13 身から出た錆
その頃チェリツリー公爵のダレルは手続きの書類を持ち呑気に王城に登城していた。
この世界の仕組みで婚姻は王様の許しが必要なのだ。
手続きの場に来て若い文官にその書類を渡した。若い文官はそれを読みだんだんと青ざめていき上官にあたる人物に書類を渡した。
上官にあたる人物も書類を見て慌てて書類を持ったまま走り去っていった。
若い文官は取り敢えずチェリツリー公爵を待合い室に案内した。
「どうしたのかな?書類に不手際があったかな?」
若い文官は死んだ様な目をしながら書類以前の問題なんだが!?前例ない問題だぞ!!と思いながらもにこやかに笑った。
「私は若輩者でして、今上官が書類手続きをしてますのですいませんが暫くお待ち下さい」
「分かった」
そして文官は遠い目をして宰相や王様にも話がいくのであろうとそしてまたたく間に噂になるであろうとそしてそれはけして良い噂じゃなく悪い噂で嫌悪感の対象になるであろうと国内だけに留まらないなと思いながら仕事に戻っていった。
走り去った上官は急ぎ宰相と王にこの書類を見せるべく更に走った。宰相の執務室に着きゼーハーいいながらノックをした。
宰相のレンダルはモードンの姿に驚き慌てて渡された書類に目を通し更に驚いた。
「これは…王に直ちに見せねばなりませんね」
そうレンダルは言いモードンを引き連れて王の執務室に着いた。王の執務室には王妃のエイベラもいた。宰相のレンダルは急ぎその書類を王に渡し王はその書類に目を通した。
「これは間違いなくチェリツリー公爵が持って来たのか?」
「はい。今は待合い室にて待機中です」
王から書類を渡され王妃は書類を読むにつれ顔が怖い事になり嫌悪感いっぱいの顔になった。
「フフフ。顔だけの馬鹿だ馬鹿だとは思っていましたがここまで馬鹿だとは!エノーラにも何度となく結婚を辞めた方が良いと進言してましたのに…。家が決めた事だからと義務感ではありましたがエノーラは頑張っていましたのに!馬鹿にしすぎですわ!!」
「さて、どうするか。世界各国でもいない初めての前例が我が国から出てしまった。エノーラではない女性からチェリツリー公爵の血を引く女の子が誕生してしまったからにはこれを認めるしかないのだろうな…」
「えぇ、社交界や茶会等ではチェリツリー公爵は今後爪弾きされる事でしょうがね」
「エノーラは知ってるのかしら?」
「書類の確認がてら2、3質問をした時エノーラ様は今王都に買い物に来ていて昨夜は疲れて王都に泊まったみたいなのでご存知ないでしょうがチェリツリー公爵は自信満々にエノーラなら自分の血を引いた娘を可愛いがってくれると…第二夫人のドリアとも上手くやれると仰ってました」
「そう。随分頭の中がお花畑のようね。ドリアと言えば昔からチェリツリー公爵の側付き侍女だったわね。何時から関係を持っていたのかしら?」
「確か没落した男爵でしたよね…だから前チェリツリー公爵はエノーラ殿に結婚を打診した。チェリツリー公爵の外聞を気にしての事だったねかも知れませんね…」
皆が皆険しい顔して考えていた。
「本当にチェリツリー公爵の子供なのかしら?チェリツリー公爵が認めているからそういう関係だったのは明らかでしょうけど、昔からドリアは悪い噂が絶えないわよ」
「我が国からの醜聞か…しかも公爵だからな…どうしたものか…」
「ドーラとダレルの結婚を認めチェリツリー公爵はご子息のエディーノ様に継がせ、まだ小さいですから王が定めた侍従や先生等を付け後見人を定めて、ダレルとドリアは空いている土地の男爵位を継がせては?」
「ふむ。レンダルの考えを採用しよう。後見人は我が弟のミックレリーに任せよう。10歳ながら神童と言われているからな。侍従はエタンに勉強はエヴァレットに剣はガーションに魔法はニーロンに任せるとする。ついでに侍女や執事も料理人も王都から行かせ今チェリツリー公爵家にいる者達は全てフラーゴラ男爵に行かせよう。ダレルは今から男爵位フラーゴラだ。妻のドリアもだ。それからエノーラとは離縁の方向でな」
「そうですね。フラーゴラ領には屋敷はありますから3日以内には移動出来るでしょう。ついでに前チェリツリー公爵も一緒に行かせましょう。下手にチェリツリー家に手を出されては困りますから。前チェリツリー公爵も只今から前フラーゴラ男爵になります」
「では手続きを頼んだぞ!!エノーラにも手紙を用意して説明しろ!まだ屋敷には戻るなとな。私はチェリツリー公爵と面会しこの事を言おう!だだを捏ねられては困るからな」
「かしこまりました!」




