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アルカディアリベル 〜神話級アイテムは俺を世界最強の攻略者へと導く〜  作者: 描空
三年生編

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168話 謎の施設

 これほど大規模な施設がグランドキャニオンの下にあるわけがないと思っているとトールさんが言った。


「道理でダンジョンがどれだけ地下に広がってるか地質調査しないわけだ」


 まさかそんな理由があったなんてと思っているとユースがトールさんに不思議そうに聞いた。


「どういうことなの? なんで何か知ってそうな感じなの?」


 ユースの問いかけにトールさんは壁際まで移動してから話し始めた。


「実を言うと、困難のダンジョンって救助が困難だから困難のダンジョンって名前になったって言っただろ。だから、毎年多くの攻略者が犠牲になってるんだけど、どういうわけか困難のダンジョンに入っていって帰って来なかった攻略者の数と犠牲者数がかけ離れてたんだ。大抵の場合はモンスターに食べられたからで説明がつくんだが、ここはそうはいかなかった。それでお父さんたちが国から調査を任命されさってわけ。話さなくてごめんな。小出くんたちもごめん。でも、これで尻尾が掴めた。ここは世界最大規模の裏組織ヴェナトレスの本拠地だろう」


「「「!?」」」


 ヴェナトレスと言えば日本でも一時期話題になった攻略者狩りの集団でかなり怪しい奴と出会ったりもしたが、まさかこんな大規模組織だとはと驚愕した。そこで俺はトールさんたちに聞いた。


「トールさんたち有名だからバレるんじゃ?」


「それは大丈夫。さっきメアリーが掛けてくれた香水あるだろ。あれのおかげで別の顔になってるから」


 トールさんの言葉だけでは分からない部分が多く何とも言えない気持ちになったが、そういうアイテムなんだと自分に言い聞かせた。その時近くを通りかかった人に英語で声をかけられた。


「どうした新人か?」


 その問いにトールさんが答えた。


「そうなんですよ。実はここに来るのも初めてでまさかこんなに大きだなんてってびっくりしてます」


「そうだろうな。俺も初めて来た時は驚いたが、もう慣れちまった。まぁ楽しめるうちに楽しんどけ」


「はい。ありがとうございます」


 本当に怪しまれることなく切り抜けたため他人から見れば顔が変わっているんだと納得しているとトールさんが指示を出した。


「調査を行うがこれだけ大人数だと少し怪しまれる。ここからは二手に分かれてどんなことをしているのか調査するように。ユース、相川くん、羽栖さんは私と右側を他の五人は左側を頼む」


 そんなわけで調査が始まってしまった。怒涛の出来事に頭がパンクしそうになっていると、見たこともないモンスターが培養液ポッドの中にいたり檻に入れられているモンスターなどモンスターに関わる研究をしているように見えた。何でモンスターの研究なんかしてるんだと思いながら歩いていると後ろから英語で話しかけられた。


「お前たち見ない顔だな。どこから来た?」


 どうしようかと思っているとメアリーさんが話してくれた。


「私たち今日来た新人でして何をしたらいいのか全然分からなくて……」


「そうかそれならついて来い。新人はモンスターに餌を与えるところからだ」


 なんかうまいこと溶け込めてしまい大丈夫なのかと思っているとさっき見た檻の上にやって来た。下には四足獣と全く別のモンスターのキメラのようなモンスターがいてこいつに餌をやるのかと思っているとさっきの人がバケツに入った肉とトングを渡して来て言った。


「こいつらの餌は隣の部屋で保管されてるから一袋開けて全部やること。もし全部食べなかったりもっと要求するような態度だったら隣の部屋にある経過観察記録帳に記入すること。これを朝昼晩以上。お前たちの担当はここだけだから他のところまでやらなくていいぞ。初日なんだし後の時間は適当にいろんなところ見て回って来い」


「はい。ありがとうございました」


 ということですんなり潜入成功し何をやっているのか調査する口実までゲット出来てしまった。とりあえず俺はモンスターに餌をやりちゃんと食べるか見ているとしっかり食べ満足そうにしていた。何の罪もない動物とモンスターが実験に使われて可哀想だなと思った。何のためにこんなことをしてるんだろうと思っていると透が言った。


「キメラを作ってるのって何か理由があるのかな? 戦闘で使うためとかじゃないよね?」


 透の言葉にメアリーさんが言った。


「戦闘って言っても一方的に襲わせるだけの戦闘なら使っててもおかしくないわ。見るからに破滅級以上の強さのキメラでしょうから普通のモンスターだと一方的にやられるでしょうね。攻略者でもそこそこ経験値のある人たちじゃないとやられちゃうかも知れないからもしかしたらもう犠牲になった人もいるかも」


 メアリーさんの言葉に俺は鬱蒼のダンジョンで見かけた刺青の男とアルトロポーファティを思い出した。刺青の男はアルトロポーファティを俺たちのと言っていた。つまり組織的にアルトロポーファティを使用していることの裏付けと言えるだろう。それに、ヴェナトレスが行っているモンスターの実験の一部にアルトロポーファティがあるかも知れない。もし、この施設でアルトロポーファティを培養していることが分かればあの刺青の男はヴェナトレスの構成員で間違いないだろう。こうしてはいられないとメアリーさんに事情を話し施設の調査を急ぐように言い俺たちは施設を歩き回った。


 しばらく施設を見て回っているとテネブラアデスのような肉塊が培養液ポッドの中に入れられており何らかのモンスターを生み出していると思われる装置もあった。ここで実験している研究員たちはどういった思いでヴェナトレスの構成員になりこんな実験をしてるんだと心底思った。そんなことを思っていると培養液ポッドが無数に敷き詰められた場所に着いた。そこは薄暗く保管室のような感じなのだろうと思っていると、前から鬱蒼のダンジョンで出会った刺青の男が姿を現した。刺青の男は特に何も言わず俺たちの横を通り過ぎて行きバレなくて本当に良かったと安堵した。その時刺青の男が少し後ろから英語で話しかけてきた。


「お前ら新人か?」


「はいそうです」


 メアリーさんが答えると刺青の男が続けた。


「そうか。その先に面白いものあるから腰抜かすなよ」


 そう言うと刺青の男は去って行った。内心バレたのではないかとドキドキしたが、去ってくれて一安心した。気を取り直して俺たちは何があるんだと刺青の男が言っていた先に進むと、そこには高さ十メートルには届かないほどの培養液ポッドに少し余裕をもって入れられた人の形をしている何かがあった。骨格からして人間ベースなのは分かるが、外見はただの肉であり色も白っぽく何なんだと思っていると研究員らしき人物が話しかけてきた。


「こいつに驚くってことは新入りか?」


「はい。これ何なんですか?」


「名前とかはまだ何にも決まってないから言えないけど、言えるのは世界で最も強い存在とだけ。まぁまだまだ完成には程遠いがな。ま、完成した時違いに驚くだろうから楽しみなときな」


 俺たちはそれだけ聞くと足早にそこを後にした。そして、トールさんたちと合流することにした。一度トールさんたちと合流すると、誰もいない場所に移動しこれからどうするか話し合いを始めた。このまま残ってヴェナトレスの目的を探る方がいいのか一度撤退した方がいいのか話し合った結果、一度撤退することになった。来ようと思えば俺のヤンウェイで来れるし今は俺たちもいるからと安全第一の行動をとることにした。その時、施設全体に警報が鳴りアナウンスが流れた。


「緊急事態発生。緊急事態発生。研究員に報告により門番である高杉晴政が何者かによって破壊されていることが確認されました。只今より施設を封鎖し調査を行います」


 そのアナウンスが流れた瞬間俺はグランドキャニオンへと繋がるヤンウェイを展開し全員が逃げれるようにした。シャッターが閉まるような音が聞こえたが、そんなことは気にせず俺たちはすぐにヤンウェイを通りグランドキャニオンへとテレポートした。


「危なかったぁ……」


「どうなっちゃうかと思った……」


 俺たちは助かったことに安堵する一方で大人たちは違った。これからどうするか話し合っているようだった。俺たちは緊張が途切れたことによるアドレナリンの消失で今まで溜まっていた疲れが一気に押し寄せてきた。それを確認したトールさんたちはマイケルとジョンを呼んでくれ俺たちはホテルへと戻ることになった。

次回もお楽しみに


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