第6話 幻のプレイヤー
「ゲームスタート!」の声と同時に全員の視線が中心に集まる。はじめに動いたのはガラン。右足の土踏まずに体重を乗せ一気に跳躍する。
「闇よ、土の力で地に刃を、テールラム!」
それに反応したユキナが俺よりもはるかに強力なテールラムを使う。しかし……
「オリジナル!空間魔神よ、我に力を!フォルスポワン!」
覇気を纏った拳が刀のように空を切る。その瞬間、テールラムで刃を持った地面は跡形もなく粉砕された。それにより体制を崩したユキナにはクラフが、勢い止まらず地面を転がるガランには俺がそれぞれの刀の刃を向ける。
「ガラン、君の分も頑張るよ。」
事前に火の力を込めておいた刀でガランを切り裂く。できた傷が紅く輝き、そして崩れて行く。これで残りは3人になった。賞金入手は確定したが油断はできない。素早く振り向いて構え直す。ユキナは遠くに倒れクラフはこちらを見ている。ユキナはまだやられていないようだがもうすでに瀕死である。すると、クラフは剣先を俺に見せ躊躇なくして飛び込んでくる。追い風を味方につけ、抵抗のかかりにくい体制で飛んできた彼を交わし魔法を撃ち放つ。
「闇よ、火の力で切り裂け、フラムクーペ!」
魔法は彼にしっかり当たった。しかし、彼は何もないかのように起き上がる。その目は血のように紅く染まっていた。
「ははっ、はっはっはっはー!」
クラフは狂ったように笑い叫ぶ。
「いいねいいね〜。もっと来いよ!俺を殺してみろ!出来ないか?できるよな〜。俺を斬りつけたその魔法のように俺を真っ赤に染めてみろくそガキ。ふふっ。来ないならこっちから行くよ〜。」
様子がおかしい。さっきまでの彼とは別人だ。くそっ!なんの警戒もせず突っ込んで来やがった。
「オリジナル!紅く美しい精霊よ、最高の空間を!ルージュスフェール!」
紅く丸い球体が3人を包む。
「もう逃げられないよ〜。」
やっぱりおかしすぎる。何故こんなに狂っているんだ?って、そんなんきにしてる場合じゃない。やばい鈍化の効果がかかっている上にあいつは俊敏性が増している。これじゃ反撃どころか抵抗もできない。あいつをどうにか抑えてさらに魔法さえ当てられれば。
「カイトさん。」
ユキナが小声で話しかける。
「あなたの考えていることが私と同じならば、私の束縛魔法で抑えるんでとどめを刺してください。」
「了解です。強めによろしく。」
良かった。これが意思疎通というものか。この子の魔法は威力が高い。しばらく動けないようにしてもらわなくては。ユキナがこちらを見て頷いた。
「闇よ、魔の力で捉えよ、リアンアノ!」
ガッチリと掴む。クラフは暴れ馬のように足掻いているが全く動じない。
「カイトさん、早く!」
そうだ。彼女の魔力が尽きる前に。
「聖よ、光の力で裁を、エスポワールフレッシュ!」
鎖の隙間から光の矢が突き刺さる。
「うわぁぁぁぁぁ!やめろ!俺の体が腐って行く、だからやめてくれぇぇぇぇぇ!腐る腐る腐る腐る腐るぅ!」
クラフはカビのように緑色に光りそのまま消えて行く。よしこれで残りは2人……じゃない⁉︎まだ残りは3人になっているだと⁉︎そんな馬鹿な!じゃぁあいつは一体……
「ピーッ!タイムオーバーによりゲーム終了です。残ったプレイヤーを本部へ転送します。」
〜コロシアム会場本部〜
「それでは、成績発表をいたします。呼ばれたプレイヤーは前の方へお上りください。それでは発表します。第3位は、フェルスさん。0キルです。」
0キル⁉︎フェルスなんて人知らないぞ!終了30分前、確かに俺の目の前には3人のプレイヤー、ユキナ・ガラン・クラフがいたはずだ。ということはクラフの正体がフェルス?いや違う。あんなアバターじゃない。なら、あいつは一体誰なんだ?
「第2位・1位は同立です。ユキナさんとカイトさん、23キルです。」
おっ!同立優勝か。その場合賞金はそれぞれ金貨1枚かな?まぁいいか。
「賞金授与です。3位のフェルスさんには銀貨250枚。どうぞ。そして同立1位のユキナさん・カイトさんには銀貨750枚です。」
なるほど。1位と2位の賞金を半分こって訳ね。
「お疲れ様でした。カイトさん。」
振り向くとユキナさんがいた。それにしても、可愛すぎて顔の力が抜けてしまう。
「カイトさん?どうかしました?顔が真っ赤っかですよ?」
やばいやばい。照れてるのバレちゃう。頑張れ俺。
「いや、なんでもないよ。」
そうだ俺。よくできた。
「ところでユキナさんは1人なの?」
って、え?俺今とんでもないこと言ったような。ってやばくね?変な奴だと思われてるかな?
「えっ?あっ、あの、は、はい。そうですけど。」
終わった。完全に終わった。もう絶対引かれてる。
「もしかして、カイトさんもソロプレイヤーだったりします?」
えっ?今なんて?いやそうだけど。でも、引かれたんじゃないの?でも今、俺にソロプレイヤーかどうか聞いて来たよね?えっ?
「もしかして違いました?すいません。」
「いや、ソロだけど。」
なんかすごく嬉しそう。良かった。引かれては無いみたいだね。安心安心っと。
「良かった〜。なら、私とペア組んでくれませんか?」




