170話 再び謎の施設へ
ジャックズアイテムショップから戻ってきた俺たちはトールさんたちが報告から戻ってきているか確認に向かった。トールさんたちの部屋を訪ねても応答はなくまだ帰ってきていないようだった。国からの依頼で調査していたということで色々話さなくちゃいけないことも多いだろうから拘束時間が長いんだろうなと思い帰ってくるのを気長に待つしかないなと部屋に戻りベッドの上でゴロゴロすることにした。ユースと春奈もどこか行きたい場所も無いようなで部屋に戻った。俺たちも部屋に戻り各々自由に時間を過ごした。勝は自重トレーニングをして汗を流し、透は持参したゲーム機でゲームをやり、俺は動画配信サービスで好きな動画を見ていた。そんな時ニュース番組のライブ配信が行われているのに目が止まった。そのタイトルは衝撃的なものだった。
『ヴェナトレスの本拠地をアメリカ政府が発表か』
そんなタイムリーな話題を見ないわけにもいかず俺は急いでホテルのテレビをつけニュース番組に切り替えた。そこには冒険者協会会長ショーン・スミスと書かれた初老の白人男性が記者会見を行っていた。勝と透は急に俺がテレビを付けたことに驚いていたが、テレビの内容を確認して食い入るように見始めた。俺は急いでユースにニュースを見るようにメールを送った。すると、冒険者協会会長が喋り始めた。
「我々は本日とある協力者から世界的に暗躍しているヴェナトレスに関する情報を得ました。この情報を開示することでヴェナトレスがどういった行動に出るのかは定かではありませんが、世界中のみなさんにヴェナトレスのことを知ってもらうために情報を開示することに決めました。こちらの写真はヴェナトレスの本拠地と思われる場所で潜入捜査を行った際に撮られた写真です。培養液ポッドの中には様々なモンスターが入れられており、さらにはキメラを作り出していることから、ヴェナトレスはモンスターを使った実験を行っていることは確実です。これは人類共存のためではなく私利私欲のために行われている研究だと我々は考えています。
協力者の話によりますと、日本のダンジョンでアルトロポーファティが出現した際遭遇した男が俺たちのアルトロポーファティと言っていたのを確認していることに加え、その男をこの施設で見かけたことでこの施設はヴェナトレス又はそれに類する組織だと断定し捜査に踏み込もうとしているところです」
会長はそれだけ言うとその場を離れようとしたため記者たちによって止められた。だがその時会長はこう言った。
「私も只今よりヴェナトレスの本拠地と思われるそこに調査に行きますのでこれ以上の時間は割けません。それでは失礼します」
上に立っても未だに現場に出るなんてカッコいいなと思っていると部屋のドアをどんどんと叩かれた。俺たちは一瞬驚いたがドアの向こうからユースの声がしたため開けた。
「私たちも行くよ! 健斗、ヤンウェイを困難なダンジョンの入り口に出現させて」
俺はユースの言葉に従いヤンウェイを困難のダンジョンの入り口に出現させた。すると、ユースは一瞬たりとも迷うことなくヤンウェイの中に入った。それに続き春奈も入ってしまったため俺たちも後を追った。するとそこにはトールさんたちがいた。
「小出くんすぐに中枢深域にテレポートさせてくれ」
俺は息つく暇もなくヤンウェイで中枢深域の大穴にみんなをテレポートさせた。そこまで着いてようやくトールさんが事情を話してくれた。
「私たちの任務は逃げようとする構成員たちを捕らえることだ。そのためメアリーがこの大穴をプライシディウムで封鎖する。その間に私たちは中枢深域のモンスターの殲滅及び制圧を行う。小出くん。私を助けてくれたあの太陽のような魔法をお願い出来るかな?」
「分かりました。メアリーさん俺が中枢深域の中にその魔法を出現させたら大穴を一時的に封鎖してしください」
「分かったわ」
俺は急いでシクットソルを中枢深域の中央に出現させた。それとほぼ同時にメアリーさんが大穴をプライシディウムで塞いでくれたのでシクットソルを爆発させて中枢深域にいるテネブラアデスたちを殲滅しにかかった。シクットソルの爆発が終わり中枢深域の闇が晴れたのを確認するとメアリーさんはプライシディウムを消した。トールさんはすぐに中枢深域内部へと降り俺たちもそれに続いた。中枢深域は俺のシクットソルで殲滅出来たが、四つの道にいた巨大な狼やライオンのモンスターには有効打にはなっておらずただ怒らせてしまっただけになった。
相手は四体こちらはメアリーさんを除いた八人。自然と二人組に分かれて戦うことになった。巨大な狼はトールさんと拓郎さんが、巨大なライオンは俺とユースが、巨大なクマは勝と透が、巨大なワニは未来さんと春奈が対処することになった。巨大な狼の咆哮が対戦の火蓋を切った。全員勇猛果敢に巨大なモンスターへと攻撃を繰り出している中、俺はオペラティオで巨大なライオンの体を操り他のモンスターへと攻撃をさせていた。巨大な分必要なマナ量は格段に多いのと全身を動かすため多数の関節にマナを作用させなくてはならず大変だったが、その威力は絶大なものだった。ライオンの牙と爪を利用した攻撃は他のモンスターを傷つけるのにアイテム以上の効果をもたらし、他のモンスターも俺たちよりライオンの方を対処しなければならず戦況は混乱を極めていた。だが、トールさんや拓郎さんはそれでも的確に攻撃をし続け、勝が凍界無別を発動させる時にはちゃんと退却し被害に遭わないようにしたりと徹底していた。透の空掴の遊び人も遠距離からの攻撃に長けており絶大な効果を発揮した。そのように混乱を極めた乱戦を制し俺たちは施設へと向かった。
施設まで続く階段まで来たが、誰かの声が聞こえてきたり誰かが階段を上ってきたりすることはなく不審に思っているとメアリーさんが交流しそれを確認したトールさんは階段を下り始めた。俺たちもそれに続くと施設の出入り口はシャッターで閉ざされていた。この前俺たちが逃げる前に侵入がバレそうになった時にシャッターが降りたんだろうと思っているとトールさんが言った。
「ヴェナトレスの構成員たちはこの奥にいるはずだ。上からの指示を仰ぐから少し待っていてくれ」
そう言うとトールさんは水晶のような物を手に取りその水晶を眺めた。何をしているのか気になり水晶を覗いてみるとそこには英文が書かれており、突撃は許可するが施設の破壊は最小限にと書かれていた。地下でも使える通信手段のアイテムだろうと思っているとトールさんが指示を出した。
「今からこのシャッターを破り突撃する。だが、施設の破壊はしないように。分かったな?」
俺たちは頷いた。トールさんがミョルニルでシャッターを破壊すると、その破壊音は一切の物音に掻き消されることなく静寂に響き渡った。その時、施設から日本語が聞こえてきた。
「お前が来るのは分かってたぜぇ。よくもまぁあんなバレバレな侵入してくれたよなぁ、小出健斗くん」
施設の奥から聞こえてくるその声は刺青の男のものだった。
次回もお楽しみに




