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アルカディアリベル 〜神話級アイテムは俺を世界最強の攻略者へと導く〜  作者: 描空
三年生編

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148話 天井裏②

 宙に浮かぶ小さなおじさんは驚いた俺たちを見つめて言った。


「何もそんなに驚かなくてもいいだろ。おらはその精霊水晶の番人であり妖精のアブンクルス。気軽にアブとでも呼んでくれ」


 俺たちが驚きのあまり声が出ないでいるとその小さなおじさんが続けた。


「何じゃお前ら、おらみたいな奴見たことないんか?」


 俺たちが首を縦に振ると小さなおじさんが説明してくれた。


「さっきも言った通りおらは精霊水晶の番人の妖精だ。妖精とか精霊ってのは説明せんでも分かるよな? そんで、この精霊水晶は持ち主が精霊を生み出すことが出来るっちゅう優れもんだ。ならなんで妖精のおらが精霊水晶の番人をしてるんかっちゅうことになるんだけど、精霊っちゅうのは言わば命令されることでしか動かないロボット? とか言うやつだ。おらにはロボットなんて何が何だかさっぱりだが、人間なら分かるだろ? だから、意思を持って動く妖精のおらが番人を任されたってわけ。分かったか?」


 俺たちが首を縦に振るとアブが続けた。


「そんで、この精霊水晶は持ち主が使う魔法に応じた精霊を生み出すことが出来る。この生み出した精霊はどんな命令も聞き入れ遂行しようとする。例えば今生み出した火の精霊に五キロ先まで偵察してきてって命令を出したら五キロ先まで偵察に行って戻ってくる。もし、五キロ先で止まってて欲しいんなら具体的に指示を出さなくちゃいけねぇ。逆に言えば抽象的な指示なら持ち主の意図を汲み取って行動してくれるから大体の場合は抽象的でいい。それと、精霊の強さなんだが、人間はモンスターを等級で分けてるらしいが精霊にはそんなもん無い。持ち主の強さ次第で精霊の強さも変わるから精霊を強くしたいのなら自分が強くなることだな。後、精霊は結構簡単にやられる。戦闘の補助とかは出来るが、メインを張れるようなタフさは無い。説明事項はこんぐらいだが、聞きたいことはあるか?」


「アブさんはこうやって出てきたり引っ込んだり出来るんですか?」


 春奈の質問にアブが答えた。


「基本的にはおらは水晶の中で自由に過ごしてる。もし、なんか聞きたいこととか必要な時は呼んでくれたら出てくるから安心しな。戦闘の時に呼んでもらってもいいが、おらあんまり強くないから基本的には呼ばないでくれるとありがたいな」


「分かりました」


「それじゃあおらはもう帰るからまた何かあったら呼んでくれよな。それじゃ」


 アブはそう言い終えると精霊水晶の中に吸い込まれるように帰っていった。アブが帰ったのを確認した春奈は宝箱の懐中時計とバンダナを手に取り確認するように見つめた。懐中時計とバンダナのどっちから効果を確かめようかと考えているのだろう。そして、春奈は懐中時計から確かめるように決めた。その懐中時計は文字盤が傷つかないようにと鉄製のカバーがされているタイプで、春奈は右手に懐中時計を持ち文字盤が見えるようにカバーを開けた。すると、春奈が言った。


「な、なんでか分からないけど、今ものすごくやる気が湧いてきてるんだけど」


「どんな感じなんだ?」


 俺が春奈に問いかけると、春奈はどう答えればいいのか悩んでいた。感覚的なものだから伝えられないのかなと思っているとユースが言った。


「とりあえずその効果がいつまで続くか測りましょうか」


 俺たちはその懐中時計の効果と思われる現象が収まるまで時間を計測しながら待っていた。春奈が懐中時計のカバーを開けてから約三分が経った。


「あ、終わった」


「三分間やる気が湧いてくるって効果なのかもね。クールタイムとか副作用とか色々調べてみないと分からないことだらけだけど、さすがにダンジョン内ではやめておきましょうか。今何か自分の体に変化はある?」


「今は特に無いかな。ダルさとか疲れとかも無いし至って平常って感じ」


「特に副作用は無い感じなのかもね。まぁ戦いで使ってみないと分からないからここの探索が終わったら一階層に戻って使ってみましょうか」


「そうだね。これでものすごい副作用があったらみんなに迷惑かけちゃうからね」


 ひとまず懐中時計の効果も確認を終え最後のバンダナに移った。おそらくだが、このバンダナは俺たちが持っている装飾品系のアイテムと同じような効果だろうからすぐに効果が分かる可能性は低いだろうなと考えていた。春奈は俺たちにバンダナをどこに付けるのがいいか聞いてきたので俺たちは腕や髪、首元といったメジャーな場所を答えた。春奈は俺たちの意見を聞き邪魔にならない腕に付けることにした。ユースが春奈の腕にバンダナを巻いてあげると、バンダナが眩い光を放った。俺たちさまさかの現象に驚いたが、春奈はなんだが嬉しそうな表情をしていた。俺は春奈に問いかけた。


「大丈夫そうだけど、何か変わったことは?」


「なんかね元気になった気がする。プラシーボ効果かも知れないけどなんとなくそんな感じがする」


 アイテムの効果確認も終え俺たちは攻略を再開した。少し歩き始めると春奈が精霊水晶を手に取り火の精霊を五匹生み出した。何をするのかなと思っていると春奈が精霊に指示を出した。


「この近くにモンスターか宝箱が無いか探してきて。どっちかを見つけたら戻ってきてその場所まで案内して。モンスターだった場合は戻ってきた時に円を描くように動いて知らせて」


 春奈が指示を出すと火の精霊たちは俺たちの進行方向以外の別の方向に分かれて探しに行った。


「便利だなぁ」


「ね。自分でやってて思うけど探索では覇権級だと思う」


「これからのダンジョン攻略が楽になるって考えたら頼もしいな」


 そんな話をしているとユースが言った。


「何か変な音が聞こえない? 春奈、万感リングでどんな音なのか詳しく教えて」


「分かった」


 春奈は万感リングを使い聴力を上げた。俺たちはしっかりと音を聞けるように黙っていると春奈が言った。


「なんか、寝息? みたいな一定のリズムで鳴ってるからモンスターが寝てるんだと思う。私たちの声聞こえてると思うのに起きないのはぐっすり寝てるからなのかな?」


 春奈の言葉に俺たちはそのモンスターをどうやって倒すか作戦を立てることにした。おそらくその寝ているモンスターは暗闇に特化した体に進化しているであろうと考え俺たちは極力小さい声で話し合った。その結果、春奈の精霊を近く送り込み反応を示さないようであれば勝の凍界無別で凍らせて一斉攻撃というパターンと、春奈の精霊にも反応するぐらい敏感なのであれば火魔法でそのモンスターを目眩しさせるのと俺たちの視界を確保する目的で火魔法で辺りを照らし、透の空掴の遊び人で掴み攻撃をするという作戦を立てた。そして、もしそのモンスターが俺たちが想定しているより強ければ即刻地面を爆発魔法で壊し逃げるという逃げの作戦も立てた。見えてすらいないモンスター相手に俺たちは行動を始めた。

次回もお楽しみに


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