8話 散策と奉火の儀
あの後まだ早いからとお昼を済ませて日が落ち始めてから集合しようということになった。
まだ昼前なのに街は人が多く、屋台からは香辛料の香りが漂っていて鼻孔をくすぶる。
「いいものないかな?」
祭りだからと物珍しいものを探してみる。
「なんだろこれ」
見つけたのは小麦粉を焼いたものの上になんかのソース、チーズ、ハムが乗っている。
「お嬢さんこれ気になるの?」
屋台の謎の料理を眺めてるとその店番をしてる方に声をかけられた。
「この料理はなんですか、見覚えがないのですが」
「ああこの町の名物ゼパだよ」
ゼパというという料理が気になったので、今日の昼ご飯にすることにした。
「これいくらですか?」
「銅貨4枚ですね。」
普段買っている朝食より若干高いがお祭なのでいいだろう。
「一つください」
そのまま一つもらってついでに果実水も買ってきた。
ゼパはさすがに大きかったので半分に折ってから食べる。
まるでサンドウィッチのようなものだが食べてみると違いに気付いた。
弾力のある生地に挟まれたローストされたハムとチーズの塩味にトマトのソースの酸味が効いていておいしい。
後、生地は小麦粉を練り上げてから薄く伸ばした物なのでふくらまして作られたパンよりも胃にたまる。
「この生地とソースが特に美味しいのか。」
うっすら甘味のある生地とトマトソースの酸味を堪能して今日の昼ごはんは終わった。
その後は時折果実水を飲みながら露店を見て回る。
黒い石を削りだしてできたお守りとか、鉄器性のナイフ、フォーク、スプーン、銀でできたチェーンに何やら怪しそうな魔除けまでいろんなものが売っている。
その中でなんとなく魔力が引っかかる石があった。
「ん?」
そちらの方を向くと黄色の丸い小さな石が売られていた。
他にもその店にはきれいなガラスや石細工も売られていたがそのきれいな丸いガラスだけが私の感覚に引っかかった。
「この石は何ですか?」
「ああ、これは火山で石掘ってた時に出てきたガラスだ。きれいだが小さすぎて売る当てがなかった。」
「じゃあ買ってもいいですか?」
「いいが、値が張るぞ」
「どれぐらいですか?」
「まあ、銀貨2枚だな...いや銀貨1枚あと銅貨3枚でいい。」
なんで値下がったのかは謎だが買えなくもない。
「じゃあ買います。」
そういってブラインドストレージからちょうど分のお金を出すと
「嬢ちゃんほんとに買うのかい?」
そう確認された。
「友達へ送るのにちょうどいいかなって。」
「そうか」
そういって石を買ってみた。
「レイラにあげよっかな?」
買った石を飾りで使われてる明かりの魔道具に透かす薄い黄緑色を出している
そういえば、このガラスが魔力を持ってることも聞いてみようかな?
そのあとは適当に見て回っていたら約束した時間になっていた。
集合の鐘がなるころ、鍛冶屋の前に来たらすでにレイラが待ち構えていた。
もしかして少し遅れたのだろうか?
「ごめん少し遅れた?」
「ああ、いやなんかすることなかったから早くいただけだよ」
特段遅れたわけじゃなくて安心した。
「そういえばお祭りの何を見に行くの?」
「とりあえず練パンを買ってから奉火の儀を見に行くかな。」
練パンというのは小麦の生地を練った膨らませないパンのことらしい。
「じゃあ行こっか。」
こういう時は知ってる人に任せた方が早いだろう。
「分かった。」
そういってレイラについて行った。
歩く途中
「そういえばなんだけど、ルナってどこから来たの?」
「私は、セオナの街?だったかなそんなところから歩いてきたんだよね。」
「へ~ 私は生まれてからあんまり外に行ったことがないから気になってるんだけどなんか知ってる?」
「えっと、他の町でやったこと、お店の手伝いとか壁の修理の手伝いとか魔物を倒すとか」
「冒険者と言いつつ、いろんなことやってるんだね。 あ、練パンのお店あったよ。」
話しながら歩いてると目当てのお店が見つかったらしい。
レイラが近づいて行って「練パン3つください。」
と言って。買っていた。
「これルナの分ね。」
そういって1個手渡された。
「いいの?」
「いいよ。おいしいから食べてみなよ。」
そういって自身の分にかじりついていた。
もらった練パンにかじりつくとさっきお昼に食べたセパの生地と同じ味がする。
比較的弾力があり嚙むと甘みが出てくる。
「ほんのり甘くておいしいでしょこれ。」
私が半分ぐらい食べる間にレイラは1個目を食べ終え2個目もすでに3分の1程なくなっている。
「よーし腹ごしらえも済んだし奉火の儀を見に行こうか。」
そうしてレイラと私はお祭りの中心地へと行った。
街の広場に薪が組まれ、昼間は走り回っていた子供も静かにその周りに円をなしてかこっている。
「そろそろ始まるよ」
とレイラが言った後すぐに見るからに重そうなよく整えられた服を着たものが現れた。
その手には一本の太い金属棒が握られており、数人の騎士を侍らしている
「今年も月が満ち、魔力が空気を満たしている。 ここに9代目領主 アンティオト・フェル・メルフィアが奉火の儀を執り行う。」
その貴族は重く響く声でそういった後手に持つ金属のトーチに魔法で火を灯す。
「光神ルーウェクサルに日々の生活の安寧への感謝を示しこの供物と火を以ってそれを示す。」
その火を薪に移し、後ろから小麦やその他の作物を乗せた台を置きそのあと貴族が立ち去り、その儀式は終了した。
儀式が終わった後、熱気とともに乾杯を行い街は大騒ぎになっていた。
少し落ち着いている場所を見つけレイラに話しかける。
「さっきの領主の方すごく威厳?というか格の違いというかそういうのを感じたね。」
「あの領主様実はね、ああいう儀式の時はパリッとしてるけど案外優しくて子供を屋敷の庭で遊ばせたりしてるんだよ。」
「そうなの?」
儀式しか見たことのない私にとってはいささか信じがたい話であった。
「他にもたまにお忍びで酒場に来てるっている噂まであるしね。」
「思ったより親しみやすい方なんですね。」
「いい領主様だよあの人は、偉ぶらないしやさしい。そういう領主がずっと続いてるんだよねこの町は。」
「逆によくない領主がいるんですか?」
「いるらしいよ、噂で聞いただけだからよくわからないけどね。」
そんな話をしているとレイラだんだん眠そうな目になっていった。
「レイラ眠そうだけど大丈夫?」
「大丈夫…まだ起きてられる、いややっぱ結構眠い。」
早起きしたのが間違えだったか。とつぶやいて欠伸を一つしていた。
私も早起きだった分少し眠いしその日は解散になった。
読んでいただきありがとうございます。
次の更新日は未定です。
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ストックが一向にたまらないし行き詰るって感じがしてる。
頑張りたいですね。




