204話 七度目の攻略授業
文化祭が終わり一週間が過ぎようとしていた。もう完全にいつも通りの学校生活に戻っており普通に授業を受けていた。振替休日で火水が休みだったから木金と二日行くだけで土日休みになるため学生としては最高な週だった。今日は金曜日ということで土日何しようかなと考えていると帰りのホームルームが始まり塩田先生が話し始めた。
「今回はちょっと早いけど冬休みも近づいて来てるから再来週攻略授業に行くことになった。再来週行くダンジョンの名前は難儀のダンジョンだ。再来週までに諸々の準備と下調べをしておくように。手練れのダンジョンと同等の難易度のダンジョンだからくれぐれも油断しないように。大丈夫だとは思うが念には念をって言葉もあるぐらいだから調子に乗ったり、ふざけたりしないようにな。もう三年生だから言う必要ないだろうけど一応な。それじゃあまた月曜日」
そう言うと塩田先生は帰りのホームルームを終えて教室を後にした。もう次の攻略授業が始まるのかと思いながら帰り支度をしていると勝が話しかけてきた。
「なぁ健斗今度の難儀のダンジョンはさどんどん進んで行ってダンジョンの奥深くまで攻略しようぜ。その方がためになるし強いモンスターとも戦えてアイテムもあるかも知れないし」
「そうだな。でも、一応みんなにも了承取っておかないとな。どんなモンスターがいてもある程度なら大丈夫だけど、神災級なんて出てこられちゃたまったものじゃないからな。下調べとみんなの了承を得て初めて奥深くまで攻略するか改めて決めよう」
「備えあれば憂いなしだな。悪魔のダンジョンの時みたいなエゲツないバケモノが出てくる可能性もゼロじゃないからな。また健斗に迷惑かけることになるからそれだけは避けたいけど、俺たちが最短で健斗と肩を並べられるようになるには神災級と戦うのが一番だと思うけどな」
「そんなリスキーなことしなくていいよ。それに、勝たちが俺より弱いなんて思ってないし足りないところは互いに補い合っていけばいいじゃん。今までだってそうして来たんだから」
「二人とももう帰るよー」
そんな話をしているとユースたちはとっくに帰る準備が出来ており俺たちを待ってくれていた。俺たちはすぐにカバンを背負いユースたちと一緒に帰った。文化祭が終わり生徒会の仕事も落ち着いて来たため久しぶりに早く帰れた。部活は生徒会の仕事が忙しく辞めてしまったが、二年生の頃から幽霊部員だったし部活内や部活を通しての出来事も無かったため所属している意味がないと思い辞めたのだ。それに、俺たちが部活に行くと生徒会の仕事が疎かになりせっかくのイベントがちゃんと開催されなかった可能性もあったため辞めて正解だったと思っている。そんなことを思いながら家に帰り休日を満喫した。難儀のダンジョンの攻略授業まで一週間もあるから下調べはまた今度と思い土日はゴロゴロ過ごしていた。
月曜日になり一週間がまた始まった。授業は面白いし学校自体に不満は無いのだが、武帝やじいちゃんの稽古に比べると学校の実戦授業はあまりにも生ぬるくあくびが出るほどなので退屈だった。その時、塩田先生が手練れのダンジョンで火と風と雷の三種の混成魔法を使っていたのを思い出し教えてもらうことにした。
「塩田先生、手練れのダンジョンでモンスターの巣から出て来たモンスターたちを一掃した火と風と雷の混成魔法教えてください」
「おういいぞ。ちょうどいいから他にも教えて欲しいやつがいるかも知れないしみんなに聞くからちょっと待ってて」
ということで塩田先生は三種の混成魔法を教えて欲しい人はどれだけいるのか確認して教えて欲しいやつを一箇所に集合させた。
「それじゃあ解説始めていくぞ。まず名前からだが、火と風の混成魔法はフオフェン。そして、そこに雷が加わり火風雷の混成魔法になるとイニスヴェントフールとなる。魔法は名前みたいに雷を付け加えたらオッケーってな感じで簡単にいかないのが面倒なところだが、そこが楽しく研究のしがいがあるところでもある。
やり方だがフオフェンなら火の中に風魔法を入れ込んだり、風の中に火魔法を入れ込んだりと人によって様々だから俺のやり方を教えても合う合わないがある。人によっては火と雷の混成魔法のフォルゴエットフラマに風魔法を入れ込むことで出来るようになる人もいればフオフェンに雷を入れ込むことで出来るようになる人もいる。風と雷の混成魔法であるプロチャリィに火魔法を入れ込む人も少ないがいるから各々自分に合った方法があるから根気強く試すように。後は各々分からないところがあれば聞きに来るように」
早速実践となり、俺は試しにフオフェンに雷魔法を入れ込んでみることにした。火の竜巻の中で雷が猛々しく雷鳴を轟かせているのを感じ取り、イニスヴェントフールを手のひらの上に作り出すことに成功した。
「出来た……」
案外サクッと成功してしまい嬉しく思っていると勝が言った。
「もう出来たのかよ。俺なんてフオフェンに苦戦してるのによぉ」
「頑張れば勝も出来るようになるって。それに、勝は前衛だし得意としてるものが違うから出来るようになるのに時間がかかるのも仕方ないって」
「そうだけどさぁ、やっぱり負けてばっかりじゃ悔しいから何か一つでも健斗に勝ちたいなって」
勝の言葉に俺は勝に負けているところはどこか探してみた。シンプルに体格では勝には勝ててないし凍界無別の強さはアイテムだから違うとして、おそらく素の動体視力は勝の方が上回っていると思う。俺がアークシィリュームを使わなくても勝は大抵のモンスターと渡り合えるし素の身体能力は勝の方が格段に上なのは間違いない。勝にそう伝えようとした時、ユースが言った。
「勝が健斗に勝ってるところなんて圧倒的に肉体と近接戦闘でしょ。健斗はアークシィリュームで身体強化しないとまともに近接戦闘出来ないけど、勝は普通に戦えるじゃん。近接は勝で魔法は健斗って感じだから特に競い合う必要はないと思うけど?」
「確かに。健斗も言ってたけど得意としてるものが違うから普通に近接では勝ててるのか。なんか競うようにしてた俺が馬鹿みたいだな」
「そんなことないよ。競い合って高め合うそんな関係でもいいじゃん」
俺がそう言うと透と春奈が何の話をしてるのかと聞いてきた。俺が事情を説明すると透と春奈は楽しそうでなりよりと笑顔で混成魔法の練習を再開した。それを見て俺たちも混成魔法の練習を再開した。そこからはみんなにイニスヴェントフールを作るコツを教えたりしながら授業が終わるまでそれを続けた。その結果、ユースと透は不安定ながらもイニスヴェントフールを使えるようになり勝と春奈は使えない状態で授業が終わった。難儀のダンジョンまで一週間あるためこの時間を利用して授業中みんなに魔法を教えてあげることにした。
次回もお楽しみに




