14 王と対面
かなりの時間待合い室に待たされていたチェリツリー公爵のダレルの元に上官モードンと宰相のレンダルがやって来た。既に日は落ちている。
「王が直々ご対面を要望です」
「わかりました!」
そう言うと宰相レンダルの後を何も疑問に思わないのか笑顔でダレルはノコノコと着いて来た。
王の間に着きレンダルが扉を開けて挨拶をしてから王と王妃の横に立った。慌ててチェリツリー公爵も王と王妃に挨拶した。王と王妃の隣には10歳の王弟のミックレリーも立っていた。
「顔を上げよ。チェリツリー公爵よ、随分と前例の無い事を仕出かしてくれたな」
「え?どの様な事でしょう?」
「はぁ~、この書類の事だが?」
「あぁ、はい!私の血を引いた唯一正しい娘が産まれました!!」
馬鹿である。皆顔を顰めて溜め息を吐いた。仕方ないので宰相レンダルが幼児に話する様に分かりやすく説明仕出した。
「あのですね、一応世界では一夫多妻も出来ます。一妻多夫も。近親婚も。兄妹婚や姉弟婚も。先人にも現代人にも女性が少ない世界なので一夫多妻をした人物は貴方以外いないのですよ。この国の王族、他国の王族ですらいないのですよ。この意味分かりますよね?」
「そんな…大袈裟な…愛人や側室を持つ者もいるでしょう。私だけ等…」
「いないのですよ。貴方以外。いれば直ぐ噂になりますからね。皆女性が少ない事が分かっているので妻を大事にして蔑ろにはしないのです。貴方と違って。女性優遇の世界なのですよ?」
「一夫多妻が出来るならそれで良いではないですか!!女性優遇なら娘が産まれたのだから優遇されても良いのでは!?」
「ここまで話が通じないのか…」
皆冷たい目でダレルを見ていた。勿論護衛にあたってる騎士もだ。10歳のミックレリーもだ。
話してると王の間にノック音がして侍従と共に前チェリツリー公爵夫婦がやって来た。夫婦は揃って入って来て王達に挨拶をした。
「顔を上げよ。前チェリツリー公爵よ。そなたの息子は仕出かした罪を全く分かっておらんぞ。話し合いにならん。話が通じないのでな」
ダレルは何故父と母が?と疑問に思っていた。
「手紙に書かれていた事全て承知します。私達の不手際です!」
「そうか、そうか、やっと話し合いが出来るな」
「どういう事ですか!!父上母上!!」
「王がいるのに黙れ!!全てはそなたの不手際だ!ドリアなんかとこそこそ隠れて!エノーラという出来た妻がいるのに!!お前が茶会で一目惚れしたというから結婚の打診をしたのに!!」
「そうよね。エノーラは人気者だったわ!この世界でも10の指に入る位美しい令嬢だったわ!妻になってもその美しさは消えてないわね!」
王妃はダレルと結婚をしたのを残念に思いながら言葉を発した。
「急ぎ故失礼します!!公爵家に帰ろうとしていたエノーラ夫人が乗った馬車が何者かに襲われ崖から馬車が落ち魔獣の住む森へと落下したとの事!御者は慌て王都に逃げ帰り無事だったと…騎士団に捜索をお願いしましたが崖の高さから助かりはしないだろうとの事です!!」
「手紙は行違いになったか…。それで、エノーラ殿の他に犠牲者はいなかったのか?」
前チェリツリー公爵がセレフィオーネの事を説明した。
「神様を冒涜するなど…」
「神様なんていないのです!!ただ偶然が重なった孤児にすぎません!!」
そうダレルは高々と声を張り上げた。
「チェリツリー公爵はエノーラが死んでも悲しまないのですね…。エノーラが死ぬ事を知ってらしたのかしら?チェリツリー公爵が仰る孤児とは言え子供と侍女とエノーラの生命が3つも亡くなったというのに。貴方が主犯なのかしら?いえ、ドリアの方ね!悪い噂しかないもの!学生の頃から憎しみの顔をしていたわ!証拠がないから罰せられないのが悔しいわ!!」
「違うのです!ドリアに薬盛られてそういう関係になったのです!何度も薬を盛られて…。でもドリアが妊娠しつて私の血を引いた娘が産まれた。だから!!仕方なく!!私の愛する人間はエノーラだけです!!」
「なんの説得力の無い言葉だな。それなら何故側付きを辞めさせなかた!?取り敢えずチェリツリー現公爵は話にならないから説明だけするとしようか。先ず明日エノーラ殿の捜索をして駄目なら葬儀なるだろう。それから後見人をミックレリーとしてチェリツリー公爵は長男のエディーノに継がせる。侍従も侍女も料理人も執事も御者も全て入れ替えをする。現チェリツリー公爵はフラーゴラ領のフラーゴラ男爵とする。勿論奥方としてドリアとその子供もだ。今屋敷にいる人物達はフラーゴラ男爵家に移動させる。それからエディーノの勉学に必要な者を此方で用意する事とする!前チェリツリー公爵夫婦も前フラーゴラ男爵とする。一緒にフラーゴラ領に移動する様に。それと明日騎士団が捜索するので終わる迄帰宅はせず王城に残る事とする!」
「かしこまりました!」
父親に礼をする様に言われダレルは渋々王に礼をしたのだった。
王の決定がダレルにとって納得出来なかったからである。そして父親に引っ張っられる形でこの場を後にした。
「エノーラが事故にあい亡くなったかも知れないというのにあの男は全く無関心だったな…。主犯か共犯か…ただの我儘な馬鹿な男なのか区別がつかんな」
「どんなに馬鹿な男でも思いがけないことが起きたらなんらかのアクションをするはずです!」
「そこは騎士団と共にきちんと精査しろ、レンダル」
「はい。かしこまりました!」
「それからミックレリーよ、後見人となったら厳しく見ていく様に。あの男の血を引いているのでな。同じ様な事にならないとは言い切れないからな」
「はい!分かりました!」
「はぁ~我が国でこんな事が起こるとは…しかも神様の啓示からの子供を亡くしてしまったのなら大変な事になるのでは…?神は許してくれるだろうか?」
「そうですね、教会に行き全てを神に話ましょう!」
「はぁ~それしかないか…胃がキリキリと痛むな…」




