↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アルカディアリベル 〜神話級アイテムは俺を世界最強の攻略者へと導く〜  作者: 描空
三年生編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

157/226

157話 最後の夏休み

 オペラティオを習得してからしばらく経ちもう夏休みに入ろうとしていた。今年が最後の夏休みだからとクラスのみんなは卒業旅行として北海道や東京、大阪などに行く計画を立てている人たちが多かった。だが、俺たちは特にそんなこと考えていないためユースたちは行かなくていいのかなと思っていると春奈が言った。


「ねぇみんなは卒業旅行とか行くつもりある?」


 タイムリーな話題だが、俺はバイトはしておらずお金が無いためどうしようかなと考えているとユースが言った。


「攻略者なんて暇な時間の方が多いんだから別に行かなくても良くない? それに、ダンジョン行くついでに色んな場所行けるから高校生のうちに行かなくてもいいと思うけど、皆んなが行きたいなら行くよ」


 てっきり攻略者はダンジョンに篭りっぱなしで旅行なんて行く暇無いと思っていたが、その考えは間違っているのかも知れないと思った。考えてみればトールさんたちは毎年夏休み一緒にダンジョン攻略に連れて行ってくれるし、一度ダンジョンに行ったらかなりの時間休みを貰えるとユースから聞いた覚えがある。もちろんサラリーマンなどの社会人であってもお盆休みは貰えるが、攻略者は週休制度ではなく船乗りのように長期間拘束する代わりに長期間休みを与えられるシステムなのではと感じた。それなら旅行に行く時間もお金もあるだろうしそれでもいいなと考えていると勝が聞いた。


「攻略者になってからしばらくはまとまった休み貰えないだろうし俺は今のうちに行っておきたいな。もちろん夏休みじゃなくて卒業前でもいいと思う」


「僕は攻略者になってからがいいな。お金に余裕がある状態で欲しい物全部買えるみたいな感じで色んな所行きたい」


 透の話が終わるとみんなが俺はどうなんだと問いかけるような目で見つめてきたので俺の考えを話した。


「俺も透と同じかな。攻略者の休みがどんな感じなのか分からないけど、旅行に行って食べたい物欲しい物を金額気にしないで楽しめる状態の方が楽しそうだし。ユースなら攻略者の休みどんな感じか知ってる?」


 俺がそう問うとユースが話し始めた。


「攻略者によっても企業勤めかギルド勤めかによっても異なるわね。企業勤めなら普通のサラリーマンみたいな感じの休みが多いわ。もちろん企業によっても違うから一概には言えないけどね。ギルド勤めならここのダンジョンにこれだけの期間行ってください。休みはこれだけですみたいな感じだからまとまった休みが多いの。お父さんたちがそれね。まぁお父さんたちはギルドじゃなくて完全個人だけど。だから、攻略者になってから旅行行くのでいいと思うわ。どうせお父さんみんなのことスカウトするから休みも一緒だろうし」


「「「ん?」」」


 ユースの最後の発言に勝たちは首を傾げた。みんなのことをスカウトするという発言が引っかかったのだろう。勝たちはユースにどういうことか問い詰めた。ユースはやっべという顔をして風魔法で校舎外まで飛んで行ってしまった。勝たちは追いかけようとしたが、塩田先生に止められた。そして、ユースに戻ってくるように言った。ユースはゆっくりと教室まで戻ってきて席に座った。逃げられない状況で勝たちはユースを問い詰めた。すると、ユースがみんなに聞かれないように小さな声で言った。


「本当は内緒にしておかなくちゃだったんだけどね、お父さんがこの前みんなをスカウトする方針で話してたから……つい」


 その言葉に勝たちは嬉しさを噛み締めるように拳を握り締めていた。大きな声で喜ぶとクラスのみんなから何があったのかと見られるためだろう。俺としてはなんとなく気づいていたためそこまで驚かなかった。他の企業やギルドもスカウトには来るだろうが、トールさんのスカウトを断るようなことはしないと分かっているためみんなで攻略者になれることを嬉しく思った。勝たちはスカウトしてもらえるインパクトが強すぎて旅行の話なんて頭から抜け落ちてしまったようでそこから旅行の話は出てこなくなった。きっと、攻略者になっても旅行出来る時間はあると分かったからそれ以上は言わなかったのだろう。


 放課後俺たちはいつも通り生徒会の仕事をしていた。選抜戦を競技会の校内選抜と同時に行うことに対する反対意見はほとんど無く、それを塩田先生に伝えると今年は選抜戦と校内選抜を同時に行うことに決まった。夏休みが始まるまでもう少し時間があるので全校生徒に知らせるために生徒会としては掲示板にその旨の書類を掲載しておいた。先生たちから保護者へのメールと生徒たちへの説明はされるため俺たちの仕事はほとんど無いのだ。学期末ということもありもう帰ろうかと話していると最後にユースが言った。


「みんな今年も一緒にダンジョン攻略行く?」


 俺たちはもちろんだと返事をするとユースはいい笑顔になり言った。


「今年は海外のダンジョンに行こうと思ってるんだけど、それでもいい? もちろん費用は全部お父さんたちが持つから。みんなの実力を認めてのことだから一緒に来てくれるとお父さんたちも嬉しいと思う。スカウトにも大きく影響するだろうし」


 俺たちは行かない選択肢は無いと断らなかった。俺たちはユースに英語を毎日のように教えてもらっていたので日常会話程度なら出来るようになっていたし、トールさんたちと一緒に攻略者になるのならすぐにでも海外に行くことにはなると思っていたから覚悟は決まっていた。後は両親の了承を得るだけだ。心配なことは多々あるが、心配事の八割は実際には起こらないと聞いたことがあるので大丈夫だと言い聞かせた。俺たちはそのまま帰路に着いた。


「ただいま」


「おかえり。晩ご飯出来てるよ」


「はーい」


 母さんの言葉に返事をしたが、俺の頭の中はどうやって二人に海外に行くことを伝えようかと思いながら先にお風呂に入った。父さんが帰ってきたら晩ご飯食べてる最中に言おうと決めお風呂から上がり晩ご飯を食べることにした。母さんの手作り料理も少ししたらしばらく食べられなくなるんだなと思うといつも以上に寂しく思えた。そんなことを思っていると父さんが帰ってきた。いつものように父さんが帰って来て食卓に着くと俺は話を切り出した。


「父さん母さん、夏休みにトールさんたちに海外のダンジョンに一緒に行こうって誘われたんだけど、行ってもいいかな? 諸々の費用は全部トールさんたちが負担してくれるらしいから、やらなくちゃいけないことはパスポート取るぐらいなんだ」


 俺がそう言い終えると父さんと母さんは鳩が豆鉄砲をくらったような顔をしていた。突然こんな話をされたらこんな顔をしても無理はないだろう。俺はしばらく答えを待ったが、父さんと母さんはその間ずっと悩んでいた。保護者同伴とは言え初めての海外でしかもダンジョン攻略に行くというのだから心配なのだろう。いつになったら答えてくれるのかなと待っていると父さんが言った。


「一晩考えさせてくれ」


「分かった」


 俺はその言葉を聞き自室に戻った。さすがにそんなすぐには答えられないよなと思い今日はもう寝ることにした。翌朝いつも通り学校に行きどうなるんだろうなと思いつつ残り少ない学期末の授業を受けた。他のみんなもまだ両親の了承を得られていないのかその話題は出てこなかった。家に帰り晩ご飯を食べていると父さんが帰ってきた。父さんが食卓に着くと話し始めた。


「相川くんや他のご両親とも話し合った結果、安全第一で行うことを念頭において攻略者するのであれば許可することになった。もちろんこのことはトールさんにも伝え、トールさんはもちろんだと言ってくれた。親としては心配だが、もう健斗たちも攻略者になることを受け入れないといけないなと考えての結論だ。だが、安全第一は絶対厳守だ。少しでも危ないと思ったらすぐに逃げなさい。命あっての人生だ。父さんより先に死ぬなんてこと絶対に許さないからな」


「はい。絶対に父さんと母さんを悲しませるような人生にはしません」


 俺は覚悟を決めて二人にそう誓った。今まで育ててくれた恩を仇で返すような親不孝者にはなるまいと心に決めた。自室に戻りユースに一緒にダンジョン攻略に行けることを伝えた。するとユースから他のみんなも行けるとの返信が返ってきた。そして、ユースから攻略の日程も送られてきた。パスポートを取るまで十日ほどかかるため再来週から二週間ほど行くことになっていた。つまり夏休みの後半ほとんどが海外ということになり今のうちに課題を終わらせなくてはならない。その事実に気づきパスポート申請と同時に夏休みの課題を終わらせるために励んだ。なんとかパスポートより先に課題が終わり勝たちも先に終わったと安堵のメールが送られてきた。後はパスポートを受け取り海外に行くだけだ。と思っていた時、海外の詳細を聞いていないなと思いユースにメールで聞いた。すると、当日までの内緒と言われてしまった。ユースらしいなと思い当日まで楽しみに待つことにした。

次回もお楽しみに


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。