162話 困難のダンジョン②
トールさんたちの後ろを飛びしばらく進むと急な坂道に差し掛かった。トールさんたちは止まることなく坂道を飛んで進んだので俺たちもそれについて行った。しばらく坂道を進んでいると別れ道が現れた。すると、トールさんは天井にあるワイヤーを確認してワイヤーが伸びて行ってる方に進んだ。出発する前にメアリーさんがこんな浅い所だと意味が無いと言っていたようにトールさんはどんどん奥深くへと進んでいった。いったいどこまで進むのかなと思っているとトールさんが言った。
「今から垂直に空いた穴に入ってダンジョンの奥まで行くからついて来てね。もしかしたら他の攻略者も同じようにその穴通ってるかも知れないから一列で移動するから今のうちに一列に並んで」
俺たちはトールさんの指示に従い一列に並んだ。一番前にトールさんがいて後ろにメアリーさんたち、その間に俺たちは子どもが入る形で一列となった。
「それじゃあ行くからこのまま一列で」
トールさんが進み始めしばらくすると急な坂道が終わり平坦な道へと出て来た。そして、そこから天井のワイヤーの道とは別の道に進んだ。その道の天井にもワイヤーがあったのだが、赤色のワイヤーが巻き付いていた。おそらくその赤色のワイヤーが目印なのだろうと思っているとトールさんが止まったので前を見てみるとそこには直径三メートルほどの穴が空いていた。点々と明かりが付いているためどこまで穴が続いているのかは分かるが、とてつもない深さであり驚かされた。
「ここからはゆっくり進むからみんなもゆっくりついて来て」
そう言うとトールさんが穴をゆっくり降りた。それに続きユースも穴を降り春奈、勝、透の順に降り俺も続いて降りた。ゆっくり降りるためどこまで続いているのか分からない穴の底を見つめることとなり高所恐怖症は辛いだろうなと思っているとトールさんの声が穴に響いた。
「下から他の攻略者が上がってくるから気をつけて」
トールさんの言葉の後少しすると現地の攻略者であろう人が上がって来た。三人パーティのようでかなり大きなバッグを背負っておりモンスターの素材でも入っているのかなと思った。何事もなく通り過ぎそのまま下に降りて行き穴の一番下にまで着いた。体感数十メートルは降りて来たなと思い困難のダンジョンの広さに改めて驚かされた。そんなことを思っているとトールさんが言った。
「ここから先モンスターと出会す頻度はかなり少ないが、一体一体が破滅級以上のモンスターしかいないエリアだから常に警戒するように。逆に一体倒してしまえばその辺りにはモンスターはいないからそこで休憩することにする。これはモンスターのナワバリを乗っ取って休憩することになるとは言え、絶対に襲われる危険性が無いとも言えないから交代制で休憩することにする。何か聞いておきたいことはあるか?」
トールさんの言葉に勝が質問した。
「ここの代表的は破滅級モンスターって何なんですか?」
「困難のダンジョンはその広さゆえ未発見のモンスターが多々発見されてるダンジョンだからこれと言ったモンスターは言えないんだけど、強いて言うのであれば魔獣型のミノタウロスみたいなモンスターと亜人型の悪魔みたいなモンスターが半々ぐらいにいるのが特徴って言われてるな。まぁ私たちが負けるようなモンスターはいないだろうし、ドラゴンを討伐した小出くんもいるんだしそんなに心配しなくて大丈夫だよ」
その言葉に勝は安心したのか強張っていた表情が少し和らいだ。トールさんを先頭に俺たちはゆっくりと歩みを進めた。風魔法でモンスターを探しに行くなんていう危険な行為はせず辺りに気を配りながら進み始めること十分が経ったであろう頃、進んでいる道の奥から何やらバリバリバキバキと何かが割れているような音が聞こえてきた。何の音なんだろうと思っているとトールさんが指示を出した。
「おそらく魔獣型のモンスターが捕食している最中だろうからみんな準備して」
俺たちはアイテムの準備をしゆっくり歩みを進めた。視界の奥に何かが動いているのを捕捉すると、魔獣型のモンスターは食べるのをやめこちらに顔を向けた。二つの目が周囲の光を反射し暗闇に浮かんでいるため俺たちの存在がバレたのは確実だった。俺たちはトールさんの指示を待っているとトールさんは一歩も動くことなくそのモンスターがこちらに興味を示さなくなるまで待った。だが、そのモンスターはライオンのような猛獣と同じ低い唸り声を上げながらこちらに向かってきた。
「みんなやるよ。相川くんのアイテムで足を止めたところを各々魔法を撃って」
トールさんの指示に従い勝が地面に凍界無別を刺しそのモンスターを凍らせるとそのモンスターは大きな唸り声を上げたが、俺たちは容赦することなく魔法を撃ち込みそのモンスターを討伐した。完全にオーバーキルだったが、命がかかっている以上仕方がないと思うことにした。俺はそのモンスターの亡骸に近づきどんなモンスターだったんだろうと見ていると、春奈が問うた。
「このモンスターなんて名前のモンスターなんですか?」
「ヤガーリウスだよ。見た目はピューマとか豹みたいな四足獣なんだけど、ヤガーリウス魔法が使えるんだ。どんな環境で育ったかによって魔法は変わるんだけど、多分ここだと土魔法とかかな。寒い地域にも暑い地域にも適応出来るようになってるから世界中にいるモンスターだよ」
そんな話をしていると勝と透が大きなあくびをした。モンスターを倒したばかりだというのに緊張感が無いなと思っているとメアリーさんが言った。
「二人ともまだ眠たいのならここで休憩しましょうか。もうそろそろお昼時だしちょうどいいでしょ?」
「そうだな。ちょうどモンスターも倒したことだし辺りにモンスターいないだろうしちょうどいいな」
ということで休憩をすることになった。その時メアリーさんがカバンの中から巾着袋を取り出しその中から昼ご飯の食材を取り出した。その光景に驚きメアリーさんに問うた。
「メアリーさん、それどうなってるんですか!?」
「これは認識不可の巾着袋って言って、この巾着袋の中がどれだけ広いのか認識することは出来ないんだけど、認識出来ない代わりにどれだけでも入るっていう不思議な巾着袋なの。この中に食料を入れてるから荷物が少なくて済むの。倒したモンスターのお肉食べれば食料は少なくて済むんだけど、それは最終手段だから私たちはやらないようにしてるの。ユースと攻略授業やってるのならモンスターのお肉食べようとしたりしないでしょうけど、本当に食べ物がなくなった時はモンスターのお肉を食べてでも生き残らなくちゃだからそういう時は躊躇しないようにね」
「そうなんですね。そうならないようにちゃんと食料がどのぐらいあるのか把握しておかなくちゃなんですね」
そんな話をしながら昼ご飯を作るのを手伝いみんなで昼ご飯を食べた。勝と透は昼ご飯を食べてすぐ眠りについた。三十分仮眠したら出発する旨をトールさんが伝え俺たちはその間何をしていようかと思っていると春奈がトールさんに提案した。
「精霊たちに辺り探索してきてもらいましょうか?」
「精霊かいいね。お願い出来る?」
「任せてください」
春奈は精霊水晶を取り出し水の精霊を生み出した。そして、辺りを探索してきてモンスターがいれば帰ってくるという指示を出した。水の精霊は春奈の指示を聞き道の先を進み始めた。
「精霊ってのは便利だなぁ。指示を出せば従い探索も偵察も大体のことは出来る。まさに万能だな」
「確かに万能ですけど、私の実力では戦闘面ではそこまで役に立たないのが課題点なので、もっと努力します」
「それなら今回の目標は精霊を戦闘面でも役に立つぐらい強くするだな」
「はい。頑張ります」
そんな話をトールさんと春奈がしている間俺は暇だったので風魔法で飛んだり浮遊したりして遊んで暇を潰した。
次回もお楽しみに




