193話 帰宅
モンスターの巣を塞ぐことに成功した俺たちはひとまず休憩施設に戻った。休憩施設に戻って来た俺は塩田先生にどういうわけであんなに大量のモンスターが押し寄せて来たのかになっていることを聞くことにした。
「塩田先生なんであんなに大量のモンスターが押し寄せて来たんですか?」
「自分たちの巣が壊されたからその腹いせだよ。あのモンスターはフォルミカって言って蟻に似たモンスターなんだけど、ダンジョンの環境に適応して体の形が大きく変わってるから蟻だと思えない見た目になってるけどね。まぁだから巣を壊された腹いせに大量の働き蟻が出て来てみんなのことを攻撃しようとしてたんだ。巣を壊した本人もわざと壊したわけじゃないだろうし事故ってことになるだろうね。もう攻略授業も終わるし残りの時間はゆっくりしてていいよ」
「はい」
もうそんな時間なのかなと思い日時を確認すると、もう攻略授業六日目のお昼だった。時間が経つのは早いなと実感したが、やりたいことややって欲しいと頼られることもなかったので塩田先生の言う通り休憩施設にいながらゆっくりしていると攻略から戻って来た真島たちと目があった。
「小出さんちわっす。今もしかしてお一人ですか?」
「そうだけど。何か頼み事でもあるのか?」
「いやいや頼み事なんて畏れ多いっすから。一人なら俺たちとお喋りしましょうよ。たまにはユースさんたち以外の俺たちとも仲良くしてくださいよ」
「俺も暇してたし助かるよ」
真島たちの提案に俺は迷うことなく了承した。ただ一人で何もせず時間を潰しているよりは真島たちと話している方が楽しいし有意義なのは明らかだし断る理由がなかった。真島たちは俺の返事を聞くとすぐに近くにあったイスを持って来て近くに座った。真島たちは今回のダンジョンでどんなモンスターに出会してどんな戦いをしてきたかを話してくれたり、自分たちが普段遊びに行っている場所や美味しいお店なども教えてくれた。真島たちがひとしきり話し終えると次は俺の番だった。俺は真島たちに何の話がいいか聞くことにした。
「真島たちは何の話が聞きたい? 一年生の時の競技会でもいいし、今まで行ってきたダンジョンの話とかあるけど」
真島たちはダンジョンの話について聞きたいようだった。それなら、アイテムをゲットしたり強いモンスターと戦ったダンジョンの話をしようかなと考えた。さすがに入試の話は面白くないだろうし、逆さのダンジョンで戦ったデュラハンの話をしようと思い出していると、デュラハンにトドメを刺す時に冥霊剣を託されたことをすっかり忘れていた。忘れられた記憶の断片の中に収納してそのまま一回も手に取ることなく忘れてしまっていた。しかも、何が一番やばいかと言うと、冥霊剣はデュラハンが言っていたことから推測するに透の勝者の帳簿のようにその剣で倒した相手を従えさせることが出来るのだ。しかもデメリット無しで。俺は何で勿体無いことをしたんだと思っていると真島が言った。
「小出さんなんか思い詰めてます? 大丈夫っすか?」
「あぁちょっとな、みんなに話そうと思って思い出してたらアイテムゲットしたこと忘れてて……しかも結構強いアイテムだったから勿体無いなって」
「それは勿体無いっすね。でも、そんなに強いアイテム使わなくても小出さんなら大抵のモンスター倒せるしいいんじゃないっすか?」
「そうなんだけど、一回も手にしてなかったから怒られそうって言うか」
俺の発言に真島たちは疑問を抱いているようで俺は一から説明することにした。
「そのゲットしたアイテムってのが逆さのダンジョンで出会したデュラハンの剣なんだよ。話聞くだけで強いの分かるし、実際に自分の目で見たから強いの分かってたんだけど、その後龍に攫われるとかいう人生で一番のハプニングが起きたからすっかり忘れてたんだよ」
「なんか仕方ない気もしますよ。龍に攫われるなんてことがあった後にそれより前の出来事なんて思い出そうとしなかったら思い出せないっすもん。これからそのデュラハンの剣を使っていけばいいんじゃないっすか?」
「そうだな。思い出すことが出来ただけ良かったよ。ありがとうなきっかけになってくれて」
「俺たち何もしてませんっすよ! まぁ小出さんに褒められたのは嬉しいっすから受け取っておきますけどね」
そんな話をしていると何処かに行っていた勝が休憩施設に戻って来た。勝が何処で何をしていたのか気になり聞くことにした。
「おかえり何してたんだ?」
「剛田たちと模擬戦みたいな感じで手合わせしてた。もちろん俺の圧勝だったよ」
「そっか。他のみんなは?」
「さぁ? 春奈はクラスの女子と話してるの見かけたけど透とユースは見てないな。まぁ待ってたら帰って来るって」
「そうだな。それよりさ、真島たちに話したから思い出したんだけどさ、逆さのダンジョンでデュラハンと戦っただろ。その時にデュラハンが使ってた冥霊剣ってアイテム貰ったのに今の今まで忘れてたのをさっき思い出したんだよ。マジで勿体無いことしたわ」
勝は俺の話を聞いて自分も思うところがあるのか同じテンションで話し始めた。
「俺なんて競技会で貰った守り系のアイテム使うタイミング一回も来てないから同じようなものだわ。まぁそっちは明確に使えるからいいけど、俺の賢城の守護はプライシディウムとほぼ同じだから魔法で出せる健斗ので事足りるんだよ」
「なんか申し訳ないな。でも、俺の氷刃剣も勝の凍界無別の下位互換だから使わなくなったしお互い様じゃね?」
「まぁそうだな。今度売りにでも行くか?」
「お金に困ってるわけでもないし、売るのは寂しいから無しで」
俺は思っていることをそのまま伝えると真島たちも同じ意見だったのかうんうんと頷いていた。初めてのアイテムでもあるし、氷系統のアイテムは他に持っていないため売るなんて勿体無いことはしない。そんな話をしていると透が休憩施設に戻って来た。
「おかえり何してたんだ?」
勝の時と同じように問うと透は少し疲れたような顔で答えた。
「植物を生やす魔法の訓練して来たんだ。ずーっと続けてどのぐらい生やせるのかやってたんだ。だからちょっと疲れたから寝てくる」
「お疲れおやすみ」
「おやすみ」
透は休憩施設の中へと戻っていった。各々好きなことやってたんだなと思っているといつの間にかご飯時となり俺たちはみんなでご飯を食べることにした。そこから俺たちは残りの攻略授業の時間は楽しく過ごしいつの間にか帰宅の時間になっていた。ユースたちとは帰宅の時間になるまで会うことはなかったが、各々有意義な時間を過ごしていたため特に言うことはなかった。攻略授業は終わり俺たちは迎えのバスに乗り込み学校に帰った。
次回もお楽しみに




