146話 試練のダンジョン②
大勢の人が休憩施設でたむろしているため荷物を持ちながら二階層の攻略を始めた俺たちだったが、一階層とあまり変わり映えのしないダンジョンの内装とモンスターの出てこなさに一階層との違いを感じれなくなっていた時聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「ユースさん、小出さんお久しぶっす! 真島っす。逆さのダンジョン以来っすね!」
「真島じゃん久しぶりー!」
そこにいたのは俺たちが初めて共闘した真島たちだった。逆さのダンジョンで会って以来出会っていなかったため少し懐かしく思い他愛もない話をした。この四人ほど高校生生活をエンジョイしている攻略校生はいないだろうなと思うほどのギャルギャルしい見た目にダンジョンには似つかわしくないなと思っていると真島が言った。
「どうっすか、今回も俺たちと一緒にダンジョン攻略しましょうよ!」
「今回はやめておくわ。二階層はあなたたちだけでも攻略出来そうだし、私たちは試練のダンジョンの隠された宝箱探しするから」
「それなら仕方ないっすね……それじゃあ俺たちは好きにやってるんで、もしどっかで出会ったらその時はお願いしますね!」
真島がそう言い立ち去ろうとするとユースが最後に一言言った。
「私たちと共闘出来ないからって一般の攻略者と共闘しようと考えてるならそれはやめておいた方がいいわよ。鷲田先生も言ってたけどヴェナトレスみたいな攻略者狩りをしている連中が平然と紛れ込んでるかも知れないからね」
「分かりました! 俺たちのために忠告ありがとうございます! ユースさんたちもお気をつけて! それじゃあ失礼します!」
そう言うと真島たちは俺たちの前から姿を消した。嵐のような人たちだったなと思ったが、こういう明るい性格の人がパーティに一人いるだけでどんな時でも明るい雰囲気になるだろう。これは生まれ持った人にしか出来ない天性の才だと思った。そんなことを思っているとユースが言った。
「あの子たち本当にテンション高いわよね。一緒にいたら疲れちゃうわ」
ユースにとっては真島たちのテンションの高さは合わないらしくな、まぁそんなこともあるよなと真島たちを少し不憫に思った。すると、勝が言った。
「隠された宝箱探すとか言ってたけどあれも嘘か?」
「それは半分本当。道中でモンスターを倒しつつまだ誰も探索していないような場所を見つけられたらって思ってるから半分本当」
それは半分本当の域を超えているのではないかと思ったが、三分の一程度は掠る部分があるため嘘ではないなと自分を納得させた。そんなことがありつつも二階層の攻略が始まった。と言っても休憩施設に近い所はモンスターはおらず誰も探索していない場所を探すことにした。無駄に高い天井付近を飛びながら何か仕掛けがないか調べたり通路が無いか確認したりしたが、何も無く肩を落としていると勝が言った。
「なぁなぁ、ちょっとスピード出してみたいけどどんな感じ? 健斗の足と胸あたりからってのはみんなも同じ感じなの?」
「私は足と手からね。普段通りやる方が安定してるし」
「私も足と手」
「僕は健ちゃんとほぼ一緒で足と体全体から風魔法出して支えてるかな」
男子と女子で魔法の使い方が分かれるのは意外だなと思い考えてみることにした。女子は男子より体重が軽いため足と手だけで支えれるが、男子は上半身の重さを手からの風魔法だけで支えるのはキツイから上半身全体を支えれるように胸あたりから風魔法を出し支えているんだと仮説を立てた。それを立証してもらうためにはまだ風魔法を確立させていない勝が適任だ。
「それじゃあ勝にはどっちが合ってるか試してみようぜ。向き不向きがあるかも知れないし」
「そうかもな。それじゃあまずは胸あたりから風魔法出して支えてみる」
勝は一直線の道を結構なスピードを出しながら飛んだ。胸から風魔法を出して支えていることから安定して飛べていた。
「こんな感じだよな? 次は手からやってみる」
勝は今度は胸からではなく手から風魔法を出して飛ぶことにした。勝は度始まると手の位置が微妙だったのか一瞬バランスを崩しそうになったが、何とか耐えた。そして、手の位置を調整してスピードを出すと手に集めていたマナ量が多かったのか天井に向かって結構なスピードで突っ込んだ。俺たちは勝を心配して風魔法で近づいた。なんと勝は天井に上半身を突っ込んだまま動けなくなっていた。その光景に一瞬笑いそうになったが、すぐに勝の怪我を治癒魔法で治してあげた。すると、天井に上半身を突っ込んでいる状態で勝が言った。
「天井に空間がある!」
少しこもった声で言う勝の言い分を確認するべく勝の周りの天井を爆発魔法で破壊し通れるようにした。勝が天井の空間に入ると俺たちも続いて入った。天井裏は真っ暗だったので火魔法を使い明かりにした。天井裏はだだっ広い空間が広がっているだけで何も無いように思えた。
「天井裏にこんな空間があるなんてな」
「お手柄ね」
「なんか褒められた気しねぇよ」
そんな会話をしながら天井裏を探索していると遠くからコウモリのような生き物が飛んできた。俺は反射的に明かりにしていた火魔法でそのコウモリのような生き物を燃やした。あまりにも唐突な出来事に驚いているとユースが言った。
「危なかったわね。あれ、デスペルティリオよ。洞窟にいるコウモリとかと一緒で伝染病持ってる可能性大だから全ての攻略者から嫌われてるって言っても過言ではないほどのモンスターよ」
「伝染病って……恐ろしいな」
「て言うかそのデスペルティリオがいるってことは他のモンスターもいるんじゃない?」
「そうね。警戒して進みましょう」
俺たちは全員で火魔法を明かりにしてモンスターがいないかどうかちゃんと確認して進むようにした。しばらく進んだが、モンスターは現れずかなり時間も経っていることから休憩することにした。休憩をしていると勝が言った。
「なぁここって二階層って言っていいのか? 一階層と二階層の間だから一.五階層ってことになるのか?」
「どうなんだろう? 私もこんな空間があるなんて知らなかったし、三階層について詳しく知ってるわけでもないから」
「ま、今はゆっくり休んで次に備えよ。ヌラ・レフラリフレクティブ使うからみんなゆっくり休んで」
「ありがとう」
「助かる」
「お言葉に甘えさせてもらうわ」
「ありがとう。みんなおやすみ」
そんな会話をして俺たちは眠りについた。幸い荷物を全て持ってきていたため寝袋などは自分のがあり全員ぐっすりと眠った。俺はその時無性にシロをもふもふしたいなと思い忘れられた記憶の断片の中に入った。
「シロー! 久しぶりー!」
俺はシロに駆け寄り抱きつこうとしたが、シロは俺を避けるように顔を背けた。どうしたんだろうと思っているとシロが言った。
「なんで全然来てくれなかったの……?」
「ごめん。色々忙しくて。でも、決して忘れたりはしてないから。機嫌直してよ」
「いっぱい遊んでくれないと嫌!」
「じゃあ今からいっぱい遊ぼ!」
「それなら……ちゃんと満足するまで遊んでよ!」
「もちろん。さ、遊ぶぞー!」
次回もお楽しみに




