147話 天井裏①
シロとかなりの時間遊び続けシロに満足してもらい、俺はシロのもふもふを飽きるまで堪能し尽くした。顔をお腹に埋めたり全身で抱きついたり猫吸いならぬ犬吸いをしたりして心が満たされるまでシロ成分を摂取した。このままシロに抱きつきながら寝たいなと思い目を瞑った。お腹に体を寄り掛からせているとシロが体を丸め俺を包み込むようにしてくれた。俺はシロの体温ともふもふに対抗することが出来ずそのまま眠りについてしまった。暑苦しくて目を覚ますとシロはまだすやすやと眠っていた。起こすのは悪いし、何も言わずに去るのはもっと悪いしどうしたものかと悩んでいると俺が目を覚ましたのを感じ取ったのかシロも目を覚ました。
「おはよ」
「もう帰るのか?」
「もうそろそろね」
寂しそうな表情で聞いてくるシロに申し訳ない気持ちで胸がいっぱいだったが、みんなのことを放ってはおけないため帰らなくちゃなと思いシロに伝えた。シロはずっと寂しそうな表情で俺のことを見つめてきていたが、心を鬼にしてシロに別れを告げた。
「それじゃあもう行くね。次来る時はもっとちゃんと構ってあげるから」
「それと、もっと早く来てくれよ。月一ぐらいの頻度で」
「分かったよ。それじゃあまたね」
現実に戻り睡眠を取ろうとしたが、シロの所で寝たからかあまり疲れを感じなかった。でも、特にすることもないためゴロゴロすることにした。水魔法で水の玉を出しそれを右手と左手から出る風魔法で落とさないようにしたり、風船ぐらいの大きさの水の玉を空中に飛ばし、その水の玉を雷魔法のコゴウートゥムでピストルのようにして撃ったりした。そんな暇つぶしをしているだけじゃ勿体無いなと感じ、一人の時間を有意義なものにしようとじいちゃんとミトロシスグリーモの魔法を試していた時のことを思い出した。エフージオとディオレンテカプティオーニスはこういう一人遊びには使えないだろうし、ビチスグラビタスはみんなを起こしてしまう可能性がある。他にいいものは無いかと記憶を辿っているとじいちゃんが混成魔法を教えてくれたなと思い出した。あの時は火と爆発魔法の混成魔法であるイニスイスピラティオという混成魔法しか教えてもらえなかったため自分で確かめてみることにした。
まずは混成魔法の感覚を取り戻すためにイニスイスピラティオを使ってみることにした。火と爆発魔法を混ぜて互いのいいところを残すように意識した。爆発魔法の中に火魔法のイメージを入れ込むことで、爆発した所から発火するようになるイニスイスピラティオが完成した。次は火と水で混成魔法が出来ないか考えてみた。だが、火と水はどうしても打ち消し合うイメージが強く無理ではないかと考えた。その時、中学の理科の実験で火に水素を近づけると激しく燃えるという実験をしたことを思い出した。それを再現出来れば火魔法の火力がさらに上がるぞと思ったが、シクットソルは今でも十二分な威力であるため必要性を感じない。ということで火と水の混成魔法は一旦置いておいた。次は火と風を混ぜてみることにした。やろうと思えば火の竜巻みたいなのも出来るだろうと思った。実際にやってみたが、風は目に見えないので混成魔法とはひと目見ただけでは分からなかった。そこで考えていた火の竜巻を作ってみることにした。手のひらサイズでまずはやってみることにした。竜巻の中に火魔法を入れ込む感じでやってみたら案外簡単に出来た。このまま大きくすればかなりの殲滅力を誇る魔法になるだろうなと感じた。しばらく混成魔法を試していたが、工夫次第でいくらでも新しい魔法が出来そうで時間がいくらあっても足りないと感じこれぐらいで辞めることにした。
混成魔法の実験というか試作を終え何も考えずスマホをぼーっと見ているとあっという間に五時間も経っていた。みんなが寝てからもうそんなに経ったのかと驚いたのと同時に仮眠ぐらいはしておかないとなと思い目を閉じた。俺が目を覚ますともうみんな起きて各々準備をしていた。俺も準備しないとなと眠気覚ましに顔を水で洗った。腹ごしらえをし攻略再開の準備を終えるとユースが言った。
「魔法の訓練するのもいいけど、寝る時はちゃんと寝なさいよ。寝ることで魔法が途切れちゃうなら仕方ないけどそれならそうと相談ぐらいしなさいよ。仲間なんだから」
「分かった。今度から気をつける」
そんな話をしているとみんなはとっくに準備を終えていつでも出発出来ると言わんばかりの状態で待っていた。俺たちは荷物を持ち待たせたことを詫び攻略を再開した。しばらく天井裏を歩き続けていると視界の奥の方に何やら黒い塊があった。俺たちは歩みを止め火魔法でその黒い塊を確認するとそれはマグヌスゲッコーだった。あいつらはこっちが手を出さなければ襲ってこないためスルーした。天井裏に来てから二種類のモンスターとしか遭遇しておらず、天井裏は隔絶された空間なのかと思っていたが、逆にあいつらはどこから天井裏に来たのだろうと不思議に思った。俺たちみたいに穴を開けた攻略者がいてそこから入ってきたのかなと考えていると春奈が言った。
「ねぇあそこに宝箱ある」
春奈は進行方向から左にそれた方向に指を差し言った。俺たちはどこにあるんだと思い火魔法を春奈が差している方向に移動させるとそこには長方形の宝箱があった。こんな周りに何も無い場所に宝箱があることに驚くのと同時に春奈の万感リングの汎用性の高さにも驚いた。
「万感リングすげーな」
「本当に便利で助かってる。それより開けてもいい?」
俺たちはもちろんだと春奈が宝箱を開けるのを見守った。春奈がゆっくり宝箱を開けるとそこには手のひらぐらいの大きさの水晶と懐中時計そしてバンダナが入っていた。まさか三つもアイテムが入っているとは思っておらず驚いていると春奈が言った。
「ねぇこの水晶ってどんなアイテム?」
「多分だけど魔法に作用するアイテムだと思うわ。どんな効果なのか分からないけど、マナを増幅させたりとかじゃないかしら」
「試してみてもいい?」
「もちろんいいぞ」
俺たちは春奈がその水晶がどんな効果なのか確かめれるように火魔法で周囲を明るくした。春奈は準備が整ったのを確認すると水晶にマナを集中させ魔法を撃った。火魔法を撃った春奈だったが、その火魔法は特段変わったところはなく全員が不思議に思った。春奈と水晶の効果を考察していると春奈が不思議そうに遠くを見つめていた。俺たちはどうしたのかと春奈が見ている方を見てみると春奈がさっき撃った火魔法が消えていなかったのだ。これだけなら普通なのだが、その火魔法は動いていたのだ。俺たちは春奈にあの火魔法を動かしているのか確認したが、春奈はやっていないと否定した。そこでこの水晶の効果なのではないかと皆が思った。
「あれ動かされるかやってみて」
俺が春奈に言うと春奈は水晶に意識を向けたりマナを集中させたりしたが、何の反応も示さなかった。どういうことなんだと不思議に思っていると背後から声がした。
「何をやっておるんじゃ? さっさと指示を与えればいいんじゃ」
「「「!?」」」
なんと俺たちの背後にいたのは宙に浮かぶ小さなおじさんだった。
次回もお楽しみに




