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アルカディアリベル 〜神話級アイテムは俺を世界最強の攻略者へと導く〜  作者: 描空
三年生編

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141話 氷魔法の訓練

「それじゃあ試しにみんなで氷魔法使えるかやってみようか」


 零弥さんの指示で俺たちは氷魔法が使えるかやってみることになった。心の中で水が冷気によって凍る過程を想像し右手にマナを集中させた。だが、右手に氷魔法は現れなかった。すると、零弥さんが言った。


「氷魔法は使えないのが普通だから、素質があったとしても根気よく訓練しないと使えないと思うよ。ギルドの人たちにも氷魔法教えてって言われて教えたけど、素質があった人も使えるようになるまで一時間ぐらいかかったからね。まぁその人は素質があるだけで氷魔法がこんなに不便だって知らなくてすぐに使わなくなっちゃったから意味なかったけど」


「零弥さんはどのぐらいで使えるようになったんですか?」


「僕は小さい頃になんか使えるようになってたから分からないんだよね。氷魔法は小出くんみたいにマナ感知に長けてる人でも使えないから本当に生まれつきなんだと思う。その素質がどれだけあるかも重要だろうからめげずにやることが重要だと思うよ。もし、氷魔法が使えなくても氷魔法が使える杖を手に入れれば使えるようになるからそれも手ですよ」


「そうですね。でも、今は自分の力で氷魔法が使えるように頑張ります」


 そこからしばらく自分なりに試行錯誤して氷魔法が使えないか頑張ってみたのだが、一向に使える気配はなく諦めようとしていたその時、勝の手から冷気が現れていた。今は六月であるためそこそこ気温が高く冷気がはっきりと見えたのだ。まさか勝に氷魔法の素質があるとはと驚いたが、俺たち以上に勝が一番驚いていた。


「相川くん凄いじゃん。正直言って誰も氷魔法使えず終わっちゃうんじゃないかって思ってたんだけどいい意味で裏切られたよ。どう? 氷魔法を使ってみた感想は」


「これからの季節に便利そうとぐらいしか……」


「ええ……なんかもっと、こうアニメとかゲームでも氷系ってカッコいいじゃん。なんかアニメのキャラになったみたいなとか無いの?」


 零弥さんの問いかけに勝は少し言いづらそうにしていたが、吹っ切れたのか澄ました表情で言った。


「俺氷系のアイテム持ってるんですよ。だから、氷魔法はみんなを暑さから守るために使います」


「そっか。それもいい使い道だと思うよ。それに相川くんは前衛だからあんまり魔法使わないもんね」


「そうですね。魔法最近はそこそこ使えるようにはなってきたんですけど、俺が魔法使うぐらいなら健斗たちに任せた方が断然いいんで」


「適材適所だね。きちんとパーティで役割分担出来ててこれからの活躍が楽しみだよ」


 そんな話をしていると氷魔法はもう終わりな雰囲気になっていた。次は何をするのかなと思っていると間藤さんが言った。


「それじゃあ次はみんながどれだけ強くなったのか見せてちょうだい。競技会で見ただけじゃどのぐらい強いのかちゃんと把握出来ないからね。それに、競技会から結構時間経ってるし」


 間藤さんの要求に俺たちはどうやって強くなったのかを見せたらいいんだと思っていると零弥さんが付け加えた。


「みんなには間藤さんの家にある魔法用サンドバッグは、魔法を撃ってもらって、サンドバッグが吸収したマナの量や威力を確認することが出来るんだ。と言っても具体的な数値が出たりはしないから可視化は出来ないんだけどね」


「補足説明ありがとう。それじゃあ行きましょうか」


 俺たちは間藤さんに連れられ地下一階に降りた。そこはコンクリート剥き出しの壁に囲まれた無機質なデザインの一室で、件のサンドバッグや筋トレ器具やルームランナーなどが置かれていた。正直言ってこのサンドバッグに魔法を撃っても耐えてくれるとは全く思えなかった。それに、地下であることから屋外のように大規模なシクットソルは使えないことから最大威力は見せられないなと思っているとユースが言った。


「間藤さん、決して侮辱したり不満に思わせるために言うのでは無いのですが、このサンドバッグでは誰の魔法を撃っても一撃で使い物にならなくなると思いますよ」


「やっぱりそうだよね。競技会の映像見直して今のみんなの強さはこれぐらいかなって想像したらこれじゃ全然足りないのは分かってた。ちなみになんだけど、一人づつ自分がどれだけ強くなったのか話してくれることって出来る? こっちとしても損失はなるべく抑えたいからね」


「それだけでいいんですか?」


「ええ。大体の強さは分かるわからそれでいいわ。本当は直接見て確かめたいところだけど、ここら一帯は住宅街だから下手なことは出来ないの」


 というわけで俺たちは地下室から客間に戻り話をすることにした。でも、誰が話すのが一番いいのかと思っているとユースが話し始めた。


「私がみんなの強さを分かりやすく説明しますね。まず、一番火力が高いのは間違いなく健斗です。悪魔のダンジョンに行った際に大勢の悪魔を太陽のような火魔法で一撃で葬りました。私は自然現象の落雷を連発出来るみたいな感じです。透は珍しい植物を操る魔法が使え、地面から木を生やしたりすることで直接攻撃が出来ます。勝と春奈はアイテムが強いことからあまり魔法を使わないのですが、魔法だけでも一般の攻略者と同等ぐらいの実力はあります。私の父もみんなのことはえらく褒めているので一般の攻略者よりは強いと思います」


「あのトールさんのお墨付きとは本当に流石としか言えないね。ちなみになんだけど、もっと詳しく教えてくれたりしない?」


 俺たちはそこまで教えるのは面倒だなと思ったが、直接言ったりはせず少し嫌な顔をして言いたくないと訴えた。すると、間藤さんは明らかにしょんぼりとして肩を落とした。


「まぁそうよね自分の手のうちはなるべく明かさない方がいいわ。自分の努力の結晶である独自魔法を真似された日には怒りで我を忘れても仕方ないぐらいだしね。それに、強いアイテム持ってるの知られたらヴェナトレスとかの攻略者狩りをしてる集団に目をつけられる可能性もあるから今から気をつけてるのは正しい選択だわ。みんながみんな善人は限らないから初めて会う人には細心の注意を払ってね」


 間藤さんが別れの挨拶らしき言葉を言うと続いて零弥さんも言った。


「言っておくけど、ヴェナトレスが有名になってるだけで昔から攻略者狩りをするパーティは昔から一定数いるから本当に気をつけてね。自分たちなら返り討ちに出来るって分かってると思うけど、攻略者狩りをするような奴らが卑劣な手段を用いないわけがないから怪しいと思ったら近づくのすらやめておくように。見た目で判断できないような奴がやってることもあるからダンジョン内では信頼してる人以外とは関わらないようにね」


 零弥さんが話し終えるとユースが言った。


「ご助言ありがとうございます。これから攻略者になる身として今の言葉心に刻みます。きっと次会う時は私たちも攻略者になっていると思うのでその時はまたよろしくお願いします」


「ええ頑張ってね」


「ダンジョンで会えるの楽しみにしてる」


 俺たちは間藤さんと零弥さんに別れを告げた。二人の言い方は冷たく事実を淡々と話しているようで、本当に被害に遭った人を知っているような感じだった。おそらく本当に攻略者狩りをしている奴らと出会したことがあるからの忠告なのだろう。攻略者狩りをしている奴らからすれば学生上がりの新人攻略者が一番狩りやすいだろうから本当に気をつけないとなと心の底から思った。

次回もお楽しみに


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