7話 短剣と望月祭
「おはようございます」
そういって扉を開けて店内に入る。するとこちらをレイラともう一人の身長の高い人がこちらを向いていた。
二、三回瞬きしてからこちらを向いて
「あ、ルナだ...えーっと昨日お金渡しそびれてごめんね。」
「大丈夫だよ、そんなお金切迫してるわけじゃないし。」
その会話してるとレイラといた男の人が
「昨日レイラが言ってた奴はこいつか」
「親方、そうですけど先お金勘定手伝ってください。」
「親方?」
「ああ、一応この工房の持ち主だなここら辺にある装備は俺が作ったもんが大半だ。」
「そうなのよ、こんな感じだけど腕は確かなんだよ。」
「レイラが仲いいやつにタンネル取ってきてもらったっつってたからそれについてちょうど話し手たとこだ。」
「はい、私もここの工房の人に見てもらいたい武器があったのでちょうどよかったです。」
そういって、袖の中の影から短剣を取り出す。
「これなんですが、」
そういって鞘から短剣を出し親方と言われる人に渡す。
まじまじとその刃を眺めた後こちらに質問を投げてくる。
「どこで手に入れたんだこの剣」
「拾ったものなのでわからないです。」
横からのぞき込んできてるレイラが
「親方、これそんなすごいものなんですか、宝飾の儀礼用の件とかじゃなくて。」
「ああ、これはやばい。」
まったくわからなくて私が首をかしげていると、
「この剣の刃がアダマンタイトでできてるってことだ。」
「アダマンタイトとは?」と考えているとレイラが
「え、いやいやまさか。」
「いやほんとだ、なぜこんな正確に加工されてるかはわからないが。」
「そもそもアダマンタイトはなんなのですか?」
「ああ、ルナ嬢ちゃんは知らないか、えーとな端的に言えば恐ろしいほど硬くて普通はほとんど加工できないもんだ。」
いわゆるミスリルなどの魔法金属の一種で特徴としては錆びず、溶けず、魔力腐食にも強い壊す方が難しい金属だそうだ。
「つまりだ、本来なら延べ棒の形にするのすら宮廷魔術師と鍛造の匠が力を合わせやっとなのにこんな剣の形にして研ぐことなんか本来は無理なもんだ。」
「そうなんですよ、すごく重いし、硬くて炉に入れても一切溶けないんです。」
レイラとその師匠が力説してくる。
「大切にしろよその短剣」
「はい、」
どうやらこの短剣は相当おかしいものだったようだ。
「あ、そういえばお金お金」
そういって、カウンターの方から銀貨と銅貨が数枚ずつ入った袋を持ってきたので、中身を確認してから受け取る。
「危なかった,また忘れるとこだった。」
「よかった忘れなくて」
「じゃあまたなんかあったら来るね。」
それで今日は鍛冶屋を出ていった。
これで分かったことは少なくとも短剣は何かおかしいものであるということである。
少なくとも錆びたり壊れたりする恐れがないので安心なことはわかった。
とりあえず日も登って来たところだしギルドで適当に依頼をもらってこよう。
ということで依頼を探しに来たのだが、
「ギルドが閉じてる。」
瞬きをしてから少し固まっていると、ちょうど声をかけられる。
「今日はギルド休みだよ。」
そちらの方を向くとまだ若い人物がいた。
「今月の望月の日だからね。」
どうやら、「望月の日」という1年の中で月がもっとも明るい日だそうだ。
いや確かになんか若干街にいる人が多かったけど。
「旅の方?」
続けてそんな感じのことを言ってくる。
「?なんでわかったの。」
確か冒険者自体は街に一定数居るけれどピンポイントで聞かれることはないはず。
「いやここの町の望月祭に合わせてくる旅の方が多いから。一応僕もギルドに来たら閉まってたからね。同じ人かなって。」
そもそも望月祭がよくわからないが名前からしてとりあえず悪いものではないだろう。
「今日は街の外に出ない方がいいよ。」
「なんでですか?」
「望月の日は空気に満ちる魔力が多くなる。だから魔物が活発に動くし、強くもなる。だから祭りっていう建前で人が外に出ないようにしてるんだって。」
「ありがとう。」
とりあえず一通り質問とかは聞いて今日の予定を立て直すことにした。
「と言ってもやることないんだよね。」
結局いつもギルドで依頼をこなすのをやってたからいざなくなっても何かしたいことは思いつかなかった。
「何にもないならレイラと話に行こうかな?」
そういうことで結局お祭りを見つつレイラに暇つぶしがてら話に行くことにした。
今のところ、夜の祭り本番に向けて飾りつけが始まっていた。
先ほどと比べて多くの人が外に出て布で花飾りを作ったり、出店用の布や屋根を張っているものもいた。
珍しく子供もはしゃいで駆け回っている様子を見るに相当な楽しみになっているのだろう。
・・・歩いていたら何人かぶつかりそうだったがよけられたので良しとしよう。
人ごみを避けながら鍛冶屋に向かったら結構時間がかかってしまった。
「レイラいる?」
そういって店に入ると
「あ、ルナどうしたの?」
「望月祭でギルドが開いてなかった」
「あ、そうかルナは知らなかったんだ、それでどうしたの?」
「何にもやることなかったから来てみた。」
「と言ってもここで何かできるわけでもないよ。…そういえばだけどルナ今夜暇だよね。」
「暇だね特にやることないし。」
「じゃあさ望月祭一緒に来ない?」
「いいよ。」
今日はやることがなさ過ぎて困っていたのでこの話は渡りに船である。
「やったー鍛冶屋で住み込み見習いやってるから一緒に行けそうな人いなかったんだよちょうど。」
その話をしたすぐ後にレイラは上機嫌で
「ちょっと親方に言ってくる。」とだけ言って店の奥に行ってしまった。
少し待っていると、戻ってきて、
「許可もらってきたよー」と言って、カウンターから出てきた。
読んでいただきありがとうございます。
次の更新日は未定です。
夏休み終わるとかなり忙しくなってしまうので。
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