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アルカディアリベル  作者: 描空


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130/134

130話 最終日

 賢治さんに綾人さんが亡くなったことと二人が待っていることを知らせた後、俺たちは休みをとっていなかったことから休憩施設で休むことにした。ご飯を食べぐっすり眠った。勝に起こされ目を開けると時計が目に入ったその時計には日にちも表示されており見てみると攻略授業最終日の深夜だった。もう終わりかと気持ちになっていると塩田先生が俺たちを呼びに来た。


「お前ら、一般の攻略者の方が呼んでるぞ」


 賢治さんたちが呼んでるから勝は俺を起こしたんだなとベッドから起き上がり賢治さんをたちの元に向かった。寝起きということもあり伸びをしたりあくびをしていると賢治さんに笑われてしまった。


「すいません寝起きで」


「いやいやこっちこそ起こしてごめんね。君たちのおかげで綾人も悔いなく逝けただろうし、命を助けられたからお礼を渡したいんだけど、何が欲しい? 持ってるアイテムとかモンスターの素材ってなら後日しか渡せないから電話番号渡すけど」


 俺はモンスターの素材はどんな物があるのか気になった。ていうかモンスターの素材なんて換金しか出来ないと思っていたから素材集めなんてしていなかったが、損していたのかなとも思った。とりあえずモンスターの素材について聞くことにした。


「モンスターの素材ってどんなモンスターですか?」


「クロコディウスの皮とかオークの牙だな。君たちからしたら大した価値にはならないだろうからあんまりおすすめ出来ないよ」


「そうですか。アイテムも自分ので満足してますし俺は大丈夫です」


 俺がそう言うとみんなも同意見だったようだ。すると、賢治さんたちが言った。


「それじゃあ俺たちが申し訳なく感じるから何か要求してくれよ」


 そう言われてもなと思っているとユースが言った。


「それじゃあ賢治さんたちが攻略者として活動してきて一番使う頻度が高い物と持っていて良かった物、共闘した中で練度が高いと感じた会社、ギルドの攻略者を教えてください。私たちもこれから攻略者となりますので情報を要求します」


「分かった。喜んで抑えさせてもらうぜ。まず、一番使う頻度が高い道具は通って来た道をマーキングするナノコードだな。蛍光色で目立つ色のがおすすめだ。持ってて良かった物はロープだな。どっかから降りる時にも使えるし負傷者を運ぶのにも使える。練度が高い会社はジェレンデ社だな。メジャーな会社だからあんまり良い情報じゃないかも知れないが、メジャーなだけある。ギルドは色々あるけど烈火の鳳仙花は俺たちが一切見てるだけで終わるぐらい強かったな」


 烈火の鳳仙花なんて久しぶりに聞いたなと思った。流石間藤さんのところのギルドだなと思ったが、何もすることがなかったっていうのは共闘と言えるのだろうかとも思った。


「ありがとうございます。参考になりました。それではみなさんお気をつけて。今度は助けられませんから」


「あぁ。嬢ちゃんたちも気をつけてな。俺たちはひと足先にお暇させてもらう。綾人の葬式やらなくちゃいけねぇからな」


 そう言うと賢治さんたちは研鑽のダンジョンを後にした。俺たちは最終日をどうするか話し合うことにした。


「今日最終日だけどどうする?」


「私はもう攻略続けなくて良いと思う」


「僕も」


「そうね。今回はもうゆっくりしておきましょうか」


 春奈の言葉に透が同意した。二人はなんだか疲れているような表情だった。関わりがない人とはいえ人が亡くなったのを目の前で見たことで少しはくるものがあったのだろう。それを見てユースも二人を気遣うように言った。俺たちが休憩施設でゆっくりしていると尾形先生が俺たちに話しかけてきた。


「お疲れ様。話聞いたわ。一般の攻略者の方を助けたそうね。あなたたちは立派だわ。まだ高校生なのに他者に気をかけられるなんて到底出来ないわ。それと、助けられなかったって思うかも知れないけど、思い詰めすぎないようにね。ダンジョンは誰であっても死ぬ可能性がある危険な場所なの。自分たちが救えなかったなんて考えてたら自分が先に死んじゃうわよ。だから、他人はあくまで他人。自分たちの命を一番に考えなさい。他の攻略者もそう考えてるわ。あんまり実感ないかも知れないけど、攻略者になったら嫌でも分かるわ」


 そう言う尾形先生はなんだか暗い表情をしていた。こんな話をしている時に明るい表情になる方がおかしいのは分かっているが、なんだか悲しいような寂しいような表情だった。何か悲しい過去があったのかなと思わされた。そんな時春奈が聞いた。


「先生は一度攻略者としてダンジョンに潜ったことあるんですか?」


「若い頃ね……あんなことしなければ良かったって今でも思うわ。みんなを止めていればって……そんな後悔みんなにはしてほしくないの。でも、羽栖さんたちは強いから大丈夫だって思ってた。けど、今回一般の方を助けたけど助けれなかったって経験をしちゃったから心配になったの。誰かを助けられなかったことが心残りみたいにならなければいいなって。後悔から学べることは多いけど、心にとっては良くないことの方が多いから。自分たちのことだけ考えるようにして、他者は助けられるならぐらいにしないと自分たちが怪我するからほどほどにね」


 そう言うと尾形先生は離れて行った。やっぱり悲しい過去があったんだと思うと俺たちは本当に恵まれているんだなと思った。じいちゃんから魔法全般を武帝から治癒魔法と近接戦闘を龍王に稽古をつけてもらえ、シロからは第六感を水戸さんからはサポート魔法を教えてもらっている。俺が強くなることでみんなにも教えられる。本当に本当に恵まれている。心の中で感謝しているとユースが首から掛けていたスビティスシィがダンジョンの奥に向かって方向を指し示した。俺たちは考えるよりも先に体が行動に移っていた。塩田先生と尾形先生も同じようにスビティスシィが指した方向に救援に向かっていた。しばらく進むと広い空間に出た。そこには体長四メートルはあるマンモスのようなモンスターがいた。


「マンモートゥスだ。小出とユースと尾形先生は魔法を相川と中村はアイテムで動きを止めろ! 生徒は俺が助ける!」


 俺たちは自分の役割に責任を持って就いた。塩田先生はマンモートゥスに壁際まで追い詰められていた生徒たちを救い出した。マンモートゥスが俺たちの方を振り返ると勝が凍界無別でマンモートゥスの足を凍らせた。さすがにこの巨体を止められることは至難の業かと思っていたが、透が空掴の遊び人でマンモートゥスの足を掴みこかせることに成功した。それを確認したユースは雷魔法でマンモートゥスを攻撃した。それに続いて尾形先生がマンモートゥスの顔面に爆破魔法をこれでもかと撃ち込んだ。俺はみんなに被害が出ないように小さめのシクットソルを腹に撃った。マンモートゥスは苦痛に悶え苦しんでいると塩田先生がどこから取り出したのか分からない槍を構えていた。その様子を確認した俺は塩田先生の右腕にスペチーフィカを発動させた。そして、塩田先生がマンモートゥスに向かって槍を投げるとマンモートゥスの脳天を貫き奥の壁に突き刺さった。


「え?」


 塩田先生は一瞬何が起こったのか理解出来ていなかったが、すぐに俺の方を向いた。俺は塩田先生にサムズアップした。すると、塩田先生もサムズアップしてくれた。危なかったパーティのみんなも助けられて良かったと思っていると塩田先生が尾形先生に言った。


「これどうしましょうか」


「みんなのご飯にしましょう!」


「いいですね! 時間もまだありますし。それじゃあ生徒たちを呼んできます!」


 そう言うと塩田先生はみんなを呼びに行った。その間に俺たちはマンモートゥスを解体し順次調理していった。半日以上もかかった解体と調理のおかげでみんなとても楽しそうにマンモートゥスの肉を食べていた。だが、マンモートゥスの肉はまだ余っていてどれだけ肉あるんだよと驚いた。そこからは全員で余ってる肉を食べるために大食い大会のような感じになった。それもまた楽しそうでこういうのも時には悪くないなと思った。全員でマンモートゥスの肉を食べ終えると研鑽のダンジョンを去る時間になった。俺たちは満腹状態だったためバスに乗り込むとすぐに爆睡してしまった。学校に着くまで一切起きることは無かった。先生たちに起こされ家に帰ってもまだお腹は空いておらず晩ご飯を食べられなかったことだけが残念だった。

次回もお楽しみに


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