151話 平穏
試練のダンジョンに攻略授業として来て五日が経ち今日は六日目となった。今日含め後二日で試練のダンジョンの攻略授業が終わる。俺たちは朝ご飯を食べながらこの二日間どうするか話し合うことにした。
「後二日あるけどどうする? 一階層も二階層も歯応えないし三階層も行けない。二階層の天井裏はテネブラアデスみたいないやーな奴いるかも知れないし行きたくない。もうやることなくない?」
俺がそう言うと春奈が言った。
「私アイテム試すからついでに色んな場所探索するけど、みんなはもう探索も飽きちゃった?」
「俺はもう飽きた。天井裏はシンプルに全方位警戒しなくちゃいけないから面倒だし行きたくないから俺は施設でゴロゴロしとく」
「僕はまだ探索したいから一緒に行こうか?」
「それじゃあ私と透は探索するのとで勝はゴロゴロ。健ちゃんとユースはどうする?」
俺とユースは少し考えた。正直言って試練のダンジョンにはもう飽きてきているので勝と同じようにゴロゴロしていたいなと思っているとユースが言った。
「私たちも勝と同じように休憩施設でゆっくりしてるかな。天井裏探索してもいいけど、後二日だし安全に過ごしておくわ」
「そう。それじゃあ私と透は探索行ってくるから。アイテム見つけても譲らないからね」
「譲らないからね」
「はいはい。いってらっしゃい。気をつけてね」
俺たちは透と春奈を見送った。勝は二人を見送ると休憩施設の中に入った。俺は休憩施設の外でゆっくりコーヒーを飲むことにした。普段はコーヒーなんて飲まないのだが、食堂で無料で飲めるということだったので試練のダンジョンの遺跡のような風景を眺めながらのコーヒーを楽しむことにした。テラス席のような場所でコーヒーを飲んでいるとユースがコーヒーを手に持ち隣の席に座った。特に何も話さずコーヒーを嗜んでいるとユースが椅子を近づけてきた。何か話したいのかなと思い俺も椅子を近づけてるとユースは微笑み話し始めた。
「乙女なこと聞いちゃうけどさ健斗って私のどんなところが好きなの?」
「ゴホッ……! き、急過ぎないか?」
まさかの質問にむせてしまった。こんなことユースが聞いてくるとはと驚き気管にコーヒーが入りむせたのだ。
「えー私だって一人の女の子なんだよ。恋人が自分のどこが好きなのか知りたいのなんて普通じゃない?」
「まぁ確かにな……」
「で、どこが好きなの?」
ユースは目をキラキラさせながら聞いてきた。俺は小っ恥ずかしく答えられずにいたが、ユースが何度も聞いてくるため小さく答えた。
「……嫌いなところなんて無いよ」
「……っ!」
俺は恥ずかしくてまともにユースの顔を見られずチラッと覗き見るように見ると、ユースの顔は紅潮しているのが分かった。嬉しいと言っていたが、恥ずかしいのはユースも一緒なんだと少し恥ずかしい気持ちは薄まった。そこで俺はユースに聞いた。
「ユースは俺のどこが好きなの?」
「えっ、答えなくちゃ……ダメ?」
「俺だって答えたんだから答えてよ」
とは言ったものの好きなところを聞くとなると恥ずかしいため少しだけ言ったのを後悔した。
「健斗のす、好きなところは……誰かのために戦えるところと優しいところかな……やっぱり直接言うのは恥ずかしいわね」
ユースからの褒め言葉というか好きなところを聞けて嬉しくなり好きなところを聞いて良かったと後悔なんてすぐに消え去った。
「好きなところ行ってもらうのって嬉しいな」
俺が微笑みながらユースにそう言うと、ユースは俺と同じように微笑み言った。
「そういうところも好き」
「……やっぱり面と向かって言われると恥ずかしいな」
そんな外野から見たら恥ずかしいやり取りをしばらく続けていたが、さすがにもうそろそろやめないと誰かに見つかってしまうかも知れないということでイチャイチャは終わった。そこからは何気ない雑談や訓練の話、魔法の話など色々な話をした。ユースと二人きりでこんなに長く話すことなんて無かったなと思っているとユースがある提案をしてきた。
「ねぇ健斗、今度さ私の家遊びに来る? 訓練とかそういうのじゃなくてね」
俺とユースは恋人なのだからもしかしてもしかするのかとかなり期待してしまった。でも、俺たちはまだ学生の身だ。もし、そんな雰囲気になってしまっても男の俺が断らないとユースを傷つけてしまう。下手すれば攻略者人生に多大な影響を与えてしまう。最悪の場合は避けなければならない。そんな考えを一瞬のうちにまとめて結論を出した。恋人として節度のある距離感を保ちつつユースと遊べばいいのだと。
「お邪魔しようかな。前行った時は遊びとかそんな雰囲気じゃなかったからな。今回は普通に遊びに行くよ」
「分かった。それじゃあ今週末来る?」
「それじゃあ今週末で」
「うん。頑張るから期待してて」
「ん? 分かった」
ユースの発言に何か作るのかなと思い聞こうとしたが、当日の楽しみに取っておくことにした。そんな話をしていると一日はあっという間に過ぎ攻略授業六日目も終わってしまった。攻略授業七日目となり試練のダンジョンは今日で終わりとなる。俺たちは話し合い今日をどうやって過ごすか決めることにした。
「今日で最後だけどどうする?」
俺がみんなに問いかけると春奈が言った。
「私と透は今日も探索するつもりだったけど、みんなで何かするならそっちを優先するよ」
春奈の発言にユースが言った。
「特に何かするわけじゃないから二人は探索してきても大丈夫よ。私たちがやることなんて多分クラスの誰かに魔法教えてってお願いされて教えるぐらいだろうから」
「そっか。私たちは頑張ってアイテム見つけてくるから」
俺と勝は二人を見送ろうとしたが、ユースは春奈を止めた。
「春奈ちょっと待って。これスビティスシィ昨日渡すの忘れてたから。一階層だけど気をつけてね」
「ありがとう。それじゃあ行ってくるね」
俺たちは二人を見送った。二人はとても楽しそうに話をしながら探索に向かった。二人はゲームでメインストーリーより探索とかに時間をかけるタイプだなと確信した。しばらく退屈な時間を過ごしているとユースの予想通りクラスの人たちから魔法を教えてくれと頼まれたので三人で教えてあげた。その様子を見て一般の攻略者が聞き耳を立てていたので俺たちは一般の攻略者の人たちにお金を取ると言って聞かれないようにした。もしかしたらヴェナトレスの仲間や攻略者狩りをしている人がいるかも知れないと思い俺たちの技術が悪用されないために仕方なくしたことだ。しばらくクラスの人たちに魔法を教えていると先生たちから褒められた。先生たちは口を揃えて一般の攻略者に盗み聞かれないようにと言っていたので、魔法の技術を隠すのは共通認識なんだろうなと思った。独自魔法も他人にはなるべく見せないようにすることとも同じだろうなと確信した。そんなことをしているとあっという間に昼過ぎとなりもう帰り支度が始まった。透と春奈も帰ってきたためみんなでゆっくりと帰るまで雑談していた。全員が揃ったため少し早いが俺たちは早々に帰ることになった。
数時間バスに揺られ学校に着いた。俺たちはすぐに家に帰った。いつも通り父さんと母さんがいる家に帰り母さんの温かい晩ご飯に舌つづみを打ちながら今回の攻略授業はどんなだったかを父さんと母さんに伝えた。
次回もお楽しみに




