200話 文化祭準備④
文化祭準備期間も折り返しの三日目となった。昨日の段階で内装はほとんど完成しており、後は細かい装飾や喫茶店で販売する軽食の試作を重ねるだけとなった。と言ってもサンドイッチや簡単なお菓子類を出すだけなので特に試作を重ねるほどでもないだろうと思っていた。そんなことを思っていると朝のホームルームで塩田先生が言った提案にクラスのみんなは気合を入れ直すのだった。
「もう結構クラスの準備出来てきてるけど、さすがに時間余ってるしもうちょっとメニュー数増やすとかインスタントコーヒーでも淹れ方を調べて試してみるとかしてね。時間余ってるんだから突き詰めれるところはとことん突き詰めていこう。クラスの予算も結構余裕あるし食べ物だけじゃなくてみんなが何処のクラスで出し物してるのか識別出来る名札みたいなのもあってもいいと思う。クラスとしてまとまりも出るしお店でもそういう名札付けるだろうし。まぁとりあえず時間が余ったからって他クラスを見に行ったりスマホでゲームしたりするのはやめて、その余った時間で喫茶店をどれだけ良く出来るかみんなで工夫し合ってくれ。それじゃあ今日も一日頑張って」
ホームルームが終わり女子は各々昨日の続きをしていたが、男子は何をすればいいのか分からず立ち尽くしているとユースが指示を出してくれた。
「男子のみんなは先生が言ってた名札作りお願い。まずはどんな形が喫茶店にいいか合ってるか話し合って決めて。普通の長方形でもいいけどこういうデザインあればいいなとか各々デザイン出来るようにするとか工夫してね。もしあれだったら先生に頼んでネットにある名札をそのまま流用してもいいかも。名札は首から下げるタイプでも安全ピンでタイプもどっちでもいいから。お願いね」
俺たちはユースに指示された通りに名刺のデザインを考えるグループと名刺のデザインをネットで探すグループに分かれた。俺たちはデザインを考えるグループであるため紙に各々好きなデザインを描くことにした。俺は喫茶店と言えばのモーニングやコーヒーを名刺の隅に描き、名前を書くために中央は空白で残りの余白にはてるてる坊主のような可愛らしい人型を描き笑顔でようこそと言っているようにデザインにした。少し余白を残し各々デザイン出来るように仕上げた。みんな描き終えたようで全員でデザインを見せ合うことにした。俺と同じようなデザインにしている人も多かったが、花を描いていたり色を塗ってデザインにしている人もいて甲乙付け難かった。ネットで名刺のデザインを探してくれてるグループにデザインを見せてもらったが、どれも手作り感は無くせっかくの文化祭なのに勿体無いと感じ手書きの名札にすることに決まった。ユースに候補を三つほど持っていきどれが一番いいか聞くことにした。
「ユース、デザイン考えたやつ候補持って来たから見て欲しい」
そう言い俺はグループの中でいいなと思った物を三つ見せた。すると、ユースも好感触でこのどれかに決まると思っているとユースが言った。
「どれもいいからこの三つ混ぜようか。サンドイッチとコーヒーを販売するからそのデザインは欲しくて、花もアレンジメントで使ってるし、木目調みたいなこのデザインも喫茶店の雰囲気に合ってるからそれでいきましょう。みんなで協力して一つ見事な物が作れれば後は先生にコピーしてもらえるだろうし。コピーするにあたって少し大きめのサイズの方が綺麗にコピー出来るだろうからこのサイズのまま綺麗にしてくれる?」
「分かった。各々デザイン出来る余白はいるか?」
「そうね。一部は余白でお願い」
「オッケー」
ユースの指示を男子全員に通達し、何人かで一つのデザインを作りそこから一番いいのを選ぶ方式にした。これなら短い時間で複数個の候補が生み出せるため一番効率的だと考えたのだ。俺たちは三人でユースに指示された通りのデザインに仕上げ色も塗って完成させた。他のグループも出来たようでユースにどれが一番いいか選んでもらった。惜しくも俺たちのデザインは選ばれなかったが、一番出来のいい物が選ばれたため納得した。そこから俺たちは喫茶店の細部を一日中納得のいくように仕上げた。その結果、準備期間三日目にして俺たちのクラスの出し物である喫茶店が完成した。とは言うもののまだ時間はあるためクラスメイトの何人かはまだやるようだった。俺たちはユースの指示のもと先生たちの手伝いを明日からすることになった。
準備期間四日目の俺たちはホームルームを終えた塩田先生を捕まえて一緒に作業することを申し出た。すると、塩田先生はとても嬉しそうに俺たちの申し出を受け入れてくれた。俺たちはまだ未完成だった校門のアーチ状の看板から作ることにした。かなり形は出来ていたが、ペンキでの色塗りや文字までは書けていなかった。手分けして看板を仕上げた俺たちは先生たちが組み立てないでいたアーチ状の看板を組み立てて仕上げとした。
次は競技場の方だと向かうとそこには多くの先生たちがいた。ほとんどの先生がいるんじゃないかと思うほどの数だったが、中には生徒もいた。何をしているんだろうと思ったが、有志の人たちであり機材の準備でいるんだろうなと思った。有志の人たちを手伝ったり先生たちを手伝ったりするだけで一日が終わり準備期間は残すところ一日となった。
準備期間五日目となり俺たちは朝一から競技場に向かい機材の準備や音量調整などに時間を費やした。バンドの音量がうるさすぎると近隣の方に迷惑となるためプライシディウムで外に漏れる音を低減出来たりしないかと試行錯誤したりした。ある程度の音漏れはプライシディウムで防げることが分かったため、生徒が競技場で実際に音を耳にしてうるさくなくて盛り上がれる音量はどのぐらいなのかも確認することにした。バンドの人たちにリハーサルとして演奏してもらい音量確認をしたのだが、バンドと文化祭の相乗効果で音量の確認なんかよりテンションが上がってしまいノリノリになってしまった。でも、先生たちは俺のノリノリ具合がちょうどいい音量の証拠だと判断しお咎めなしだった。そんな感じで競技場の準備も終わり、準備期間も最終日なので生徒会として放送室に向かった。いつも通り最初はユースが話し始めた。
「みんな今日で準備期間は終わり明日から文化祭本番となります。明日明後日は光正での一番の思い出になるでしょう。三年生は最初で最後の文化祭ですが、二年生以下のみんなは今回の文化祭を終えても次があります。どうか私たちのように学校のみなさんを楽しませる体育祭、文化祭を開催出来るようにしてあげてください——」
ユースが次話しなよと合図したが、この後で誰が話せるんだと俺たちが拒否するとユースが続けた。
「先生方も大変だと思いますが、唯一無二の高校生活を全力で楽しめるようにサポートしてあげてください。それではみなさん明日明後日の文化祭本番を全力で楽しんでください。生徒会からでした」
放送を終えて教室に戻ると塩田先生が帰りのホームルームを始めた。
「明日から文化祭本番だけど、自分たちのクラスを放り出して遊びに行くとかはないようにな。みんなのことだからそんなことないと思うけど一応な。ユースも言ってた通り最初で最後だから全力で楽しむように。それじゃあ今日は早く寝て明日寝不足にならないように」
帰りのホームルームが終わり俺たちは家に帰った。
次回もお楽しみに




