177話 ハードワーク
選抜戦一年生の部が終わり二日目の二年の部が今日から始まる俺たちはいつも通り登校し教室に着くと昨日と同じくスカウトの人たちを案内しなくちゃいけないのかなと思っていると塩田先生が教室に来て言った。
「小出たちは……いるな。すまんが今日は食堂に食材を運んでくれ。追加の食材が渋滞に巻き込まれたらしいんだ。結構な量あるらしいから中村のアイテムで一度にたくさん運んでくれ。先生たちも運んでるが、一度に多く運べないんだ。頼めるか?」
「分かりました。ちなみにどっち方面ですか?」
「学校前の道路を右手に行った所の十字路をさらに真っ直ぐ行った所でトラックが駐車してる。結構分かりやすいだろうから頼んだぞ」
俺たちは塩田先生の指示通り学校を出て道路に沿って右に真っ直ぐ進んだ。昨日と同じくらい渋滞しているため先生たちがスカウトの人たちに裏門までの道を案内していた。俺たちはそんな先生たちを横目に食材を載せているトラックまで気持ち早めに飛んで移動した。この渋滞はどのぐらい続いてるんだろうと思いながら飛んでいると、十字路から学校に行くまでの車線で乗用車同士の事故が起こっていた。二車線の道路であるため乗用車は隙間をぬって通ることが出来るのだが、トラックなどの大型車両では通ることが出来ない状況だった。この朝の通勤ラッシュでレッカー車が現場に着くのが遅れているのだろうと思っていると透が言った。
「ちょっと僕手伝えないか警察に話してくるよ。みんなは先に食材運んでて」
俺たちが何か言うよりも先に透は地面に降り警察と話をはじめてしまったため俺たちは少しでも先に食材を運んで先生たちの負担を軽減することに努めた。トラックを見つけ降りるとそこには尾形先生がいた。
「尾形先生食材運ぶの手伝いに来ました」
「ありがとう。それじゃあみんなダンボール一つづつでいいからお願いね」
俺たちはダンボールを手に取り学校に戻ろうと来た道を戻っていると透が事故車両を空掴の遊び人で掴み路肩の邪魔にならない場所に移動させていた。これならトラックも通れるし渋滞も緩和される見事な活躍だと透を誇りに思った。
「透ー! トラックの所に尾形先生いるから事情話してトラック通れるようになったこと伝えろよー!」
「オッケー! 戻ってくる先生たちにもう戻る必要ないこと伝えといてー!」
「オッケー!」
俺と透は空中と地面でのやりとりを終え各々の仕事を終わらせた。俺は先生たちに渋滞緩和とトラックが学校まで来れることを伝え手に持っていた食材を食堂まで運び、透はトラックの運転手に道が通れるようになったことを伝え各々がやるべき仕事を完遂した。朝から一仕事終え少し休憩をしていると鷲田先生が話しかけてきた。
「中村くんお手柄だったと聞いたよ。事故車両を路肩まで運んだらしいじゃないか。渋滞も緩和されて先生たちも大助かりだよ。本当にありがとう」
「自分が出来る範囲のことをやったまでですよ。それにアイテムのおかげで出来たことなのでまだまだ訓練が足りないと思い知らされました。風魔法で車を浮かせて移動させるぐらいの実力は欲しいですからね」
「向上心があって実に結構。人生は長いから生き急いだりすることなくのんびり励みなさい。人生の先輩としてアドバイス出来ることはこれぐらいかな」
「頑張って先生もあっと驚くような魔法使いになります」
「それは楽しみだな。小出くんたちも中村くんに負けないようにしないとだね」
鷲田先生はそう言い終えるとどこかに行ってしまった。まだ準備することが残っているのだろうと俺たちは先生たちにやることはないか聞きに行った。そこからいくつか雑用をこなしやることが無くなった俺たちは実戦場の保健室に向かった。
「おはよう。今日から一段と忙しく大変になるだろうから気合い入れて頑張ってね。もちろん私も頑張るから安心して。分担は昨日と同じで小出くんとユースさんが重傷よりの人相川くんたちは軽傷の人。そして、重傷の人が私。これは明日も同じだけど、時と場合によっては手の空いてる人がすぐ治療って感じになるからね。そんなわけで今日も一日張り切っていきましょう」
「「「はい」」」
俺たちが意気込みを入れた後少ししたら生徒たちが移動してきたのが分かった。二年生だし魔法も近接戦闘も腕を上げているだろうからとても大きな怪我をしたりすることは無いだろうが、避けるのに失敗したりした時は一年生より酷い怪我になるだろうからそこだけが心配だった。でも、俺たちが二年の時は致命傷になるような怪我や重傷者は出なかったため大丈夫だろうと思うようにした。そんなわけで選抜戦二年の部が始まったことを告げるアナウンスが流れた。俺たちは緊張感を持ち連れて来られる生徒を待っていると落雷の音が実戦場に轟いた。俺たちはまさか当たってないよなと思っていると松本先生が保健室を飛び出した。俺たちもすぐに松本先生の後を追い実戦場の中央に向かった。実戦場控室付近で雷に打たれた生徒が先生たちによって治療されていた。松本先生はその雷に打たれた生徒に駆け寄りながら魔導書を取り出した。左手に魔導書を持ち右手で雷に打たれた生徒に触れ生徒を治療していた。松本先生一人で大丈夫かなと見守っていると、雷に打たれた跡がみるみるうちに消えていき外傷は完全に治った。流石だと思っていると松本先生が俺と勝に指示を出した。
「小出くんと相川くんはこの生徒を校舎の保健室まで連れて行って。怪我は治したけど一応二人体制でみてて。もし、苦しみ出したり痛そうにしていたら治癒魔法で治してあげて。一時間もしたら大丈夫だろうしその間は私たちだけで持たせるから」
「分かりました」
というわけで俺と勝は雷に打たれた生徒を校舎の保健室まで運んだ。男子生徒ということで俺たちに任せたのだろう。しばらく様子をみていたが、その生徒は何の反応も示さなかった。生きているのか心配になるほど静かだったため時々呼吸しているか確認するほどだった。保健室に連れて来てから三十分ぐらい経った頃、その生徒が目を覚ました。
「大丈夫? 痛いところとかない?」
「……特には」
「そっかそれなら良かった。一応松本先生から一時間ぐらいみておくように言われてるから残りの三十分君もゆっくりしてて」
「……はい」
寝起きだから意識がぼんやりしているのかその生徒は心ここに在らずといった感じだった。本当に大丈夫かなと思い残りの三十分も様子をみていると次第に意識がはっきりしてきて普通にのんびりしていた。一時間経ったし痛そうにしたりもせずもう大丈夫だろうと踏んだ俺たちはその生徒に言った。
「俺たち実戦場に戻るけど君も一緒に戻る?」
「はい戻ります」
というわけで一緒に実戦場に戻った。しっかり歩けていたため松本先生の治療は完璧だったんだと思い実戦場の保健室に戻ると、保健室の前にまで怪我をした生徒たちでごった返しの状態になっていた。保健室の中を見てみると、重傷とはまではいかないが結構な怪我の生徒が多数いた。俺たちはすぐに治療を受けられていない生徒の治療を始めた。俺は痛みをなくすまではせず怪我が塞がったら一度保健室の外で待つように言い治療を受けられていない生徒を呼びわんこそばのように生徒たちを治療した。波を乗り越えた俺たちは一息ついていると、保健室の外で待っていた痛みを感じる生徒を松本先生がアイテムで一度に治した。そこからは一度に大勢が保健室に来ることはなく二年の部を終えた。全員の治療を終え帰ろうとしているとすみれちゃんが治療に来た記憶が無く結果はどうだったのか気になったが、また今度聞けばいいやと俺たちは帰路についた。
次回もお楽しみに




