113話 悪魔のダンジョン①
俺たちが生徒会役員になりしばらく経った。時期はもう春休みに入ろうとしていた。保護者説明会から特に面白い出来事もなく平和に過ごしていたある日ユースが言った。
「みんな、久しぶりにお父さんたちとダンジョン攻略行けることになったけど一緒に行く?」
「マジ!? 行く行く!」
「俺も!」
「僕も!」
「私も!」
俺たちは即答だった。去年の夏休みに初めて行ったきり行けてなかったのだから行かない選択肢なんて無かった。それに、トールさんたちに俺たちがどれだけ成長したのか見せられる絶好の機会でもある。自分では気づけなかった問題点や課題が見つかるかもしれない。それと、普通にトールさんたちにまた会いたいっていう理由も含まれているのもある。
「みんなそんなに行きたかったなんて知らなかった。お父さんたちに伝えておくね。行くダンジョンは決まってるけど日時はまだだから決まり次第ダンジョンも一緒に教えるね。それまで楽しみにしてて」
ユースのもったいぶらせるそのセリフに俺たちはなんとも言えない感情を抱いた。早く教えて欲しい気持ちとどんなダンジョンに行くのかワクワクする気持ち、どのダンジョンに行くのか頭の中で考える時間まで含めるとその焦らされているような時間ですら楽しめそうだと感じた。
「今教えてくれないのかよー」
「それじゃあヒントだけね。今までに一回だけこの中の三人は戦ったことがある。これ以上言うとすぐ分かっちゃうからこれだけ。多分明日から明後日には日時決まるだろうからそれまでみんなで考えて。それじゃあ私は帰るから。また明日」
「「「また明日」」」
残された俺たちは早速ユースが言ったヒントからどんなモンスターが出てくるダンジョンなのか考えてみた。正直言ってこの中の三人しか戦ったことがないモンスターなんて覚えていないだけで結構いるだろう。でも、ユースが一回だけと限定したのに何か隠されたヒントがあると感じた。今までダンジョンには何回か行ったわけだし、この前の孤立のダンジョンは個人行動だったからどんなモンスターと戦ったかは分からない。つまり、そこまで頻出するモンスターというわけではなく、ダンジョンで出てきたモンスターというわけでもない。つまり、競技会で戦ったモンスターである。そう仮定した。とりあえずここまでの過程をみんなに話すことにした。
「なぁさユースは一回だけって言ってたけど、みんな孤立のダンジョンで何のモンスターと戦ったか把握してないよな。ということはさ、競技会で戦ったモンスターなんじゃね?」
「あー確かに」
「それなら三人っていうのもあってるしね」
「ということは競技会で戦ったモンスターを挙げればいいんだね」
そこから俺たちは競技会で戦ったモンスターをあげていった。結構な数のモンスターが候補に上がったが、これ以上絞ることは出来なかった。ちゃんと競技会は被らないようにモンスターを選出してるんだなと感心しているとあっという間に辺りは暗くなっており帰ることにした。帰ってる間もどこのダンジョンにどのモンスターが出るのかなど調べていたが、いまいちピンと来るものは無かった。家に帰り寝る前にも調べていると、今年の競技会で勝たちが悪魔と戦ったと言っていたのを思い出した。悪魔が出てくるダンジョンなんてあるんだろうかと調べていると複数件ヒットした。だが、そのヒットしたダンジョンのうち九割は悪魔的な難易度という意味で悪魔が使われていたが、悪魔のダンジョンというどストレートなダンジョンは悪魔が出てくることからその名前がついていた。もしかしてもしかするんじゃないかと思った。でも、悪魔は破滅級のモンスターだからポンポン出てこられるのは困る。勝たちの話によれば競技会の悪魔はそこまで強くない個体だったらしいから振れ幅があるのだろうか。そんなことを思っていると眠たくなってきたので今日はもう寝ることにした。
アラームで朝目を覚ましいつも通り朝ご飯を食べ学校に行く準備をし勝たちと集合して学校に向かった。道中調べたダンジョンの話をしているみんなの話を聞いているとやっぱり悪魔はないかなと思ったが、俺たちのレベルを信じて行きそうだなとも思っているといつの間にか学校に着いていた。ユースが教室に入ってくると勝たちは日時は決まったかと急かした。でも、ユースは周りのみんなに聞かれるのを嫌がってか放課後ねとだけ言った。勝は少し残念そうにしていた。放課後になると俺たちは生徒会室に向かった。
「さ、どこにいつ行くんだ!?」
生徒会室に着くと勝がすぐにユースに問いかけた。ユースははいはいと話し始めた。
「まず日時からだけど、春休みが二十日から始まるでしょ。そして、学校が始まるのが二週間後の七日。その二週間のうち春休み始まった次の日から一週間行きます。そしてダンジョンだけど、今回は悪魔のダンジョンに行きます。悪魔が出てくるタイプの悪魔のダンジョンだから結構な難易度あるから遊び半分で攻略しないようにってお父さんが言ってたからみんな気を引き締めて臨むようにね」
マジで当たったことに驚いたのと同時にそんなダンジョン行って大丈夫なのかと心配になった。勝たちも固唾を呑み気を引き締めたような緊張したような面持ちになった。
「みんななら大丈夫だって私は信じてるからそんなに緊張しなくて大丈夫だよ。ダンジョン行くまでまだ日数も残ってるし」
ユースの言葉で少しだけ緊張が和らいだ。そこから俺たちはユースに悪魔のダンジョンがどれほどの難易度なのかなど聞いた。悪魔のダンジョンはその名の通り悪魔が出てくるためかなり高難易度なダンジョンとなっているらしく攻略者協会に事前に申請し許可されないと攻略することすら出来ないようなダンジョンらしいのだ。ユースの話によると悪魔のダンジョンに攻略しに行って帰ってこなかったルーキーがたくさんいたからといった背景があるのだろうということだった。調子に乗って攻略しに行ってそのままということが立て続けに起こったのなら今のようになっても仕方ないだろう。そもそもダンジョンは常に死と隣り合わせの環境であるのによくそんなこと出来るなと思った。
そこから俺たちは悪魔のダンジョンについて調べたり動画投稿者の動画を見て予習したりした。
春休みが始まりいよいよ明日が悪魔のダンジョンに行く日となった。父さんと母さんは心配していたが、トールさんたちがついてるならとダンジョン攻略を許可してくれた。必要な荷物は全て持ったか何度も確認して準備を済ませた。いざという時のためにミトロシスグリーモも使えるようにとじいちゃんの所で少し練習をした。悪魔ということなので魔法を使ってくる可能性は十分にある。動画でも魔法を使ってきていたからディオレンテカプティオーニスが有効だと思い重点的に練習した。じいちゃんに実験台となってもらいある程度自由に使えることを確認した。じいちゃんに感謝を述べ明日のために早く眠りについた。
次回もお楽しみに




