↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アルカディアリベル 〜神話級アイテムは俺を世界最強の攻略者へと導く〜  作者: 描空
三年生編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

176/226

176話 治療

 放送委員のアナウンスで選抜戦一年の部が始まったことは分かっていたが、どんな戦況なのかどれほどの怪我を負っているのかは負傷者が実戦場の保健室に来るまで分からずソワソワしていると先生と共に一人の生徒が連れて来られた。その生徒は左腕に打撃を受けたのか青あざが出来ていた。俺たちは誰が治療のかと互いに遠慮し合っていると松本先生が言った。


「小出くんユースさん相川くん中村くん羽栖(うすみ)さんの順番で治療して。負傷者を痛みから救うのが役目なんだから誰か来たら手が空いてる人が治療してあげればいいの」


 松本先生の言葉を聞き終えた俺はすぐに青あざを治してあげた。


「すげぇさっきまでめちゃめちゃ痛かったのにもう全然痛くない! 治癒魔法ってこんなに凄いんですね。ありがとうございました!」


 そう言うとその生徒は嬉しそうに保健室を後にした。そこまで多くのマナを使っていないのに完全に治ったのは青あざ程度の軽傷だったからだろう。そんなことを思っていると次の生徒が連れて来られた。その生徒は火傷を負っていたが、水魔法で患部を冷やしていたため重傷化はしておらずユースがすぐに治療してあげた。火傷跡は残っておらず綺麗に治った。すぐに治療出来る環境なら傷跡も残らないんだなと思った。でも、武帝は自分を治癒しながら戦っていたのになんであんなに傷跡が多いのかなと疑問に思った。武帝は魔法が得意じゃないからそれが要因なのかなと考えていると次の生徒が連れて来られた。その生徒は腕全体に擦り傷があり攻撃を防いで出来たものだろうなと思っていると勝が治療し終えた。その生徒の腕を見てみると所々に傷跡が残っていてやっぱり魔法の得意不得意が関係してるのだろうと結論づけた。そこから透と春奈も生徒を治療したが、傷跡は少し残っていて慣れも関係しているんだろうなと思った。そんなことを考えていると松本先生が言った。


「小出くんとユースさん重傷よりの人担当で他三人は軽傷の人担当。重傷なら私でそこまでなら小出くんとユースさんで交互に。軽傷なら三人で交代しながらお願いね。一度に大人数が怪我するなんてことが起こったら重傷者と軽傷者に分かれて対応してね。まぁそんなこと起こらないように先生たちが何人もいるから心配しなくても大丈夫だろうけど一応ね。過去何度か起こったことはあるからありえないって話ではないからその時は先生たち全員で対処するから私たちの出番ないかも知れないけど備えあれば憂いなしってやつよ」


 そんな話をしていると左太ももにかなり大きな切創を負った生徒が連れて来られた。俺はすぐに治療を行いある程度痛みもないように結構な量のマナを使い治してあげた。まだ若干痛そうにはしていたが、歩けるぐらいの痛みで後は安静にしていれば治るだろうと思っていると松本先生が言った。


「小出くんさそんなにマナ使っちゃって疲れないの?」


「疲れませんけど」


「天才ってこういうところあるわよねー」


 俺は何を聞きたいのか理解出来ず普通に答えると松本先生はユースたちに共感を求めるように言った。みんなはそんなこと思っていないだろうと黙っていると四人が息ぴったりに言った。


「「「ねー」」」


 俺は何を言えばいいのか分からず困惑していると松本先生が言った。


「まぁでも、私たち凡人は天才の恩恵にあやかって生きてるわけだし感謝しないとよね。現に小出くん一人で全員の治療出来そうなぐらい余裕そうだし」


 松本先生の言葉に四人は首を縦に振った。俺はイジられているという感情と褒められているという感情に板挟みにされている状態で怒ればいいのか嬉しく思えばいいのか分からず、何か言いたいのに言えない状態がもどかしかった。下手に口を挟めばそこからまたイジられるしなと思っているとユースが言った。


「天才には天才なりの苦労があるって言いますけど、健斗からはそんな感じ一切しませんからただの魔法バカの可能性もあると思いますよ」


「何か言うならもっと良い感じに褒めてよ」


 今ならイジられないと踏んでユースにそう言うと松本先生が言った。


「言い方は悪いけどちゃんと褒めてるわよ。直接言うのが恥ずかしいからこうやってバカにした感じで言うけど、心の中では一番小出くんのこと褒めてるし尊敬してるわよ。ほら顔真っ赤にしちゃってるし」


 松本先生の言葉にユースは顔を背けた。顔を背けても耳までは隠しきれておらずその耳までもが真っ赤で愛おしくてたまらなかった。そこから何人もの軽傷者が運ばれて来たが、ひどい怪我を負った生徒はおらず一年生はこのぐらいだろうけど二、三年生はこの程度じゃ済まないだろうなと思っているといつの間にか昼休憩のアナウンスが流れた。もうそんな時間かと思っていると松本先生が聞いてきた。


「みんなお昼何食べる?」


「俺はB定食かなぁ」


「僕も」


「俺は焼肉丼にしようかな」


「私はA定食」


「私もAかな」


「オッケー。—あ、山田さんA二つのB二つ、焼肉丼と天丼でお願いします」


 松本先生の質問にとりあえず俺たちは食堂のメニューを答えると松本先生が内線電話を取り俺たちと自分のメニューを山田さんに伝えた。山田って誰だろうと思っているとユースが聞いた。


「もしかして今食堂に出前みたいな感じで頼んだんですか?」


「そうよ。私たちはここでお昼食べるの。実戦場で次の肩慣らしする生徒いるからその子たちが怪我した時のために一応ね。小学校とかで怪我して保健室行ったのに保健室の先生いなかったってことあるでしょ。普通科なら大丈夫だけど、さすがに魔法での怪我は洒落にならないから実戦授業の時とかも保健室に常にいるように言われてるの。まぁ実戦授業での怪我はほとんどないんだけどね」


 攻略校の保健室の先生って大変なんだなと身をもって実感していると勝が松本先生に問うた。


「攻略校の保健室の先生ってダンジョンでの治療もあるから大変そうですけど一人しかいないんですか?」


「基本的にはそうね。治癒魔法って基本的に使える人が多いしある程度の怪我なら自分で治しちゃうのが普通だから魔法に失敗して大きな怪我した時とかに保健室の先生が必要なの。攻略授業にもついて行ってるけど今の世代は無茶なことはしないし優秀だからほとんど休憩時間みたいな感じね。ちなみに、攻略授業で保健室の先生が出払ってる時は学校に一つは必ずある治療系のアイテムを使うことになってるから案外いなくても困らないの。まぁでも、本当に緊急事態が起こったりしたらいけないからどの学校にも私みたいな先生がいるの」


「「「へー」」」


 俺たちが松本先生の話に聞き入っていると俺たちの昼ご飯が実戦場の保健室に届けられた。選抜戦の時特有のあの大混雑している食堂を完全にスルーして昼ご飯を食べられるなんて最高だなと思いながら昼ご飯を食べ終えた。しばらくして昼休憩も終わり再び仕事の時間がやってきた。俺たちは互いにサポートしながら後輩たちの治療を行い一日が終わった。過去一番治癒魔法を使い精神的に疲れていると松本先生が俺たちに板チョコを一枚づつ差し出した。


「食べな。疲れた時にはチョコが一番さ。明日から本番みたいなところあるからちゃんと休んでバリバリ働いてもらわなくちゃだからね。それじゃあまた明日」


 松本先生に別れの挨拶を告げた俺たちは板チョコを頬張りながら帰路についた。

次回もお楽しみに


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。