174話 始まるまでの準備
選抜戦および校内選抜が始まるまでの一ヶ月の間、俺たち生徒会はその準備に追われていた。先生たちに各学年のトーナメントを表計算ソフトで作ってもらった物を掲示する場所を確保したり印刷したりと裏方の雑用をしていた。選抜戦が始まる前に実戦場の掃除をしたりどのぐらいの時間配分で行えばいいのかシュミレーションしたりと先生たちの負担が少しでも減るような仕事をしていた。今日は放送委員に読んでもらう原稿を考えていた。最初と最後の挨拶は定型文を使い休憩時間や再開する時の言葉を考えてから要所要所の原稿を考えた。それに加えてどちらか一方を下げるような発言はしないなどの注意事項も記入した。俺たちがやらなくちゃいけないことはこれぐらいかなとひと息ついていると塩田先生が生徒会室にやって来た。何か追加の仕事でもあるのかなと思っていると塩田先生が俺たちに対して言った。
「そうそう言うの忘れてたから言うけど、選抜戦と校内選抜の間は生徒会のお前らには戦闘終わりの生徒たちのサポートに回ってもらうことになってるからなるべく全員がエントリーするっていう状況は避けてほしい。言うの遅くなってごめんな」
別に俺は今年も参加するつもりはなかったから問題はないが勝たちはどうなんだろうと思っていると透が俺たちに問うた。
「僕エントリーしたいんだけどいいかな?」
俺たちは問題ないよと微笑み頷くと次は塩田先生に問うた。
「エントリーしても大丈夫ですか?」
「他のみんながいいって言ってるんだから大丈夫だ。それに、これだけ優秀な人材が四人もいたら十分だ。もちろん中村もいた方が助かるけど、これだけ優秀な生徒会今までなかったから多分過剰だろうしな」
「それじゃあみんなに任せて僕はエントリーするけど、自分の時間以外はちゃんとみんなの手伝いするから安心して」
そんな会話をしてあっという間に帰る時間となり俺たちは帰る準備をして家に帰った。家に帰り父さんと母さんに生徒会での仕事を話すと頑張ってるなと褒めてくれた。二人のように俺たち生徒会の仕事を褒めてくれる人が増えればなと思った。そうすればもっとやりがいのある仕事だし、もっと頑張ろうと思えるのにと不満に思うところはあるが、こんなこと考えてもどうしようもないと考えないようにした。こんな平和な日常を過ごしているとあっという間に選抜戦開始まで一週間切っていた。
いつも通り授業を受け放課後に生徒会の仕事をしようと生徒会室に向かうと塩田先生が生徒会室の中央に胸骨圧迫の指導を受ける時に使われるマネキンを配置していた。
「何してるんですか?」
俺はシンプルに疑問に思い問いかけると塩田先生が答えた。
「選抜戦と校内選抜の間生徒たちのサポートに回ってもらうって言っただろ。その時、怪我して治療を必要とする生徒も多いからお前たちにも治癒魔法で治療してもらうからその練習だ。そのついでにいざという時の応急処置も受けさせようと思って持って来た。どうせ最前線で活躍するのお前たちだろうし知ってて損はないだろうからな」
先生なりに俺たちのことを考えてのことなんだと思い早速応急処置の仕方を受けた。一通り胸骨圧迫などの応急処置の指導を受け終えると透が塩田先生に聞いた。
「塩田先生ってこんなことまで教えられるんですね。応急手当普及員の資格でも持ってるんですか?」
「持ってるぞ。まぁ治癒魔法が普及してるから持っててもあんまり意味無いけど、誰かを助けるのに役立つから取って損はしてないな。それに、治癒魔法は自然治癒を促進させるだけだから心停止した人に治癒魔法使っても意味無いから応急処置は攻略者になる前誰もが受けるぞ。企業かギルドに所属してもまず初めに応急処置からだからな。治癒魔法で治せるのは自然治癒で治る範囲のみだから医療機関にかかるまでのゴールデンタイムを逃しちゃ助かる命も助からないからな」
武帝も言っていたが治癒魔法は自然治癒を促進させるだけの魔法であるため何らかの要因で止まった心臓を再び動くようにといったことは出来ないのだから応急処置は身につけておく必要があることを思い知らされた。今までそんな状況になっていなくて本当に良かったと安心した。
「それじゃあ次は治癒魔法だけど、誰か使えるっけ?」
塩田先生の問いに俺が手を挙げると先生が続けた。
「小出か。それなら詳しいことは小出に教えてもらってくれ。先生は大まかなことを教える。て言っても治癒魔法はどの企業、ギルドにも専門がいるから知っておく程度でいい。軽い怪我なら自分で治せるぐらいあれば便利だからな。今から実践するから見とけよ」
そう言うと塩田先生は腕に火魔法で火傷を作り俺に治すように腕を差し出した。俺は先生の火傷を治すと勝たちに問うた。
「相川たちに問題だ。今小出はどうやって火傷を治した?」
勝たちは確証を持てず言い出せないでいるとユースが答えを言おうとしたが、塩田先生はユースを止め三人に答えさせた。少しすると春奈が答えた。
「もしかしてマナを集中させてるだけだったりします?」
「その通り。治癒魔法は火魔法みたいに燃えさせたりする必要はない。ただマナを集中させだけだ。でも魔法を使う時と異なる点はいくつかある。それは傷口にマナを集中させ続ける必要がある。今の火傷ぐらいの傷なら普通の人でも十秒ぐらいで治せるが、剣で斬られたりすると痛みに耐えながら傷口にマナを集中させなくちゃいけないから結構キツイ。それと、マナを集中させるだけじゃなくて周囲の組織と一体化させるっていうか馴染ませるっていうかマナを肉体に浸透させなくちゃいけない。液体がスポンジに吸われるみたいな感じだな。それさえ出来れば治癒魔法の完成だ。ひとまず小さい傷を作って自分で治せるようになるのを試してたらいつかは使えるようになるだろうから頑張れ。先生はまだ仕事残ってるから後は小出に聞いてくれ。それじゃあ来週までに使えるようになってくれるとすっごく助かるから小出頼んだ」
そう言うと塩田先生はマネキンを持って職員室に戻ってしまった。完全に仕事押し付けられた感じだったが、みんなに治癒魔法を教えるいい機会だと自分に言い聞かせみんなが治癒魔法を使えるようになるまで頑張ろうと意気込んだ。しばらく三人に治癒魔法を教えているとユースが言った。
「そう言えば健斗はいつ治癒魔法使えるようになったの? なんか気づいたら使えてたけど」
「確かに。いつから使えるの?」
ユースの言葉に透が反応した。いつから使えたことにしようかなと考えていると一年生の頃に間藤さんの家に行った時にすればいいじゃんと思いつきそのまま話すことにした。
「一年生の頃に間藤さんの家に行った時に教えてもらったんだよ」
「へーいいなー。僕も教えてもらいたかった」
「健斗だけずるいよ。私たちにもすぐ教えてくれれば良かったのに」
みんなが嫉妬というか不満を垂れていたが、俺は冷静に答えた。
「いや別に今まで必要になったこと無いじゃん」
俺がそういうとみんな確かにといった顔をして何も言わなくなった。無駄な話してないで治癒魔法に集中するように言った。帰る頃には三人ともある程度の怪我は治せるようになった。ユースはというと前から使えるため三人を教えるのに回ってくれ時短になった。治癒魔法が使えるようになりこれで選抜戦と校内選抜の間先生たちをサポート出来る。これで安心だと思い俺たちは家に帰った。
次回もお楽しみに




