118話 休み
悪魔たちが住んでいた場所をシクットソルで壊滅させた後、残っていた男の悪魔と女の悪魔を殺した俺たちは全員固まってまだ生き残っている悪魔がいないか探した。勝が女の悪魔に人質に取られた直後だったので二手に分かれるような事はせず全員で安全面を最大限考慮しながら残党がいないか探した。悪魔たちが住んでいたこの空間は本当に広く、見落としなく悪魔を探せているかと言われると自信を持てない。火魔法で明るくしてなるべく見落とししないように丁寧に探したためかなりの時間を要した。時計を見てみるとダンジョンに入ってから四日も経っていた。こんなに時間が経っていたんだと認識すると途端にお腹が空いてきた。アドレナリンが切れてしまいどうしようも出来ないなと思ったが、まだ悪魔がいるかも知れないと思うとそんなこと言い出せないでいた。空腹を紛らわせるためにカバンから携行食を取り出し口にした。もうしばらく辺りの探索は続き残党がいないことを確認するとトールさんが言った。
「ここにいた悪魔はほとんどが全滅した。生き残ったやつもいるかも知れないが、私たちの実力を見て逃げただろう。と言う訳で今から大休憩を取る。ユースたちは寝ておきなさい。寝不足では本来のコンディションが引き出せない。それは攻略者にとって死と直結する。そこで私たちがどうやってダンジョンで睡眠をとっているか教えよう。
まず、最初に寝る人はパーティの半数。その間残りの半数は辺りの警戒。そして、最初に寝ていた人が起きたら半数と交代。最後に短い仮眠を交代でとり行動に移す。という感じだ。あくまでこれは私たちの場合だから正解ではない。一つの方法だと覚えてくれたらいい。もっと大規模なパーティの場合や奇数の場合などもあるからパーティによって睡眠のとり方は異なる。これもパーティの面白いところだと私は思う。さ、みんなは寝なさい。自分たちの最適な睡眠の取り方はこれから模索すればいい」
俺たちはトールさんの指示に従い寝ることにした。俺たちは五人だからどんな睡眠の取り方が正解なんだろうと考えているとあっという間に眠ってしまった。しばらく寝ていたが、空腹で目が覚めた。トールさんたちは周りを警戒しながら何気ない雑談をしていた。すると、メアリーさんが俺が起きたことに気がついた。
「おはよ。もう寝なくていいの?」
「お腹空いて起きちゃったんです」
「何食べたい? お肉にする?」
「じゃあ肉系でお願いします」
「はーい」
メアリーさんとの会話を終えるとトールさんと拓郎さんが手招きしていた。二人は自分たちの間に座るように促していた。何か話したいことであるのだろうと思い二人の間に座った。すると、トールさんが話し始めた。
「ずっと聴きたかったんだけど、あの太陽みたいな魔法何? 威力めちゃめちゃ高いし範囲も広い。あんな魔法見たことなかったからさ。私たちにだけ内緒で教えてよ」
「「私たちにも教えてよ」」
トールさんに続いてメアリーさんと未来さんがシンクロして言った。やっぱり気になるよなと俺はじいちゃんの事は明言しないように話した。
「俺が魔法を教わった師匠の独自魔法ですよ。俺も威力を見るのは初めてだったんで驚きましたよ。多分そこまでマナ使わなくても結構な威力出るでしょうからポンポン使えないのが惜しいですけどね」
「でも、うまく威力抑えれば大抵のモンスターワンパンでしょ? 最強じゃん」
「それでもいいですけど、威力見誤ったらやばいんでさすがに周りに誰かいる時はしてないですね」
未来さんの言葉に俺は付け加えて説明した。すると、メアリーさんが言った。
「それじゃあ威力抑えられるようにしてみたら? 狭いところで防御力高いモンスター相手にすることもあるだろうし」
「それなら範囲を抑えて高威力にする方がお得じゃないですか?」
「理想論を言うのであればそれが一番だろうな。でも、結構難しいだろうから時間はかかると思うよ」
トールさんの言葉に俺は逆にやってやろうじゃないかと燃えてきた。今ちょうどダンジョン内にいるんだし試行錯誤出来るチャンスだと思いやってみることにした。小さいのに高威力というのを実現する最短の方法はマナを凝縮することだと結論づけた。これはミトロシスグリーモに書いてあったコゴウートゥムと同じ理論であるため上手くいく確信があった。そして、マナを凝縮して手のひらサイズより少し小さいぐらいにしてシクットソル作り出してみた。その結果手のひらに小さな太陽があるみたいになりなんだかかわいく思えた。
「こりゃ驚いた」
「え、さっきのあれがここまで小さくなるの?」
トールさんとメアリーさんは知的好奇心旺盛なのか目をキラキラさせながら俺の手のひらの上にある小さなシクットソルを眺めていた。一方で拓郎さんと未来さんは乾いた笑いが出ていた。メアリーさんはご飯を作っていたのに今では何もしておらず代わりに未来さんがやっていた。メアリーさんのこんな一面を見るのは初めてだったため新鮮だなと思っているとメアリーさんが言った。
「ね、それ撃ってみて。どのぐらいの威力なのか知りたい!」
子どもみたいに言うメアリーさんに俺の心は少し和んだ。でも、さっきみたいに爆風が来たらいけないとプライシディウムを展開してからシクットソルを爆発させることにした。準備が整うと俺はトールさんたちに爆発させてもいいか確認した。全員オッケーを出してくれたが、ユースたちはまだ眠っており寝起きドッキリみたいになるんじゃないかと思ったが、面白そうだとやってみた。シクットソルを爆発させてみると、悪魔たちを一掃した時よりは控えてだったがそれでもかなりの威力の爆発と音、風、熱が発生した。眠っていた四人は何事かと飛び起きた。そして、俺は起きた四人に笑顔で言った。
「おはよ」
その後四人に色々言われたが逃げるように風魔法で空中を飛び回った。飛んでいるとユースが追いかけてきたりしたが俺は捕まらないように逃げた。しばらくするとメアリーさんのご飯出来たよという声で俺たちは大人しくご飯を食べ始めた。ここがダンジョンだということを忘れてしまいそうなほど楽しかったが、休憩ももうそろそろ終わり攻略再開に向けて気持ちを整えないとなと自分に言い聞かせた。みんな悪魔と戦いに行くのが億劫なのか単に面倒なのかゆっくり準備していた。トールさんたちであっても気が向かないこともそりゃあるかとあまり深く考えないようにした。攻略期間は後三日残っているため時間に急ぐ必要がないのもゆっくりしてる要因かなと思っているといつの間にか準備が終わり攻略再開となった。俺たちは悪魔たちが暮らしていた広い空間からさらに奥に向かって進んだ。
次回もお楽しみに




