183話 帰還
競技会の結果が発表されたその日の夜透からもうすぐこっちに帰って来るというメールが届いた。俺は居ても立っても居られなくなり勝たちに透が帰ってくる旨のメールを送った。そして、透が帰って来る最寄駅へと向かった。パジャマであることなんてどうでもよく早く透に会いたかった。会って競技会での活躍を褒めてやりたかった。飛んで最寄駅に向かっていると後ろから勝の声が聞こえてきた。
「健斗ー!」
「勝も来たか」
飛ぶ速度を落として勝が隣に来るまでゆっくり飛んだ。勝が俺に追いつき一緒に最寄駅に向かっていると勝が言った。
「透どんなアイテム貰ったんだろうな」
「守り系だと思うな。攻撃系は空掴の遊び人があるからそれ以上のアイテムはそうそう無いだろうし、透は俺の死嫌のリングとか春奈の天使の加護みたいな守り系が無いからそっちを優先すると思う」
「確かにな。俺の賢城の守護も一応守り系だし、ユースも守護の装飾って守り系のアイテム持ってたから透も一つぐらいは持ってた方がいいだろうしな」
そんな話をしていると最寄駅まで着き透が帰って来るまで待っていると数本の電車が過ぎてから透が駅から姿を現した。
「「おかえり!」」
「ただいま」
俺と勝は透に駆け寄りながら言った。透は嬉しそうな表情で返事してくれた。そこから俺たちは透の活躍を褒めに褒め称えていると透は恥ずかしそうにしながら俺たちの口を塞ごうとしていた。だが、俺たちの思いを透一人で止めることが出来るわけもなく、俺たちは褒め称え十分以上過ぎたところでようやく満足いくまで語り尽くした。すると、透が言った。
「もういいよね……とりあえず帰ろさすがに疲れてるから……」
俺たちは透のことなんて気にせず自分たちのことばかり考えていたことを反省し透の家まで送り届けた。
「貰ったアイテムとかは明日学校で話すから。二人とも楽しみに待っておいて。おやすみ」
「「おやすみ」」
俺たちは透に言われた通り明日まで待つことにし家に帰った。明日まで待てない気持ちでいっぱいだったが、透のことを考えてメールを送ったりすることはせず早く明日になることを願いながら眠りについた。
翌日
いつも通り集合してから学校に向かうのだが、登校している最中にも競技会の話をしたりどんなアイテムを貰ったのか聞いたが、ユースにも同じタイミングで教えてあげたいからとアイテムを見せようともしなかった。だが、隠せるほどのアイテムということで俺と勝が昨日話していた守り系のアイテムである可能性はグッと高まった。俺たちは早くアイテムを見たいなと思っていると、登校中すれ違いざまに後輩たちが透の優勝を祝ってくれたりとこっちまで嬉しくなってきた。人によっては三連覇を築き上げた俺たち全員を褒めてくれる人までいた。学校に着いてもその雰囲気は変わることなく俺たちの周りには常に誰かがいて競技会のことを口にしてくれていた。そのせいで朝の時間に透のアイテムを知ることが出来ずお預けとなってしまった。
昼休み俺たちは昼ご飯を食べるより先に透にアイテムを見せて欲しいと頼んだが、さすがにお腹が空いている状態で見てもということだったので食堂に行き昼ご飯を食べていると聞き馴染みのある声が聞こえてきた。
「中村先輩優勝おめでとうございます! そして、みなさん三連覇おめでとうございます!」
その声はすみれちゃんだった。いつも何かあるごとにこうやって祝ってくれるためマスコットみたいな立ち位置だなと思っていると透が言った。
「ありがとう。今度はすみれちゃんが四連覇に向けてみんなを引っ張ってもらわなくちゃいけないんだから頑張ってよ。健ちゃんに教えてもらった魔法友達に教えてあげたりしてみんなで強くなれば絶対優勝出来るから」
「はい頑張ります! それと、中村先輩は競技会でどんなアイテムを貰ったんですか?」
「ちょうど昼ご飯食べ終わったらみんなに見せる予定だったからすみれちゃんも一緒に見る?」
「それじゃあお言葉に甘えさせてもらってもいいですか?」
「もちろんだよ」
すみれちゃんも交えて昼ご飯を雑談しながら食べみんなが食べ終えたのを確認した俺たちは食器を返却し早速アイテムを見せてもらおうとすると透が言った。
「攻撃系のアイテムじゃないし教室で説明するから行こっか」
俺と勝は予想通りだとニヤッと笑いながら目を合わせた。肝心なのはその性能だが、予想が当たるのは気分がいいもので俺たちはうきうきで教室へと向かった。教室に着くと中には何人かクラスメイトがいたが、そんなことは気にせず透にアイテムの説明を求めた。透は俺たちに落ち着くように言うとアイテムを取り出した。透が取り出したのは手帳のような物だった。これが本当にアイテムなのかと疑っていると透が説明を始めた。
「これは勝者の帳簿って言って、自分がどんな相手に勝利してきたかが勝手に記録されるんだ。そして、この帳簿に記録された相手の思念体を呼び出して共闘したり守るのに使えるんだ。例えば僕と健ちゃんが戦って勝ったら健ちゃんの思念体を呼び出せるんだ。でも、その間健ちゃんは自分の体を動かすことが出来ないから人というより倒したモンスターを呼び出すのがメインになるだろうね。ちなみに、思念体だから倒したモンスターが死んでても呼び出せるから強いモンスターを倒せば倒すほど味方になるって感じだね」
俺と勝の予想は外れたが、そんなことどうでもいいぐらいの性能を持ったアイテムであるため俺たちの興奮は最高潮に達した。
「と言うことはモンスターを倒せば倒すほど透の戦力が増えていくってことだよな! めちゃめちゃ強いアイテムじゃん!」
「そうなんだよ。我ながらいいアイテム貰ったと思ったよー」
「ちなみにその思念体って一回きり?」
「それがねどうやら差があるらしくて、モンスターだと大体一回きりらしいんだけど戦闘が好きな奴とかだと何回か呼び出せるらしい。でも、多くて五回とからしいからずっとってわけにはいかないっぽい」
そんな話を聞いているとあっという間に昼休みが終わってしまった。もっと色々聞きたかったのにとすみれちゃんは残念そうに帰って行った。放課後生徒会の仕事をしていると最近ずっと部活行けてないなと思ったが、生徒会の仕事で手一杯だからどうしようもないなと考えていると塩田先生がやって来た。
「また攻略授業行くからどれか一つ選んでくれ」
塩田先生が机の上に置いた書類には三つのダンジョン名が記載されていた。一つ目は手練れのダンジョン二つ目は惨敗のダンジョン三つ目は難儀のダンジョンとどれも難易度の高そうなダンジョンだなと思っているとユースが塩田先生に問うた。
「三年最後の攻略試験で挑戦するダンジョンってこの三つと同じレベルですか?」
「実はこの三つの内二つを攻略授業で行って最後の一つを試験にする予定だ。あくまでも予定だから誰かに言ったりしないようにな」
生徒にそんなこと教えて大丈夫なのかと心配になったが、先生としては俺たちが試験に受からないとは思っていないのだろうと気にしないことにした。そして俺たちは三つの中から今回攻略授業で行くダンジョンを多数決で決めた。それは手練れのダンジョンだ。あくまで俺たちの候補というだけで今回選ばれるかは分からないが、一番選ぶ人が多かった手練れのダンジョンを今回の候補に挙げた。塩田先生は俺たちの意見を聞くと職員室に戻った。今回の攻略授業で透の帳簿に記録されるモンスターのことがもっとよく分かるんじゃないかと話した。そんな話をしていると生徒会の仕事が終わったため家に帰ることにした。
次回もお楽しみに




