154話 鑑定結果
春奈が学校に精霊水晶と懐中時計、バンダナを鑑定に出してから一週間が経った。三つも鑑定してもらうことや精霊水晶の特殊さゆえに時間がかかっているだろう。春奈は早く鑑定終わって欲しいなと実戦授業の間ずっと呟いていた。俺は何で精霊水晶まで鑑定に出したのか不思議になり聞いた。
「精霊水晶まで鑑定に出さなくてよかったんじゃないか? 聞きたいことならアブに聞けばいいし、もっと詳しいことも教えてくれるだろうに」
「そりゃそうなんだけど、学校に鑑定出したら攻略者協会の鑑定を受けられてあの三つのアイテムが私の物として攻略者になったら登録されるから後々の面倒が無くなるの。もちろん登録しなくてもいいんだけど、登録すればアイテムの等級も分かるし所有者が私だって公的に認められるからしてた方がいいの。今は事前登録みたいな感じだから私たちが光正を卒業して攻略者になれば自動で協会が登録してくれるの。便利でしょ。まぁヴェナトレスみたいな攻略者狩りをしてるような人たちはアイテムの登録なんてしてないんでしょうけど、普通の攻略者は大抵してるよ。デメリットなんて登録までにちょっと時間がかかるぐらいだから」
「へーそんなことまでやってくれてたんだ。知らなかったわ。ちなみに何で義務付けされてないんだろうな。その方が攻略者狩りに使われたアイテムが分かったりするかも知れないのに」
俺の疑問にユースが答えてくれた。
「もちろん義務化されてる国もあるわ。でも、アイテムって言っても効果を発動させなければただの装飾品だったりするからいちいちアイテムかどうか判別するのが大変なの。それに数も膨大だから全てのアイテムを国や機関に提出して鑑定をお願いしてそれを登録しててってやってたらそれだけで一日が終わっちゃって普通の仕事が出来ないから各々の判断に任せるって国が多いの。犯罪抑止にはなるけどそれに伴う労力が莫大だからやってないの。そもそも日本は海外ほど攻略者狩りの被害が少ないからやる必要がないって感じかな」
「へーそういう感じなんだ。ちなみに海外行く時とかってアイテムは入国審査で検査というか審査みたいなのされるの?」
「うん。まぁざっくりとした検査しかしないからそれで弾かれることはまずないわ。自慢みたいになるけど、お父さんみたいに神話級のアイテムなら顔パスで検査通れちゃうの。神話級って世界から認められるレベルなの。もちろん普通に検査受けさせられる国もあるけどね」
夢があるというかどんな人でも憧れてしまうなと感じた。俺も特別待遇を一度は受けてみたいなと思った。でも、トールさんと攻略することになればどこかしらで特別待遇を受けられるのではと少しワクワクした。そんな会話をしていると塩田先生が春奈を呼んだ。
「羽栖アイテムの鑑定終わったから取りに来い」
「はい。それじゃあ受け取ってくるね」
春奈は職員室にアイテムを受け取りに行った。俺たちは春奈が戻ってくる間アイテムの等級はどのぐらいか予想した。春奈が戻ってくるとニコニコの表情で春奈が言った。
「精霊水晶星座級で懐中時計は英雄級でバンダナは玄人急だって!」
「「「おお!」」」
「でね、懐中時計の名前は一時の勇猛って言って、一時的に精神面を補強してくれるんだって。バンダナは元気のバンダナって言って、名前の通りつけてると元気が湧き上がってくるんだって。常時効果が発動するタイプだから特に気にしなくても元気でいられるのは良くない?」
「確かに良いな。ちなみにどのぐらい元気になるんだ?」
俺が春奈に質問すると春奈は目を閉じてどのぐらいなのか確かめた。
「うーんとね、超スッキリ起きた時ぐらいかな。何事にも余裕を持って取り組めるぐらい元気あるよ」
「ちなみに外したらどうなるんだ?」
「外してもすぐに元気が無くなることはなくて徐々に元気が無くなってくる感じかな。て言っても元気がマイナスになるってわけじゃないから普通にお得に感じるね」
そんな話をしていると授業が始まり俺たちは席に着いた。精霊水晶は特殊系なのか魔法系なのかいまいち分からないため実戦授業はどうするんだろうと考えているとあっという間に実戦授業の時間となった。いつも通り実戦服に着替えてグラウンドにいると今日は春奈もグラウンドに来た。精霊水晶のために来たんだろうなと思っていると勝が言った。
「春奈がこっち来るの初めてだな」
「そうだね。今まで何回もこっちに来ようとしてたんだけど、魔法は普通に使えるし剣術は健ちゃんたちがやってくれるから銀翼の天使をもっと上手く使えるようになるために頑張ってたんだ。しばらく前から鹿島先生にもう教えることは無いって言われてたから思い切ってこっち来ちゃった」
「それじゃあこれからはずっとこっちなのか?」
「うん。魔法の腕前ももっと上達させたいからね」
そんな会話をしていると授業が始まった。俺たちはいつも通り一対一で組み手を行ったりした。透と春奈は二人で魔法の授業を受けていた。勝とユースとの組み手も二年間やり続けているし魔法もかなり上達しているためもうほとんど学びになることは無かった。学校は全生徒を見なくてはならないため贔屓をすることは許されず、俺にとって学びになることが無かったとしても文句は言えない。俺がそんな考え事をしながら勝と組み手を行っていると勝が手を止めて言った。
「健斗、どうかしたか?」
「ん? いやーなんかもう光正で学べること無いなーって。て言うか学びたいことが無いって感じかな? 俺特殊系のアイテム持ってるわけでもないから特殊系のことは学ぶ意味無いし、魔法も剣術もそれなりに出来るからなって」
「確かにな。それじゃあ尾形先生にもっと難しい魔法とか聞いたらどうだ?」
「まぁそれならあるかもな。向こう行ってくるわ」
というわけで勝との組み手をやめて尾形先生に魔法のことを聞きに行った。
「尾形先生なんか応用的な魔法無いんですか?」
「そうねぇ、小出くんレベルなら融合魔法ぐらいしか無いかしら」
「融合魔法も自発的にやってて、他に魔法の技術というかそういうのありませんか?」
「融合魔法もやっちゃってるなら本当にやること無いわねぇ……後やるとすれば独自魔法ぐらいかしら」
「それじゃあ俺独自魔法やっておきます。もし、先生が知ってる、見たことがある中で面白そうな独自魔法があれば教えてくれませんか?」
俺は独自魔法のいい刺激になればと尾形先生に問うた。すると、尾形先生は記憶を辿るように眉間に皺を寄せた。尾形先生なら何か知っててくれと思っていると尾形先生が言った。
「私が見たことある中で面白いなって思ったのはモンスターを従わせる魔法ね。もしかしたらアイテムの効果かも知れないけど、やってみる価値はあると思うわ」
「モンスター従わせられるんですか!? それってどんな感じですか?」
「もう何十年も前だからそこまでしっかり覚えてるわけじゃないんだけど、マナをモンスターに流し込んで思いのままにしてた感じだったと思うわ。練習難しだろうけど頑張ってね」
そんなわけで俺はモンスターを従わせる魔法の訓練を始めた。感覚的にはディオレンテカプティオーニスと同じだろうからそれを基にやればいけると確信した。
次回もお楽しみに




