144話 試練のダンジョン①
今日は試練のダンジョンに行く日だ。きちんと準備をしてきたため忘れ物はなく心の準備も万端だった。心配なことがあるとすれば三階層だが、さすがに学校側が行かないようにしているだろうと考えていた。いつも通りバスに乗る前に鷲田先生の話が始まった。
「今回行くダンジョンは試練のダンジョンと言うダンジョンです。試練のダンジョンは階層ダンジョンという分類に分かれているダンジョンです。現在確認されている階層は三階層まで。一階層二階層は普通のダンジョンと大差ない難易度ですが、三階層からは破滅級モンスターが跋扈しているとても危険なダンジョンとなっています。階層ごとに分かれているので三階層のモンスターが二階層まで来ることはないので安全です。ですので、みなさんには二階層までの攻略をしてもらいます。一般の攻略者の方も三階層には挑戦しないことが難易度の高さを物語っているのが分かると思います。ましてや学生のみなさんが三階層に挑戦することなんて自殺するのも同然です。決して三階層に挑戦しようとは考えないように。三階層に続く階段の前には先生を三人常駐させておきますので助けを求める場合は休憩施設よりそちらに向かう手もあることを覚えておいてください。しつこいぐらい言いますが、絶対に三階層には挑戦しないように。あなただけの命ではないことを覚えておいてください。
それと、試練のダンジョンは一般の攻略者の方が多いので迷惑をかけたり問題ごとを起こさないように。もちろん一般の攻略者の方と協力して攻略するのもいいですが、全員が全員善人とは考えないように。少し前ヴェナトレスが世間を賑わせたように攻略者狩りをする人は一定数います。特にあなたたちのような学生や新人攻略者をターゲットとすることが多いようですのでくれぐれも安易に人を信用しないように。これは攻略者として常識ですのでみなさん覚えておくように。それでは試練のダンジョンに向かいますのでバスに乗り込んでください」
鷲田先生からの話も終わりバスに乗り込むと隣に座ったユースが言った。
「お父さんが言ってたけど、三階層から無事に戻ってきた攻略者は軒並み攻略者チャート上位五パーセント以上か有名どころのギルドだけなんだって。ネームバリューが無い普通の攻略者なら何十人何百人と犠牲になってるだろうとも言ってたぐらい本当にヤバい所なんだって」
トールさんの話なら真実だろうと俺たちは三階層に近づくことすらやめておこうと決めた。しばらくバスに揺られているといつの間にか眠り塩田先生の声で目を覚ました。目を覚まし辺りを見渡すと遠くに海が見える場所だった。もう少しで試練のダンジョンに着くらしく少し待っていると前に結構大きめの建物があることに気がついた。辺りは人がほとんど来なさそうな海と山の中間のような場所なのに何でだと思っていると透が言った。
「試練のダンジョンって来る攻略者が多いから入り口を管理する建物が攻略者の売店になるように増築されていったんだって。カップ麺とか寝袋とか短剣とか色んなの売ってるんだって」
「へー、攻略者向けの商売もしてるなんてすげぇな。でも、攻略者多くないと経営傾きそうだし本当に色んな攻略者がここに来てるんだな」
「試練のダンジョンは一階層の手ごろさと二階層の歯応えがある感じが二、三年目の攻略者とかそれなりに経験積んでる攻略者にも人気だからね。色んなギルドや企業が新人研修に選ぶぐらいにはメジャーだよ」
「そんなにメジャーなんだな。てことはその時期は色んなところの攻略者がごった返してる状態なんだろうな」
そんな話をしていると試練のダンジョンの売店に着いた。クラスのみんなは売店があることにテンションが上がっていたが、店のラインナップはそこまでそそられる物ではなかった。先生たちが他の攻略者に迷惑にならないようにと試練のダンジョンの入り口まで移動するように声をかけた。俺たちはすぐにダンジョンの入り口まで移動し先生たちに迷惑をかけないようにした。生徒たちの一番後ろにいた尾形先生が来ると鷲田先生を先頭に試練のダンジョンに入った。いつも通り休憩施設に荷物を置きいよいよ攻略が始まると意気込み鷲田先生が俺たちに話そうとした時、休憩施設にいた一般の攻略者が俺たちに話しかけてきた。
「え! 小出健斗じゃん! 俺大ファンです。マジでめちゃくちゃ強いから憧れてんすよ。一緒に攻略しません?」
「え、マジじゃん! しかも、ユース・ヨハネスもいるじゃん。マジめっちゃついてるじゃん!」
そんなふうに話しかけられて困っていると塩田先生が俺とその攻略者との間に割って入り言った。
「私たちは学校の授業で来ているので干渉しないようにお願いします。もちろん攻略者同士で協力することもありますが、今は生徒たち全員に指示を出しているので時と場合を考えてください。そして、我が校の生徒に手を出したら我が校が誇る全勢力を駆使してあなたたちを非難します。ですので、くれぐれも安易に話しかけないようにお願いします。ダンジョン内での事件事故は数え切れないほどありますから。生徒たちを無事に返すためにこちらも警戒せざるを得ないのでご理解ください」
「「「すいません……」」」
話しかけてきた攻略者と周りにいた攻略者もバツが悪そうにその場を去った。これが原因でダル絡みされたりしないか心配だが、俺たちなら大丈夫だろうと考えた。
「すいません鷲田先生続けてください」
「塩田先生ありがとうございます。それでは改めまして、もう一度言いますが、三階層には行かないこと、一般の攻略者の方には迷惑をかけないこと、安易に人を信用しないこと、これらを守って攻略をしてください。それではスビティスシィを渡しますので自分たちのペースで攻略に励んでください」
ユースが先生からスビティスシィをもらい俺たちは攻略を始めた。試練のダンジョンは今までの洞窟のようなダンジョンとは違いかなり人工的な内装のダンジョンだった。古代遺跡のような雰囲気で男心くすぐられるダンジョンだった。
「テンション上がるな!」
俺がみんなにそう言うと勝と透は力強く共感してくれた。ユースと春奈も共感はしてくれたが、男陣ほどは強く共感してくれなかった。歩いているだけでもワクワクする試練のダンジョンに心躍らせているとユースが言った。
「今回は攻略目的ってより探索目的でやる? 難易度的に一階層と二階層は簡単だろうし」
俺たちはユースの提案に首を縦に振った。今までのダンジョン攻略は探索目的でやったことはなく、内装もテンションが上がるものではなかったから楽しみで仕方がなかった。
次回もお楽しみに




