124話 最高学年
春休みが終わり俺たちは最高学年となった。感覚としてはなったというよりなってしまったと言った方が正しいかも知れない。春休みが終わり初登校日俺たちは高校生活がこれで最後かと悲しむ気持ちと体育祭と文化祭がやれる嬉しさで気持ちが二分されていた。俺たちは学校に着くと三年の教室に入った。この何とも言えない感覚も最後なんだと思うと感慨深いものがあった。朝のホームルームで塩田先生が今日の流れを説明してくれた。新学期ということもあり学年集会を行うのと俺たち生徒会は一年生の入学式に参加しなくてはならないらしく午後まで学校にいなくてはいけないと言われた。生徒会になったのだからそのぐらいは当然かと受け入れた。そんな感じで朝のホームルームが終わり学年集会が始まった。例年通り鷲田先生が俺たちの前に出てきて話を始めた。
「みなさん高校生活最後の春休みが終わり今から最高学年となりました。今年は生徒会の活躍もあり体育祭と文化祭が行われるため例年よりイベント数の多い年になります。ですが、みなさんは卒業を控えている三年生です。多くの人が攻略者になるべくギルドに所属したり企業と契約したりすると思います。中には大学に行く人もいるでしょう。そのような目標を持つことはとても重要です。その目標に向かってただひたすら努力すればいつかは叶いますからね。
しかし、それよりも前に卒業するためのダンジョン攻略試験があります。具体的な採点方法はまだ決めていませんが、各クラスと各パーティごとに採点する方式にしようというふうにまとまっています。もちろん将来のことも重要ですが、ダンジョン攻略試験に合格出来ないようではそもそも攻略者になれませんので強くなる努力も怠らないようにしてください。
最後に、みなさんはもう三年生です。下級生から頼られる事が多くなると思います。魔法の訓練の仕方や近接戦闘、部活の後輩から指導を頼まれるなど多々あると思います。みなさんが大変なのは分かっていますが、なるべく下級生に優しくしてあげてください。それでは私からは以上です。高校生活最後の年を思う存分満喫してください」
鷲田先生の話が終わると後は形式上存在しているだけの学年集会が終わり俺たちは教室に戻った。諸々やらなくちゃいけないことを終えると部活同士で集まることになった。俺と勝は生徒会で全然行けていなかった近接戦闘部が集まっている教室に向かった。久しぶりに会う人たちに挨拶をしすることを聞いた。どうやら部活勧誘ポスターやビラを作りたいのなら作ればいいということだった。近接戦闘部内では別にポスターなんて作らなくていいということだった。俺たちもその方がやらなくちゃいけない事が少なくて助かるので賛成した。だが、同級生の女子生徒が言った。
「なら、私個人的に作ってもいい? 後輩多い方が部活楽しいだろうし」
その発言に自分たちに迷惑ややる事がないのならと賛成する声が多かった。すると、女子生徒が続けた。
「ポスターの背景に小出くんと相川くんの写真使いたいんだけど、いいかな?」
俺と勝はそのぐらいならと承諾した。でもその場合、俺と勝に近接戦闘を教わりたい生徒で溢れるのではないかと危惧した。さすがに自惚れすぎかと思っていると勝が言った。
「俺たち生徒会であんまり部活来れないだろうから集合写真の方がいいと思う。俺たち後輩たちに色々教えられる時間少ないだろうから」
「確かにそうね。そこまで考えてなかったわごめんなさい。それじゃあ集合写真使っていい?」
と言う事で俺たちは集合写真を撮った。そんなことをしているとあっという間に午前中が終わり昼休みになった。他の生徒たちは帰宅したが俺たち生徒会は午後から始まる一年生の入学式に参加するため残っていた。昼ご飯を食堂に食べに行くと、俺たち以外には学校関係者の大人しかいない食堂に違和感を覚えた。食堂の人たちには生徒会は大変だねと労いの言葉をかけてもらった。俺たちは五人でいつも通り昼ご飯を食べ食堂でゆっくりと過ごした。今年の一年生からは体育祭と文化祭がある学校生活を送ってもらえるんだと思うと羨ましいような良かったと安心するような思いだった。そんなことを思っていると一年生の入学式が始まろうとしていた。俺たちは塩田先生の指示に従い先生たちが待機しておく場所にいた。塩田先生とユースが何やら話しているのに気がついたが、俺たちには関係のないことだから二人で話しているのだろうと思い特に何も思わなかった。しばらくすると鷲田先生からの話があり体育祭と文化祭の話題が出た。すると、鷲田先生はユースにバトンタッチした。さっき話していたのはこのことかと納得しているとユースが話し始めた。
「みなさんはじめまして生徒会長のユース・ヨハネスです。先ほど鷲田先生から話があった通り今年から光正でも普通科の高校と同じように体育祭と文化祭を行います。具体的に何をするかはこれから話し合って決めていきますので詳しい説明は出来ないのですが、みなさんの高校生活が楽しく最高の思い出となるように努力してまいりますので、どうかみなさんたちが生徒会になった時も後輩たちに最高の体育祭と文化祭を開催してあげてください」
ユースの話が終わると俺たち生徒会の仕事はこれで終わりだった。別に俺たちいらなかったんじゃなんて一瞬思ったが、生徒会だからと自分に言い聞かせた。俺たちは入学式での仕事が終わり帰宅となった。なんだか物足りないなと感じる一方で、こんな事がこれからもあるんだろうなと思うと会長にならなくて良かったと思った。まぁ俺みたいな考えのやつは会長に相応しくないから立候補しなくて正解だ。俺たちが帰路に着こうとしていると一年生たちによって阻まれた。一年生たちはユースたちの去年の競技会での活躍と俺が龍に攫われたことについて聞いてきた。俺たちはなるべく一年生たちを傷つけないように優しい口調で宥めたが、全然収まらずどうしようかと困っていると鷲田先生の声がした。
「先輩たちが困っているから辞めなさい。憧れる気持ちはよく理解出来るが、自分たちがこうなった時嫌だろ? 先輩たちも同じ気持ちを少なからず持っている。だから、先輩たちを困らせないように解放してあげなさい」
優しく諭すように言う鷲田先生の言葉を聞いて一年生たちは反省したのか俺たちを解放してくれた。俺たちは一年生を初日から落ち込ませるのは良くないなと思いバイバイと手を振った。一年生は嬉しそうな表情で手を振り返してくれた。俺たちは一年生と帰宅経路が被らないように風魔法で飛んで帰った。ユースはいつも通り車に乗り込み帰った。これで少しはカッコいい三年生を演じられたと感じた。
次回もお楽しみに




