175話 三度目の選抜戦
勝たち三人に治癒魔法を教えてから一週間が過ぎた。今日から選抜戦および校内選抜が始まる。俺たち生徒会は出場する生徒のサポートや先生たちのサポートに追われると思うと少し心配だったが、最高学年なんだし怪我を治す側の俺が心配していては後輩たちを怖がらせてしまう。そんなことはあってはならないと自分に喝を入れ心配を誤魔化した。いつも通り勝たちと一緒に学校に向かう道中今年の一年はどれほどの実力なのかやすみれちゃんがトップ10入り出来たらいいねといった話題を話していると気がつけば学校に着いていた。みんなと話してると心配していた感情は風に攫われてどこかに行ってしまったようだった。教室に着くと先に来ていたユースが言った。
「塩田先生が私たちはホームルーム出なくていいから先に実戦場に行って先生たちと一緒に準備しててくれだって。担任持ってる先生はホームルームしないとだから人手不足なんだって。そんなにやることあるのかな?」
俺たちは荷物を置きユースと一緒に実戦場に向かった。すると、鷲田先生や尾形先生、石田先生など担任を持っていない先生たちがスカウトの人たちの案内など応対をしていた。俺たちは何をすればいいのかなとスカウトの人と目が合った。その瞬間スカウトの人が俺たちの元にやってきて自己紹介を始めた。
「初めまして私は株式会社オプティウムの佐藤と申します。皆様のお噂予々聞いております。もしよろしければ是非弊社への所属も考えていただけますと幸いです。名刺を渡しておきますのでどんな些細なことでも構いませんので気になったことがあれば電話してください。それでは私はこれで」
俺たちは佐藤さんの弾丸トークに唖然としながらも名刺を受け取ってしまい社会人の営業トークの恐ろしさを体感した。そんな時、尾形先生が俺たちに指示を出した。
「小出くんたち、スカウトの人たちで学校前の道路が渋滞してるからスカウトの人たちの車を裏門に案内して」
俺たちは尾形先生の指示に従い風魔法で飛びながらどのぐらい渋滞を起こしているのかと見てみると、事故でもあったのかと思うほどとてつもない渋滞が起こっていた。俺たちは手分けして裏門までの道案内をするために各々配置に着いた。俺はスカウトの人たち向けに光正高校裏門はこちらと火魔法で明示し矢印も付け加えた。そこから他の四人が交差点や曲がる所で矢印を出しスカウトの人たちを誘導した。その結果朝の通勤ラッシュで起こる渋滞がスカウトの人たちの車によって傘増しされていた渋滞もかなり改善されスムーズに進むようになった。去年の生徒会の先輩たちはこんなことしてたのかなと思い実戦場に戻ると次は鷲田先生が指示を出した。
「戻ってきたところで申し訳ないんだが、裏門にいるスカウトの人たちを実戦場まで案内してくれ」
「分かりました。案内するだけでいいんですか?」
「ここまで連れてきてくれたら後は先生たちが応対するから」
というわけで俺たちは裏門にいるであろうスカウトの人たちを実戦場まで案内するべく裏門に戻った。するとそこには数十人のスカウトの人でごった返しの状態になっていた。裏門に車を停めておくスペースは無いためスカウトの人だけ降りて運転手は別の所に車を停めに行ったのか分からないが、ものすごい量の人だった。今からこれだけの人を実戦場まで連れて行かなくてはいけないのかと思うと面倒な気持ちの方が大きいが、そうも言ってられないと俺たちはスカウトの人たちの前に降りた。その瞬間スカウトの人たちが我先にと自己紹介と名刺を渡して来ようとしたが、俺たちは実戦場に案内する役割だからとキッパリ受け取らない意思を伝え実戦場まで案内した。後は鷲田先生に連れて来たことを報告すれば終わりかなと思っているとちょうど鷲田先生がやって来てスカウトの人たちの応対を始めた。
俺たちはスカウトの人たちに絡まれないようにしようと実戦場の裏の方に行った。そこでも先生たちが色々していて大変そうだなと思い手伝えることはないかと聞き時間が許す限り裏方の仕事を頑張った。ホームルームが終わる頃には裏方の仕事はやり終え実戦場にある保健室で休憩をした。ここからは後輩たちの治療だと思っていると生徒たちが実戦場にやって来たのかざわざわし始めた。そろそろ始まるのかと思っていると放送委員のアナウンスが始まった。
「今年も始まりました光正高校選抜戦。今年は選抜戦と競技会の校内選抜が一緒になったことでタイトなスケジュールではありますが、その分一日の見応えはかなりなものになっていることでしょう。それでは時間も限られていますので早速選抜戦一年生の部から始めていきましょう!」
アナウンスが終わると実戦場は割れんばかりの歓声に包まれた。いよいよ始まったかと思っていると勝が言った。
「そう言えばスカウトの人たちってどこで見てるか知ってるか? やっぱり専用の場所があるのかな?」
言われてみるとスカウトの人たちがどこに行ったのかは見ておらず、あれだけのスカウトの人が観客席にいるのは不自然なため専用の場所があるんだろうなと思っていると松本先生がやって来た。一年生の選抜戦以来保健室にお世話になっていなかったから松本先生と会うこと自体久しぶりで忘れていたが、思春期男子に悪影響を与えそうなそのプロポーションに驚いてしまった。
「みんな久しぶりねぇ。今回は五人が手伝ってくれるって聞いたから安心だわ。それに、校内選抜の予選も無くなるから私からしたらとっても助かるわけだしありがとうね。体育祭も楽しかったし光正がより良くなってるのを実感出来てるわ。あなたたちが生徒会で良かったわ」
ここまでちゃんと俺たちのことを褒めてくれる人がいて生徒会に立候補して良かったと思っていると春奈が言った。
「生徒会に立候補した甲斐がありましたよ。前までの光正って学校行事ほとんど無かったですからね。今年は文化祭もあるんで期待しててくださいね」
「楽しみにしてるわ。お喋りはこれぐらいにして選抜戦のことなんだけど、基本的に重傷度の高い人は私が対応するからその間に軽傷の人が来たら小出くんたちで対応してほしい。それと、外傷が無い人だけど体調が悪いって人はここじゃなくて校舎の方の保健室で寝かせるから手の空いてる人が連れて行ってあげて。もしも大量に負傷者がやって来るってことになったら私のアイテムで一度に治すからその時は教えて。後は臨機応変に対応していったらどうにかなるだろうし、みんなそんなに気負わないでね。そもそも選抜戦でそこまで重傷者出ないから一つの重傷より軽傷の多さに辟易するだろうから手分けして頑張るよ」
「「「はい」」」
俺たちは松本先生の指示のもと後輩たちの治療を頑張るぞと意気込んだ。
次回もお楽しみに




