137話 体育祭午後の部③
部活対抗模擬戦の一回戦目が終わり勝ち進んだのは間宮、坂田、勝、剛田、神田、すみれちゃんの六人だ。俺の予想というか三回戦に進むであろう人は間宮と勝、神田だと考える。間宮は圧倒的な魔法のセンスで坂田を圧倒するだろうし、勝は剛田といい戦いをするだろうが近接戦闘しか出来ない剛田を魔法で迎え撃つことも出来るし近接でも戦える。神田とすみれちゃんは魔法のセンスは同じぐらいだと思うが、神田とは経験値の違いが明確な差になるだろう。咄嗟に使う魔法や相手に合わせて適した魔法を撃つまでのスピードだったりは経験値がものを言う。だから、すみれちゃんはその経験値の差で負けるだろう。もしかしたらすみれちゃんが村上さんと戦った時のように圧倒的センスで神田を圧倒するかも知れないが、神田もそれは警戒しているだろうからやはりすみれちゃんが不利だろう。でも、魔法を教えてあげた身からすると年上にも勝ってくれるぐらい強くなってたらなとも思った。そんなことを思っていると放送委員が二回戦目の放送を始めた。
「出場者の小休憩を挟みまして只今から模擬戦二回戦目を始めたいと思います。二回戦目第一試合は間宮くんと坂田くんの対戦です。間宮くんの魔法が上回るのか坂田くんの剣術が上回るのか。私的には間宮くんの魔法が上回ると考えていますがどうなるかは分かりません。みなさんもぜひ予想してみてください」
そんな放送の言葉が終わると間宮と坂田がグラウンド中央で相対した。二人は模擬戦とは思えないほど集中しており、その集中力は周りに緊張感を走らせるほどだった。鷲田先生の合図で対戦が始まると坂田が間宮と距離を詰めるためにアークシィリュームかスペチーフィカを発動させ一気に距離を詰めた。だが、間宮も警戒していないわけがなく開幕早々爆破魔法で爆煙を発生させ視界を悪くした。その間に間宮は空中に飛び上がり坂田と距離を取った。しかし、坂田はそれを読んで間宮に食いつくように空中に飛び上がった。坂田は予想通りといった顔で間宮を地面に叩きつけた。坂田は地面に叩きつけた間宮をそのまま追い込もうとしたが、間宮は風魔法で坂田を吹き飛ばした。
「うおわあああ!」
そう言って吹き飛ばされた坂田は校舎の屋上より全然高い場所まで浮上した。周りで見ていた観客は坂田が飛ばされたことを笑っていたりしたが、俺たちはちょっとヤバいなといつでも風魔法で助けられるように構えていた。
「こうさーん! 助けてくれー!」
間宮は風魔法で坂田をゆっくりと地面まで下ろした。俺たちは坂田がちゃんと降りてこられて安心した。
「坂田くんが空中に飛ばされた時はどうなるかと思いましたが、無事助かって良かったです。気を取り直しまして次は相川くんと剛田くんの対戦です。光正屈指の肉体を持つ二人の近接戦闘はこれからのみなさんにとってとても勉強になると思いますのでしっかり見ておくことをおすすめします!」
放送の言葉を聞いた一、二年生の一部が二人の対戦を見るために前傾姿勢になったのが分かった。勝と剛田はそんな後輩たちの期待に応えるかのように模擬戦を始めた。二人は自分が今までの高校生活で身につけてきた技術の全てを見せるように戦った。勝は不撓の拳を使っての肉弾戦から凍界無別の両刃剣又は両手剣を駆使したり剛田はアイテムの斧を使いつつも肉弾戦を織り交ぜたり、斧の持ち手に鎖を付けてヌンチャクのようにしたりと本当に見ていて学びの多い対戦だった。そんな二人の対戦は長期化し体力が徐々に削られてきた剛田の動きが悪くなってきたところを勝が攻め続け勝利した。
「本当に見てみて勉強になる戦いでしたね。相川くんと剛田くんみたいな生徒が来年再来年現れることを期待しておきましょう。二回戦目最後は神田くんと唯一の二年生桜田さんの対戦です!」
神田とすみれちゃんの対戦はすみれちゃんに勝って欲しいが、厳しいと思っている。神田は土魔法を使えるから俺であってもテンパることがあるだろうし対処が難しいと感じる。もちろん高威力で押し切れる選抜戦なら勝てたが、模擬戦では威力を抑えなくてはいけないため、魔法の精密さや工夫で勝つしかない。だが、すみれちゃんにはそこまでの技術は無いと思う。もちろん俺が最近すみれちゃんの魔法を見ていないからそう言うしか無いのだが、一回戦目の風魔法のように劇的に成長している可能性もあるためどちらが勝つのかは分からない。そんなことを考えていると二人の対戦が始まった。すみれちゃんは一回戦目のように一気に距離を詰めるようなことはせず距離を取ったまま神田の動きを見極めている。神田はすみれちゃんがどんな魔法を準備しているのか分からず攻められずにいたが、このままだとどうしようもないと感じたのか距離を詰めた。土魔法で足元の地面をとてつもないスピードで押し出し自分を射出するように距離を詰めたのだ。まさかの方法にその場にいた全員が驚いた。それはすみれちゃんも同様で防御するしか無かった。神田はすみれちゃんが防御して視界が塞がれた隙を見逃さず魔法で追撃を行いすみれちゃんを地面に組み倒し勝利した。
「神田くんまさかの移動方法に桜田さんは対処出来ずそのまま神田くんの勝利となりました! 奇想天外とはまさしくこれといった感じの戦法でしたね。それではまた小休憩を挟みまして三回戦目の三つ巴と参りたいと思います」
十分ほどの小休憩が終わり間宮、勝、神田の見慣れた顔ぶれの三つ巴が始まった。間宮と神田は勝が魔法をそこまで得意じゃないのを知っているからか距離を取り魔法を撃った。だが、勝は万能の賢杖の効果で前より格段に魔法が使えるようになっているため二人に対して魔法で対処した。選抜戦なら間宮と神田の魔法でかなり苦戦を強いられていた勝だったが、今回は模擬戦であるため全然余裕そうだった。間宮と神田はそれをもどかしく思ったのか少し魔法の威力を強めた。でも、勝は身のこなしのみで魔法を全て躱し逆に間宮に距離を詰めて腹を殴った。間宮が痛みで悶えている間に神田が勝に火魔法を撃ったが、勝は不撓の拳で火魔法を殴り消し神田にも殴りかかろうとしたが、土魔法の壁によって拒絶されてしまった。だが、勝は不撓の拳により諦めることはなく神田の土魔法の壁を殴り壊した。神田は負けを悟り降参を選んだ。勝は間宮の様子を伺うと間宮は最後に一矢報いようとしていたが、ダメージを負った状態の魔法が勝に当たるはずもなく勝の勝利で部活対抗模擬戦は終わった。
「優勝は近接戦闘部の相川くんです! みなさま相川くんと出場者の方々に大きな拍手をお願いします」
勝は観客に頭を下げ運営のテントに戻ってきた。
「流石だな」
「当たり前だろ。誰に鍛えられたと思ってるんだ?」
まさかの勝の言葉に俺は思わず笑みが溢れた。残すところ競技は部活対抗リレーとクラス対抗リレーのみとなっている。さっきは実力で勝敗が決まったが、リレーは運と身体能力で勝敗が決まるためどこが一位になるかは分からない。
次回もお楽しみに




