散歩
森さんにあの男の子は散歩の時間をずらしたりするから。って森さんに凄く説得された。けど今さら散歩をするのはおかしいなって思ったから森さんが来たらネタ振りを続けた…けど一週間経っても森さんは来る。そろそろこの鬱陶しいのが嫌になったからそろそろ理由を聞くことにした…
「平河さん、おはようございます。気分はどうですか?」
すぐには答えられないのに最近はこうやって聞いてくる。これは動揺とかいつもとは違うことを聞こうとしているバレてしまう癖、要するに悪い癖だな。
そう思いつつ紙に「いつも通りです」と書いた。
「今日も今日とてごめんだけど散歩の話しはどうかな?」
またこの話し…何となく予想は出来ていたけど懲りないなぁ…けど、今日こそここに散歩の件で来てもらうのはやめてもらう。だから紙に「どうしてそんなに散歩にこだわるんですか?」と書いた。
すると森さんは目をしかめた。
「そうなってしまうよね。実は前にあった新道さんの事なんだけどね…最近リハビリをして歩けるようになったんだよね。それで外を歩くリハビリをしてね歩けるようにするんだけど話し相手がほしくてね…そこで平河さんがいいかなってなって…」
そんな理由だったのか…あの新道って人は私と同じところで記憶喪失になった男…多分私たちがどうして同じところで記憶喪失になった原因が知りたいのだろう。…私とあの人は絶対になにも関係がないのに…私は心のどこかでそう断言できた。そして紙には「遠慮しておきます。私とあの人は関係ないと思いますし。」そしてもう一つ。「私と話せないので。」
「そうか…平河さんは関係がないと思ってるんだね…」
私は静かにうなずいた。
「私はね…君たち二人に何かの関係があるのではないかな?と、思っているんだ…仕事とか…元々交際してたとか…何かの共通点がないとあの橋で同時に記憶がなくならないと思うんだよね…」
共通点…少し気になってしまった。仕事や交際相手…聞こうと思ってペンが動いたがその可能性は低いと思った。私は記憶喪失になる前もこの病院に居て交際相手がいたなんて話しは聞いてない。…なんでそんなワードが気になったのだろう。
「気になるんでしょ…共通点…話して見つけたら良いんだよ。」
森さんはニコニコしながら言った。共通点を見つける。けど見つからなかったら?関係はないと思うんでしょ?色々心が揺らぐけど全然結論付かない…話したいとは思わないけど共通点とかは気になるし…けど…話したくない…。初対面で緊張するから?またこんな態度取っちゃうから?ポジティブな思考な自分とネガティブ思考の自分が交互に話しかけてきて頭が混乱してきた…私はどうしたら良いの?私が答えるのが吉とでるか凶とでるか…それですら予想ができない…やっぱ私ってダメな奴だな…こんなんだから癌なんかになったのだろう…最悪だな…こんな最悪な人生早く終われば良いのに…なんて思って沈黙の空気が続く中森さんは私のほうを見つめている。




