明し実際に見てもらい実際にやってもらった。今日の部活も終え帰ろうとするとユースさんがバイバイと手を振ってくれた。俺たちは手を振り返した。ユースさんは迎えの車に乗り込み颯爽と去って行った。俺たちはユースさんの話をしたり攻略者の動画の話をしたりして家まで帰った。

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