11 忍び寄る魔の手
その頃エノーラは王都の宿を満喫していた。
「嬉しいわー!こんな楽しいの学生以来よ!」
「明日辺りから大変になるでしょう」
「えぇ、分かっているわ」
「それにしてもダレルとドリアは何時から付き合っていたのか…?エノーラの様な魂が綺麗な人物ではありません」
「私が茶会出会ったのが12歳頃かしら?その時には既に側付き侍女だったわ。ダレルは顔だけ良かったから女性からは人気があったわ。後公爵ですし…剣も出来ない、魔法も弱いで私も色々禁止されたのよ」
「エノーラ様の父君と母君は結婚に賛成だったのですか?」
「いえ。私の事を考えて反対してくれたのだけど兄が勝手におし進めてしまったのよ。その頃兄は父と母と交換する形で公爵になっていたから。だから兄の事は憎いわ!兄さえ進めなければダレルとドリアは結婚したかも知れないし私が殺される様な事はなかった筈よ!でもそうね。没落貴族のドリアとの結婚を前チェリツリー公爵は許せなかったから私だったのかも知れないわね」
「人間の世界は面倒ですね。ドリアはずっとダレルと共に居たのに何故今なのか…。疑問はつきませんね」
神々は1人の人間に関わりを持つ事は先ずないのだ。世界を安定させ輪廻を回す事が使命なのだ。今回はセレフィオーネという特例が居たので関わる事になったにすぎない。世界の1人1人に神々が関われば世界は回らなくなるだろう。魂の良し悪しは見ても生命の人生に関わる事はないのだ。だから神とはいえど全て分かってるということはないのだ。
その頃夜になりドリアは赤ん坊をエイダに預け寝ている事にしろとエイダに言いこっそり外に抜け出しとある場所へと向かった。チェリツリー公爵家領内近くの酒場だ。個室にいる茶髪に茶目の優男風の美丈夫にドリアは声をかけた。
「やぁ、ドリア。準備は上々かな?」
「えぇ、おかげ様で。これはお礼とお願いがあっての物よ」
男は大きめな布袋の中身を確認しニヤリと笑った。
「それでお願いって何かな?」
「明日王都から帰って来る公爵夫人が乗ってる馬車を襲撃して欲しいの。崖になって下が魔獣の住処になってる所へ馬車ごと落としてくれるだけでいいの。貴方ならお手の物でしょ?お金が足りないないなら公爵夫人になった時にまた渡すわ」
ドリアはこの男を気に入っていた。なんていったってとてつもなく美丈夫だからだ。愛しのダレルよりも美丈夫だった。悪い組織に入ってるだろう事は分かっていたが何の組織なのかはドリアには分からなかったが頼めば何でもしてくれるのでドリアはどうでも良かったのだ。
「ふーん。いいよ。分かった。」
「じゃあお願いね!お金は後からまた渡すから」
「じゃあ成功した日から一ヶ月後またここで」
「分かったわ!」
それから男はニヤリと笑い酒場を後にし、続いてドリアも公爵家へと向かった。ようやく、ようやく、あの憎き女を亡き者に出来るとドリアは高揚感でいっぱいであった。その姿は醜悪そのものだった。




