記憶喪失
あれからリハビリを続けた日々が続いた。もちろん歩けるようになりたいから練習は頑張ったが心が折れる時もあった。けど、力を腕に入れる日々を続けていって腕に少し力がついたから床から足が少し上がったりしてどんどん成長していった。それで今ではポールに全体重をかけるが歩けるようになった。
そして口を動かすリハビリ。それは結構キツくて、口を大きく開けるには顔の筋肉がピリピリして痛くて、声を出そうにも全部枯れ干せた声で、足のリハビリよりも口の方がキツかった。そして口のリハビリを始めて一週間が経った。その結果自分は長文は難しいが短文は話せるようになった。すると森さんが病室に来た。
「新道さん、話せるようになったのおめでとう。」
「ありがとうございます。」
「そこでね、急に悪いんだけど検査の方に移りたくて…」
検査?一体何の事だろう?
「新道さんは頭をぶつけてここに運ばれてきたから脳内の検査をしたくて。」
「はい…」
そっか…何だが最近リハビリで忘れてたけど自分は橋から落ちてここに来たんだった。けど改めて思うが何でだろう。少し話してみるのも良いかもな。
「あの、森さん…ずっと思ってたんですけど、自分…橋から落ちたり理由がわからないんですよ。」
「え?」
森さんはあの看護師と顔を見合わせてこう言った。
「でしたら新道さんの職業は?」
と、焦った口調みたいいにいってきた。
「わかりません。」
すると、森さんは手に持っていたカルテを見て恐る恐る言ってきた。
「新道さん!今から検査を始めましょう!」
森さんは真剣な顔にかわって自分を検査室へ連れてった。
検査室へ入ると台に寝そべってドーム上の中にはいってから検査が始まった。音や、その音で感じる変な感覚。途中から気持ち悪かった。そのドームの中に居たのは五分弱程度で出れた、気持ち悪かったが吐きそう程ではなかったからなんとかなった。
それから気持ち悪い感覚がなくなる前に急いで病室に戻って森さんが一つの紙を持って自分に質問してきた。
「新道さん、今から基礎的な基礎の質問をするので正直に答えてください。」
「はい」
何を聞かれるのか怖かったけど質問の内容を聞いて少しほっとした。
「7×9は?」
「63」
「魚はなに類?」
「魚類」
なんだか当たり前の質問続きで間違えないかとおろおろしてたけど間違える前に答えれない問題が出てきた。
「あなたの家族は生きてる?」
は?自分の家族が生きてるか…自分には…
「…」
森さんはため息をついて固い口調で口を開いた。
「多分ですが新道さん…、先程おっしゃった話で
は橋から落ちた理由を覚えてないとおっしゃってましたよね。」
「はい」
「そして、家族の事がわからない…まだ精密検査をしないとわかりませんがもしかしたら記憶喪失かもしれません。」
「え?」
記憶喪失…色々な疑問や考えが生まれたがそれを解く暇もなくただ固まる事しか出来なかった。




