余命
自分と同じところで記憶喪失?つまり…この人も橋から落ちたのか?
「我々もどうして彼女が新道さんと同じところで記憶喪失になったのかはわからない。だらか色々調べてはいるが君達に接点は見られないと思う。だけどなにか見つかる希望にかけて彼女と話したりしてほしい。そしたらなにか記憶が戻るかも知れないし。」
そう森さんに言われた。自分と彼女の接点がないのに同じところで記憶喪失したのは何故だろう?
「まぁ、始めてだし新道さんはリハビリがあるから今日は顔合わせだけにしときましょう。平河さんもきてくれてありがとね。」
そう、森さんが言うとはい、と小さく言った。その後看護師が彼女と病院を出た。
「いやー、なにか思い出すと思ってたんですけどね、」
と、森さんが言った。思い出しそうな面影はどちらとも見えなかったけどな。
「何も接点がないのになんで同じ場所で記憶喪失になったんですかね?」
ふと、本当の疑問を森さんに言った。
「…私は…新道さんを見たことはありません。」
急に何を言ったのかと思えば…当たり前の事を言った。
「いや…自分も初対面ですけど…」
「はい…そうなんです。平河さんは記憶喪失でここに来る前もこの病院の患者だったんですよ。」
「え?」
患者だった?つまりこの病院から橋に来たのか?
「彼女はわけあって親がお見舞いとかに来ないので…だれかが彼女のお見舞いに来るがなかったんですよ。」
つまり森さんが知ってる限り彼女に会った人はいないと…。けど…彼女の親がお見舞いに来ないのと彼女がなんでこの病院にいるのかが気になった、だから森さんに聞いたら…
「…平河さんは…癌なんです。」
その言葉で森さんが彼女を病室に帰した理由と、あえて伏せていた理由がわかった。
「平河さんは一年前に頭頸部癌だと判明してから顔の半分が動かなくなって不自由な生活になってしまいまして…それで嫌気が指したのか取り乱してしまう日々が続いて…それと同様保護者のかたも結構なダメージがあり…最近はお見舞いなどに来る日とがいなくなってしまい…頭頸部癌はステージⅡの時点では治療をしたら直せたのですが…平河さんの治療放棄?といった感じで治療がまともにできず…やっと治療が始めれたんですが…結構深刻化していまして…」
「あ…はい…」
彼女は顔の半分が動かない…さっきは下を向いていてわからなかったが…そうなのか…と、納得してしまった。何故か森さんに失礼なことを聞いてしまったのではないかと罪悪感が残った。だが…その罪悪感が消えるくらいの衝撃的な事を森さんは言った。
「そして…残りの余命が約一年くらいで…」
「え…」
「だから彼女がここに来た時は話しかけてあげてほしい。」
「あ…はい」
その時も状況が上手くつかめずはいと答えるしかなかった。




