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アルカディアリベル 〜神話級アイテムは俺を世界最強の攻略者へと導く〜  作者: 描空
三年生編

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138話 体育祭午後の部④

 部活対抗模擬戦は勝の勝利で終わり次は部活対抗リレーだ。部活対抗リレーは模擬戦と同じように十二の部活で行われる四走者のリレーであり一度に十二人の走者が走るためかなり見応えのある競技となっている。だが、走者が多いことから見づらい、怪我の心配があるといった点が上がった。そこに関しては一度にやらないと時間がかかりすぎることやリレーを複数回に分けてやることは現実的ではないという点で説得し、怪我は治癒魔法で治せるから一度に十二人の走者が走る部活対抗リレーになったのだ。生徒からは見応え抜群なリレーになるだろうとかなり好印象だったと先生たちから聞いた。そんな背景がありつつも今こうやってちゃんと出来ることを喜び、みんなを盛り上げるために全力で走らないとなと思った。


 放送委員が出場者は待機場所に向かうようにと放送をしたので俺と勝は待機場所に向かった。近接戦闘部で俺たち以外のメンバーは早瀬と石田いう二年生が走ってくれる。早瀬と石田は二年生の中でも屈指のスプリンターであり勝ちに行くにはもってこいの人材だ。俺と勝も足は早いがそこそこといったレベルなのだが、俺たちには攻略授業で培った肉体があるからと自信はあった。元々足は早い方だったから立候補したというのが選出理由なのは誰にも言わないようにしておいた。もちろんユースたちにも。別に立候補したことは悪いことではないが、何となく格好良く見せたいから立候補したとは言ってないのだ。男のプライドがそうしたというのが一番しっくりくる理由だろう。


「小出先輩相川先輩、絶対勝ちましょうね」


 早瀬が俺たちに話しかけてきた。俺たちはもちろんだと答えアキレス腱を伸ばしたりして緊張をほぐしていた。すると石田が言った。


「小出先輩って魔法使ったらどのぐらいの速さで走れるんですか?」


 石田の質問に俺はどのぐらいと表現するのがいいかなと少し考えた。直感的にこのぐらいという数値が思い当たるということも無ければ、この距離を何秒で走れるというのも分からない。俺ってどのぐらいの速さで走れるんだろうと自分でも思っていると勝が言った。


「走るとは少し違うけど、模擬戦で桜田っていう二年が一瞬で距離詰めてだろ。健斗はあれの倍ぐらい早いスピードで動けるぞ。第三者の俺が見ての体感だからちょっと違うかもだけど、健斗の全力はめっちゃ速いぞ」


「「すげぇ!」」


 勝に本当かと疑いの眼差しを向けたが、勝は表情で本当だと言っていたため一旦はそうなんだと飲み込んだ。そんなことをしていると俺たちはグラウンドに入場するように促された。先生たちがプライシディウムを消していて少し入場まで時間がかかっていた。その時ふと思った。部活対抗リレーは魔法とアイテムの使用を制限するという約束の上なら普通のリレーと違っていい感じになるのではと。だが、魔法とアイテムを使うことで周りの出場者に被害が出るかも知れないし、十二人という走者数でもカオスなのに余計カオスになってしまうからこれは無しだなと結論付けた。そんなことを考えていると各部活の第一走者が準備を始めていた。俺はアンカーであるためゼッケンを着たりして準備を終えた。こんな時にまで考え事をするじゃないと気合を入れた。すると、部活対抗リレー開始のピストルが鳴った。第一走者は早瀬でかなり速いはずなのに、他の部活も最初は速い走者を持ってきているため全然リードは作れなかった。第二走者は石田であるためここでリードをと思い石田の近くに行き言った。


「全力で走れ! 石田なら絶対リード出来るから!」


 俺がそう言うと石田は首を縦に振った。早瀬を見てみるともうすぐそこまで来ていた。各部活の第一走者が第二走者にバトンパスをした。かなりカオスな状況だったが、どの部活もきちんとバトンパスをし第二走者に繋いだ。


「石田ー! 頑張れー!」


 走り始めた石田を応援した後は早瀬を労い、石田に再び目を向けた。石田は他の部活を少し離しリードしていた。それでもそこまでリードは広がらずさすがにレベル高いなと思っているともう勝にバトンが渡りそうだった。石田が先頭でバトンを勝に渡すと勝は全力で走り始めた。その後ろでは各部活が勝がいなくなった場所に詰めてリードを潰そうとした結果少しもたついてバトンパスがスムーズにいっていなかった。勝はその間にもリードをどんどん広げておりこのままならと思い俺は勝からバトンを貰うためにレーンに入った。勝はリードを保ったまま俺の真後ろまで来ていた。俺は勝からバトンを貰い全力で走った。ただ前だけ見て全力で走った。極限まで集中していたため観客からの応援なんて聞こえていなかったが、ただがむしゃらに走った。目の前にゴールテープが現れると俺は全力でゴールテープを切った。後ろからすぐに他の部活の走者もゴールしたため結構ギリギリだったことがわかった。だからか一位になれたことが心の底から嬉しかった。


「流石小出先輩! ナイスランでした!」


「石田もナイスラン。リード作ってくれてなかったら多分無理だった」


 石田と互いに称え合っていると勝と早瀬も俺たちの元にやってきた。


「マジでギリギリだったっすね! こんなに追い詰められるなんて思ってなかったっすよ」


「早瀬と石田がいて良かったよ」


「生まれつき足早くて良かったっす!」


 そんな会話をしていると俺たち部活対抗リレー出場者は最後のクラス対抗リレーの準備を始めるからとグラウンドから追い出された。俺たちは互いにクラス対抗リレーも頑張れよと鼓舞し合い別れた。運営のテントに戻るとユースたちが大層褒めてくれた。もちろん早瀬と石田のことも褒めてくれ自分のことのように嬉しかった。しばらく部活対抗リレーの話をしていると一年生の各クラスがグラウンドに入場した。もうそろそろクラス対抗リレーが始まるんだと思っていると放送が流れた。


「先ほどの部活対抗リレーはなかなかのものでしたね。それではみなさんのテンションもさらに上がったところでクラス対抗リレーに参りましょう!」


 そんな放送の言葉が終わるとすぐにクラス対抗リレーの始まりを告げるピストルが鳴った。一年生たちが一斉に走り始めると観客も一斉に応援を始めた。保護者たちは我が子の活躍をスマホに納めるべく全力でスマホを構えていた。しばらく応援しながらリレーを見守り放送委員の放送で何組が何位なのかを把握しつつ一年生たちが頑張って走ってる姿を応援していた。ラストスパートに入ると応援はより一層白熱し一着は三組二着は五組三着は一組で一年生のリレーは終わった。

 次は二年生のリレーだ。二年生からは魔法と近接戦闘を行うことにより肉体も飛躍的に成長し見応えのあるリレーになるだろうと思っていた。俺の予想通り二年生のリレーは最初から面白く、抜いては抜かれてを繰り返し続けラストスパートもギリギリまでどの組みが勝つのか分からないほど白熱した。結果として一着は五組二着は二組三着は四組で一組は五着だった。残念な結果だったが、よく頑張ったとみんなで二年生を称えた。


「二年生の分取り返すか」


 勝の頼もしい発言に俺たちも気合を入れた。三年生のクラス対抗リレーが始まろうとしているとユースが言った。


「勝つよ」


「おうよ」


 そんな話をしているとクラス対抗リレーが始まった。一組は三番目の位置で悪くはない位置取りだった。最初の方に足の速いやつと遅いやつを集めていたため後半からは比較的足の速いやつしか残っていないためこのままならいけると確信した。その時チャンスが訪れた何と一番前を走っていた四組の走者がこけたのだ。走者同士の差はそれほどなかったため四組は一気に最下位に転落した。俺たちはここぞとばかりに一気に応援して一番目になれるように頑張った。そんな時透の走る番がやってきた。残すところあと十人にも満たない走者数で一番に躍り出れば勝てると透は全力で走った。前傾姿勢で本当に全力で走った。バトンパスをし一番の二組とかなり差を縮めた。俺たち一組はその差をキープしつつ春奈、勝へとバトンを繋ぎ最後は俺とユースだけとなった。勝からバトンを貰い全力で走った。最後の最後で負けてられるかと全力を出し尽くした。目の前に二組の走者を捉えると俺は体力を余すことなく全部使い切り差を最大限縮めユースにバトンを繋いだ。アンカーは一周する必要があるため体力とスピードが求められる。ユースは小さい頃からずっと攻略者になるため訓練してきたからアンカーにぴったりなのだ。俺はユースの走る姿をへとへとになりながら見ていたが、二組のアンカーである間宮と接戦を繰り広げていた。残り百メートル付近になると間宮はかなり辛そうな表情をしていたが、ユースはまだ余裕そうだった。ユースは間宮が辛そうなのを理解したのか残り百メートル時点で一段階ギアを上げた。間宮は徐々にユースと距離を離されユースは見事一着でゴールした。


「「「やったー!」」」


 俺たち一組は歓喜した。途中まで三番目だったのに奇跡の大逆転を起こしたのだから無理もないだろう。俺たちはひとしきり喜び合った。しばらく時間が経ち閉会式が始まるとこれで体育祭が終わりかと思うとかなり寂しい思いになった。クラスと学年で集合写真を撮った後全校生徒で片付けを行い体育祭を名残惜しく思っていると塩田先生が話しかけてきた。


「お疲れ様。楽しかったか?」


「もちろん楽しかったです。準備で苦労した分余計に。でも、余計に終わるのが寂しいです……」


「まぁそうだろうな。でも、こういう非日常はたまにあるからいいんだよ。それにまだ文化祭もあるから頑張ってもらわなくちゃだからな」


「分かってますよ。任せてください」


「それじゃあ余韻に浸っておきな。先生たちは先生のやることやっておくから」


「はい。お疲れ様でした」


 塩田先生と話し終わりユースたちと合流した。すると、春奈がみんなで写真を撮ろうと言ってきたので俺たちは五人で写真を撮った。人生において良い思い出になったなと終わってから理解した。俺は寂しい思いを引きずりながらも家に帰った。家に帰ると母さんが晩ご飯を作ってくれていた。俺は先にシャワーを浴びて母さんの晩ご飯を堪能した。夜ベッドに入っても体育祭が終わってしまったことが寂しくスマホを見て寂しさを紛らわすしかなかった。また明日から学校頑張ろうと思ったが、しばらくはテンション停滞気味だろうなと思いながら眠りについた。

次回もお楽しみに


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