205話 難儀のダンジョン①
難儀のダンジョンに行くまでの一週間みんなに魔法を教えた結果、ユースと透、春奈はイニスヴェントフールを完璧に使えるまでになり、勝は不安定ながらも使えるようになるまで成長した。勝のイニスヴェントフールは時々マナ量をミスってめちゃめちゃデカいのが出来たり、どれか一つの魔法が突出して混成魔法としての体裁を成していないのが出来てしまったりともう少し練習が必要だった。
そんなことがありつつ一週間が過ぎ難儀のダンジョンに攻略授業に行く月曜日となった。いつも通り携帯食をカバンに詰め、着替えやアイテムを入れ準備は整った。腰に帯剣している豪嶽砕と笑みの寵愛などのアイテム以外はすべて忘れられた記憶の断片の中に収納しているため荷物にならずありがたいなと思っていると集合の時間が近づいてきていたため忘れ物が無いのを確認してから家を出た。
勝たちと今回の難儀のダンジョンについて話しながら学校に向かっているとみんなやけに難儀のダンジョンについて詳しいなと思った。何でだろうと考えたがすぐに分かった。俺が下調べをしていないだけだ。土日は面倒でやらず平日もみんなに魔法を教えたりしていたためすっかり忘れてしまっていた。どうしようかなと思いながら歩いていると透が突然問うてきた。
「健ちゃんは難儀のダンジョンで戦ってみたいモンスターっている?」
突然の問いと事前情報の無さが相まって何のモンスターを答えればいいか分からず考えていると春奈が言った。
「健ちゃんならセルペンスバイセプスじゃない?」
「まぁそうだな」
春奈からのパスに乗っかり何とか誤魔化せたと思っていると透が続いた。
「健ちゃんならデヴォレイトだと思ったんだけどなぁ」
「まぁどのモンスターでも掛かってこいって感じだな」
聞いたこともないモンスターの名前に深掘りすることはなく当たり障りのない浅い返事をしてその場は乗り切ることに成功した。学校に着き鷲田先生の話が始まるまでの間も何となく合わせて中身のない発言をして乗り切った。
「前回からかなり短いスパンでの攻略授業になりますが、逆に言えばみなさんに残された時間はそれほど短いということです。この攻略授業が終わり二週間もすれば冬休みに入り、冬休みが明けると攻略試験が待っています。そして、その攻略試験を合格すればギルド・企業または個人で攻略者になることになります。学校がみなさんをサポート出来るのはもう残り僅かな時間です。将来のために自分の人生の道に迷わないために先生たちを頼りに頼ってください。魔法のことでもギルド・企業のことでも何でも相談に乗ります。進学する人はまだもう少し先ですが、今のうちに胸中の悩みを解決するために何でもいいので先生たちに打ち明けてください。
私たち先生は貴方たちが後悔しないように、最善の未来を模索するためにいます。私の話を聞いて少しでも話してみようと思えた人は休憩施設ででも担任の先生か他の先生に話してみてください。今はみなさんの人生を左右する大切な時期です。一人で抱え込まず友達にも相談してみてください。話が逸れてしまいましたが、気を取り直して難儀のダンジョンに向かいましょうか」
鷲田先生の話が終わり俺たちはバスに乗り込んだ。俺は難儀のダンジョンに向かうまでの間に下調べをすることにした。まずは春奈たちが言っていたモンスターを調べた。
セルペンスバイセプスは二つの頭を持つ超大型の蛇のようなモンスターであり二つの頭からはそれぞれ違う魔法を撃ってくるとのことで、個体にもよるが混成魔法を撃ってくることもある破滅級モンスターらしい。
デヴォレイトは四足獣のような骨格をしているモンスターだが、異様なほど口が大きくどんな生き物でも食べてしまう雑食性のモンスターらしい。見た目はハダカデバネズミのように肌が露出しているという独特な外見らしい。そんな見た目だが、デヴォレイトの皮膚は異常なほど分厚く魔法もアイテムでの攻撃もほとんど通らず、破滅級を倒せる攻略者でも倒せない人がいるらしい。他にも目が悪く動いている物なら何でも襲いその強靭な顎で噛み砕くのだという。
両者とも大きさは四メートルほどでセルペンスバイセプスは大きい個体で十メートルもあるそうだ。デヴォレイトの外見を調べてみたが、本当にハダカデバネズミのようで出会したくはない見た目だった。
他にどんなモンスターが出てくるのか調べてみると連鎖のダンジョンで出会したネクロマンサーや競技会で戦ったミノタウロスとマンティコアも出てくるらしく何だか懐かしい気持ちになった。ある程度下調べも終わり残りの移動時間は寝て過ごし体力満タンの状態で攻略出来るようにした。
「はーいみんな起きてーもう難儀のダンジョン着くよー」
塩田先生の声に目を覚ました。窓の外を見てみると辺りは木が所々に植えられている草原でありこんな場所にダンジョンがあるのか不思議だった。とりあえずバスが停まるまで待っていると視界の奥に何やら物々しい雰囲気の大きな岩があった。よく見てみるとその岩には大きな両開き扉があった。あれが出入り口なんだろうなと思っているとバスはその岩に近づき少し離れた場所で停まった。
「それじゃあみんな荷物持って降りて」
荷物を持って降り学年全員が集まるまで待ち全員がバスから降りてくると鷲田先生が先導して難儀のダンジョンに足を踏み入れた。洞窟タイプのダンジョンであり休憩施設まで行くのに下りの道がしばらく続いており道を下っているとようやく休憩施設に着いた。すると、鷲田先生が全員が休憩施設に着いたのを確認してから話し始めた。
「今から攻略授業を始めるのでスビティスシィを配ります。いつも通り各パーティ毎に一つ配るので何かあったら躊躇なくスビティスシィを吹くように。難儀のダンジョンは手練れのダンジョンほど広くはありませんが、それでもかなりの広さのダンジョンですので道に迷わないように。先生たちが見回りに行ける範囲はそこまで広くないのでどんどん攻略しようと思ってるパーティは気をつけて進むように。それでは担任の先生からスビティスシィを受け取ったパーティは攻略を始めてください」
ユースがスビティスシィを受け取り俺たちの攻略が始まった。休憩施設のある広場から三つの道が伸びておりどの道に進むのか多数決で決めることにした。結果左の道に進むことになった。今回の攻略授業は破滅級のモンスターと戦うことをメインにすることに決まったため天災級の弱いモンスターは風魔法で飛びスルーして進んだ。
次回もお楽しみに




