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アルカディアリベル  作者: 描空


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102話 修学旅行三日目

 修学旅行三日目の朝今日はマングローブ林のダンジョンに行く初日だ。今日含め三日間ダンジョンに行くのだからあれ食べておけば良かったなとならないように食べたい物は全て食べるようにした。バイキングにある品目のうち三分の一ほどの数を食べた。一つ一つの量は少ないが、数を多く食べて大満足だった。


 部屋に戻り三日間の用意をした。忘れられた記憶の断片(アルカディアリベル)を持ち豪嶽砕を右腰に氷刃剣を左腰に万物潰崩と劣覆拳は忘れられた記憶の断片(アルカディアリベル)の中にあるので必要な時に取り出せばいい。ミトロシスグリーモも中にあるのだが、さすがにこんなところで使うのは過剰なため必要だと感じればビチスグラビタスぐらいは使おうと思った。エフージオはその特異性から途中で止める必要がありそうだから使わない。ディオレンテカプティオーニスはこの前の逆さのダンジョンで戦ったデュラハンのように魔法を使ってくる相手にしか使えないため使う機会は今回はないだろう。そんなことを考えながら荷物の準備をしていると勝と透が準備を終えたのでホテルのロビーに集合した。春奈とユースもいたが、まだ来ていない人もいたため少し待った。全員集まったようで鷲田先生が話し始めた。


「今からマングローブ林のダンジョンに向かいます。みなさん調べて知っているか知れませんが、マングローブ林のダンジョンは西表島にあるため飛行機とフェリーで向かいます。約二時間ほどかかりますのでその間にモンスターについても調べたければ調べていてください。もちろん調べずに戦いたいという方はそれでも構いません。一度出発したらもう三日間はここに戻ってきません。忘れ物がないか、アイテムを置いたりしていないか再び確認してください。もし忘れていれば取りに戻ってください。時間は余裕があるので心配しなくても大丈夫です」


 その場にいた全員が持ち物を確認すると、そのうちの何人かが部屋に戻った。それに続きもう何人かも部屋に戻った。


「マングローブ林のダンジョンって西表島にあるんだな。俺何にも調べてなかったから今知ったわ」


「て言うことはモンスターについても何も調べてないわね?」


 ユースの問いに俺は頷いた。四人は俺がモンスターについて無知なのはいつも通りと言わんばかりの反応をした。事実俺はモンスターについて調べようとも思わないし、危険視もほとんどしていない。攻略者狩りをしているヴェナトレスの方が危険視しているぐらいだ。モンスターより人間の方が厄介なのは競技会とかで戦ってきたから理解している。そんな事を考えていると最近ヴェナトレスの話を聞かないなと思いユースに聞いた。


「話変わるけどさ、最近ヴェナトレスの話全然聞かないけど何か知ってる?」


「急ね。まぁ最近はめっきり聞かないわね。健斗にアルトロポーファティ倒されたから警戒してるのかもね。競技会で有名になってこの前の一件もあったから攻略者委員会がそっちの対応に注力した結果、ヴェナトレスの話が出てこなかっただけかも知れないけど。まぁ以前として状況は変わってないから警戒は必要ね」


 ユースが話し終え少しすると忘れ物を取りに戻っていた生徒たちが帰ってきたため俺たちはバスに乗り込み空港から西表島に向かった。飛行機に乗るのは二度目だったが、飛行機の非日常感溢れる感覚は二回目でも新鮮でテンション上がった。石垣島に着きフェリーに乗り西表島に向かう途中海の綺麗さに驚いた。ビーチが綺麗なのはネットやテレビで見ていたが、沖の方もかなりの透明度で目を凝らせば泳いでいる魚も何となくは見えるぐらいだった。そんな感じで暇を潰していると西表島に着いた。このまま観光したいなと思ったが、今日からダンジョン攻略だと気持ちを切り替えた。


 港に降り立つと先生たちは俺たちに着いてくるように指示を出しマングローブ林のダンジョンに向かって歩き始めた。しばらく海岸線を歩いているとマングローブ林が見えてきた。幻想的な空間に心躍らせていると先生たちはマングローブ林に向かって進路を変えた。急な進路変更に戸惑ったが、この先にダンジョンがあるのだと俺たちは黙ってついて行った。しばらく歩くと少し小高い丘のような所に着いた。先生たちが俺たちがちゃんとついてきているか確認すると鷲田先生が言った。


「ここがマングローブ林のダンジョンです。今から攻略を始めますので気持ちを切り替えるように。攻略授業と同様休憩施設があるのでそこに荷物を置いたら自由に攻略してください。今回もスビティスシィを渡すので各グループ毎に休憩施設で担任から受け取ってください。それでは入りますのでついて来てください」


 いよいよマングローブ林のダンジョンの攻略が始まった。みんな気持ちを切り替えて真剣な面持ちになった。どんなモンスターが出てくるのか俺はワクワクが止まらなかった。マングローブ林のダンジョンの中に入ると、そこは足元は海水でマングローブが所狭しと密生していた。でも、人工的に道のような通り道作られており、過去の攻略者が切り拓いたんだろうなと思った。もしかしたら、未だに見つけられていない宝箱があるのではないかと期待で胸がいっぱいだった。休憩施設に着き荷物を置くと俺たちはいつメンで塩田先生の元に行きスビティスシィを貰った。


「それじゃあまずはどこから行く?」


 ユースが前に立ち聞いてきた。目の前にはいくつも道があり先がどうなっているかは分からない。完全に運任せで行くのも悪くはないが、少しは何らかの要素を基に決めたいなと思っていると透が言った。


「ここのマングローブたちの声聞いてみようか?」


「「「!?」」」


 透の突然の申し出と内容に俺たちは声が出ないほど驚いた。俺たちが透に説明を求めると説明してくれた。


「結構前に何か面白い事出来ないかなってやってたらなんか思念的なの感じ取れるようになったんだよ。そんなに長く使えないし感じ取れない時もあるし無駄な情報の方が多いからあんまりアテにはならないかも」


 俺たちは試しにやってみるようにお願いすると透は蒼紋の杖を地面に突き立て両手でしっかりと握った。しばらくすると透が地面から蒼紋の杖を抜き言った。


「なんか僕たち人間が来たことに対して怒ってるみたいな感じだった。多分今までいろんな攻略者に傷つけられたりしたからそう思ってるんだと思う。あんまりいい情報じゃなくてごめん」


「謝る事ないって。て言うかさ、それ使えばまだ見つかってない宝箱見つけられるんじゃない?」


「確かにそうかも!」


 俺の言葉に透は目をキラキラさせた。本当に見つけられたら透のアイテムも増えて出来ることの幅が増えそうだし是非見つけて欲しい。そんな事を思っているとユースが言った。


「それじゃあ多数決で行きたい方向決めよ」


 ユースの言葉に俺たちは行きたい方向を指し示した。何と全員が目の前にある五つの道の一番左を指し示したのだ。俺たちは何かの運命だと悟った。


「……すげーな」


「……な」


 俺と勝がそう言うと三人はコクコクと頷いた。少しいつもの感じを取り戻すまで時間がかかったが、とりあえずその道を進むかと歩き始めた。しばらく歩いていると普通のカニより二回りほど大きなカニの集団が現れた。感覚で言えばタラバガニほどの大きさだったが、異様に両方の爪が大きく足も太かった。食べたら美味しそうだなと思っているとユースが俺の表情を見て言った。


「あれ一応モンスターだからね」


「え!? ただのカニじゃん」


「あいつらはアドゥシンデカンクローニって言うカニのモンスターで、あのハサミに挟まれたら骨にヒビが入るって言われてるぐらい強力なの。ああやって目の前に出て来てくれる分には全然脅威じゃないんだけど、立ち止まってる時とか休憩してる時に背後から脚をって事もあるから十分注意しなくちゃいけないの」


「あれって美味い?」


 俺の言葉に四人は大きなため息をついた。俺は重要な情報だと思い聞いたため答えを求めるとユースは渋々言った。


「美味しいらしいわよ。私も食べたことはないから分からないけど」


「なら食べるしかないな!」


 俺は火魔法でそいつらを一瞬にして殺した。と言うより地面に張ってある海水を利用して茹でたのだ。火魔法の高火力で茹で上がったアドゥシンデカンクローニからはいい匂いがしてきた。さすがにここで食べるのは如何なものかと思い休憩施設に持って帰った。先生たちを労う意味も込めて一人ずつ渡した。先生たちはとても喜んでくれこっちまで嬉しくなった。と言うわけで休憩施設に戻ってきた俺たちはアドゥシンデカンクローニを食べた。その味は今まで食べたカニと遜色ないほど美味しく感動した。モンスターとは言え近縁種なのでそんなに変わらないのは当然と言えば当然だが、モンスターが食べられると分かったことにも驚いた。満足行くまでアドゥシンデカンクローニもといカニを食べた俺たちはしばらく休憩施設で休むことにした。

次回もお楽しみに


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